怒りのブログ別館

【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

増税前にすべきこと〜その2・日銀も認めたインフレ

以前は「貨幣を供給しても、インフレは起こせない」と言って認めてこなかったのだが、遂に日銀サイドでも考え方を少し改めた、ということであろう。


http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPTYE85O03T20120625?sp=true

『江戸時代の日本では、通貨が不足すると各藩が独自に領内で紙幣(藩札)を発行し、財政難の解消を試みた。しかし藩札は金銀に裏打ちされておらず、各藩の財政をもとに信用創造された紙幣だった。乱発した結果、価値が幕府発行の貨幣に対して著しく低くなり、インフレを招くケースが多く見られた。』


こんなことは、時代劇を観てりゃ(笑)誰でも分かりそうなことだ。白川総裁や日銀の認識というのが、若干変更されたということだ。歴史からの教訓というか経験則的に言うならば、貨幣供給増大が行き過ぎるとインフレを招いてしまった、と。

この文章で言うところを、次のように言い換えることも可能である。藩札を日銀券にしてみると、どうなるだろうか。

「日銀券は金銀に裏打ちされておらず、日本政府の財政をもとに信用創造された紙幣だった。増発した結果、価値が米国政府発行の貨幣ドルに対して、著しく低くなり、インフレを招くことがあった。」

このことは、日銀だけでは達成できない。財政当局との協力が必要だ、というのは、そういうことである。
これに類することは、以前の拙ブログ記事でも書いてきた。何も目新しい話でも何でもなく、経済学の知識のある人々にとっても、常識的な話でしかない。


http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/fdabd710b71b923199b8d3fd7fb4345a
http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/095f0b11bb9ceca3d400224874839d12
http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/793a3c6e27cb900c6a8dba656969ec35


白川総裁の言うように、金融政策”だけ”、ではインフレを起こすのは結構大変かもしれない。貨幣供給といっても、日本で行ってきた量的緩和(日銀当預残高ターゲット30兆円バージョン、みたいな)策だけであると、信用創造したところの「藩札」に該当するものが世の中には回っていかない、ということになるので、「世の中に回す」には政府(藩)が事業に使うなどしなければならない、ということである。

過去の緩和策の意味合いというのが、こういうものであったから、ということだ。だから、量的緩和を続けてきたのに、インフレにはならなかった、ということかもしれない。


これまでに、日銀以外でも「貨幣供給をしてもインフレなんか起きない」と豪語してきた連中は大勢いた。彼らが経済学としての理屈をよく知っているとは、到底思われなかった。もし本気で何も起こらないというのなら、日銀にそう教えてやれ。白川総裁の説明とか過去の歴史も間違っている、と言ってやればいい。


五十嵐財務副大臣は、インフレについて次のように述べている。


『「デフレだから消費税を上げてはいけない」という論拠には賛同できません。また、デフレが悪いといいますが、インフレがひどくなるほうが庶民の生活には、かえってきつくなるはずです。』
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20120621/233618/?P=3


「庶民生活は、デフレよりインフレの方がかえってきつい」というのは、五十嵐副大臣の個人的見解に過ぎない。そこには、何らの論拠もない。ただの実感、というだけ。
インフレは、よいものであるとは言わないが、それが全部害悪なのかというとそうとも言えない。

ここでは、庶民生活云々ではなく、財政再建に対する見解を求めているのだから、持ち出す論点としてもおかしい。まず論述すべきは、インフレが財政再建に対してどのような影響を有するか、である。それと、デフレ状態との比較ということを言うべきなのだ。これを説明できていない時点で、落第である。


むしろ、何らの副作用を持たない金融政策はない、と考えるべきなのでは。それは、かつてから書いてきたように、薬物を用いる場合の考え方と似ているのだ。ジギタリスは用いる量を誤ると、劇物である。極めて危険な、副作用の多い毒物だ。けれども、それを必要量用いることで治療効果を発揮させることも可能、ということである。べランドナ薬だってそう。モルヒネのような麻薬系薬物だってそうだ。いずれも毒物と見れば、毒物なのだよ。


副作用があるとしても、他に方法がなければ用いることを考慮するというのが、治療を担当する(政策担当)者としての責任なのではないのか。


インフレにする”だけ”で財政再建ができる、なんて、断言してないし、元から主張もしてない。根本的に認識が間違っている。
デフレ下よりも、インフレの方が再建が容易になる、再建の可能性は高まる、効果も得られやすいはずであろう、ということを言っているのだ。財政再建には、必要にして欠くことのできない条件が「適度なインフレ=デフレ脱却」と言っているのである。
何遍言えば判るんだ、って話。五十嵐副大臣の言い分は、周回遅れだ。

http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/f3e2119369623b2e8a16fe2716722069


インフレによる増税効果を活かせばいいんじゃないですか?
それの何がダメだと?
理解不足を解消してこい、と言ってあげたい。