怒りのブログ別館

【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

続々・財政破綻という洗脳

先日、コメントを頂いていたのですが、お答えが遅くなってしまいました。すみません。

コメント>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/d76ad604c0c09eebeb0c1c6a2a43e2a1

こちらに再掲し、簡単にお答えなどを書いてみたいと思います。

参考(以前のコメントへの回答編):
http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/c39048f611e671c44a091f0bb39abaaf
http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/8371757da56e49097f23f82bf9682059


(再掲)
何故、保有国債を即座に売却して別の資産に買い換える場合を想定しているのでしょうか。
保有している既発債は益出しで売却しない限り満期まで保有するのが当然なので、国債の暴落局面とは新発債の入札が不調で札割れとなる中、ジョジョ金利が上昇していく過程のことではありませんか?
利払い費が膨らめば札割れの中で新発債の発行が増え、更に需給が悪化していく悪循環に陥りますし。新発債の札割れが続くようなら、既発債の償還に支障が出てきます。
後、既発債が償還された場合、わざわざ日銀券に替えなくても日銀の当座預金に預ける事ができます。対外純資産は即座に換価できる政府資産ではありませんし、外貨準備の原資はそもそも短期証券(借入)ですから。
要するに、新発債の不調と利払い費の増加でボディーブローのように破綻へ向かっていく分岐点が存在する事への警鐘ではないでしょうか。



以下、論点をいくつか分けて書きます。


当方の考える「国債暴落局面」というのは、比較的短期間のうちに国債価格が大幅下落(=指標金利上昇などとして観察される)し、市場での評価は「(資金)逃避」ということになる、ということかと思います。
こうした場合、国債保有する人は「売却」を考え実行しますが、「売る」という行為の結果、その代金が支払われることになるでしょう、ということです。一般的な日本国債であれば、円建てですので、額面100万円分の日本国債であれば100万円が代金として受け取ることができる、ということでしょう(未精算利息分はとりあえず省略)。

すると、日本国債100万円売却で100万円を入手できても、それを「何に使うか」という問題が残るはずでしょう、ということです。民間金融機関の持つ数百兆円分の国債がかりに売り切られたとして、資金の逃避先があるのですか、ということです。何に用いるのでしょう?銀行は、現金で持ったままでは、預金者の多くに定期預金金利などを払えなくなってしまうでしょう。貸付に回すとか、他の資産を買うとしても、流動性と低リスクの資産など非常にに限られます。次の項でも、説明を加えたいと思います。


重要な点としては、「満期まで保有するのが当然」「ジョジョ金利が上昇していく過程」という指摘をされておりますが、それは普通は「国債暴落局面」とは言わないのでは、ということです。単なる「金利上昇局面」です。
喩えて言えば、金利が2%から5%まで5年かけて徐々に上昇してゆくと、それは国債暴落とは言わない、ということです。

伊藤元重東大教授ら財政破綻派が言うのは、「国内金融機関だって投げ売りしたりしないとは限らない」という国債暴落(財政破綻)懸念を殊更強調して主張しているもので、再建しないと破綻するぞという口実としているのです。ギリシャなどの欧州危機を見ていると分かり易いかと思いますが、また簡単な具体例で示したいと思います。


甲という国があって、国債発行をしています。
甲の国債のデフォルトが噂されたり、ニュースなどで表面化することになりました。さて、甲国発行の既発債を保有する投資家たちは、どのように行動するでしょうか?
1月1日時点では甲国国債指標金利は、2年債3%、5年債5%、10年債6%でした。既発債を保有する投資家たちは、自分の持つ国債の残存期間を見て、デフォルトされてしまうかもと思えば、即座に売りを決断するでしょう。そうすると、日々の取引において、価格が下がります。すなわち金利上昇が起こってくるでしょう。1週間後には2年債金利が5%に上昇すると、5年債や10年債は7%とか10%といった水準の金利になってしまう、と。


このように、かなり短期間内で金利上昇が発生するのが、国債暴落ということです。保有している投資家たちは、投げ売りだろうと全部損失となるよりはマシ、と思って、満期まで保有することなど考えない、ということです。既発債の積極的な売りが優勢にならないなら、金利上昇幅は限定的となり、暴落局面とは異なります(具体的には2003年頃から2006年までの米国債金利上昇は暴落と呼ばないでしょう?)。欧州で起こった国債金利急上昇というのはこれと同じで、保有投資家たちがデフォルトを回避する為に売却し、他の資産(例えばドル資産や円資産等、具体的には米国債や日本国債ということですね)に逃避してしまった、ということですね。


当方が過去に記事で主張してきたことに、満期保有目的であれば自己資本毀損は限定的であり、投げ売りする理由はない、といったことがあります。また、日銀や財務省の説明として金利1%上昇で何兆円損失が発生する、といったこととか、銀行倒産が相次ぐといったいい加減な説明には批判的でした。

コチラ>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/2da62acf38ce536db7fb4594aff66113


財政破綻を言い募る連中が言う「国債暴落」というのが起こるとしたら、どういった状況が考えられるか、ということを検討しているので、暴落局面を想定せねばならないだけであり、当方の意見としては「国債暴落なんてかなり困難だ」です。


次に、新発債の発行についてお答えします。
日本国債の償還に疑問を持つ金融機関が多くなると、借換の為に例えば発行額10兆円を予定しているのに、入札に応じたのが5兆円しかなかったとしますか。すると、更に5兆円をどうにか調達せねばなりませんから、金利を引き上げて再度入札をするか、国民から徴税するか、国民への支払いを止めるか、ということになります。


通常であると、急な徴税は難しいので、金利上昇ということで対応となるかと思いますが、その金利水準があまりに高い場合には、投資家たちが最初から買わない、ということもあるかもしれないですね。過去の例であると、50%とか100%といった普通では考えられないような発行条件を提示したりする、ということもないわけではないかもしれません。

日本国民の選択としては、金利上昇で国債借換ができなくなって、デフォルトさせるか、デフォルトを回避する為に徴税に同意するか支払い減額(例えば年金減額など)に同意するか、ということで、普通は増税するのではないでしょうか。日本政府の財政を完全に破綻させたところで、日本国民に利益はないし、破綻させるくらいなら増税には応じるでしょう、ということです。


では現在、何故、借換ができなくなっていないのか?

買う人がいるから、でしょう。
買う人は、どうしてお金を持っているのでしょうか?
誰かがそこにお金を入れるから、です。
海外投資家の保有比率が8%くらいまで上昇した、というニュースなんかがあったりしますが、9割以上を日本の投資家たち(銀行資金も含め)が買っていて、その買うお金が存在しているから、ということに他なりません。


国債なんかよりももっと効率のよい儲け話がたくさんあれば、そちらに資金が移動するはずです。銀行だって、貸し出して儲けようと考えるはずです。それが起こってないからこそ、デフレのままであり、ゼロ金利が継続してしまっている、ということなのですから。
なので、新発債に応札が減ってゆけばゆくほど、それは裏を返せば「ゼロ金利からは抜け出しているはず=デフレからインフレへ」ということと、国債よりももっと儲けることのできる「資金需要先があるはず」ということです。国債指標金利よりも貸出金利は高いことが殆どなので、それだけのリターンが生み出せる環境になっている、ということです。


それは、むしろ願わしいということのはずです。
国債発行条件が厳しくなって、金利上昇となるなら、それは自動的に「歳出削減圧力」として作用します。市場が自動的に日本政府の国債発行を圧縮させる、ということに他なりません。
また、他部門の資金需要がそんなに多いということは、経済活動は好調かインフレ傾向ということになっていることになり、それは税収の絶対額が増加していることを意味するはずです。


新発債の発行抑制と利払費増加というのが観察される条件としては、
国債以外への資金需要が旺盛
・指標金利高い=ゼロ金利からの脱出=デフレ脱却
ということがあるでしょう、ということです。

これが、破綻へと直結すると考えるのは、ちょっと疑問ではないかな、ということです。70年代の米国債が10%〜15%くらいの金利だった時代もあったくらいですから、それから比べると大したことない話なのではないかと。また、このペースが継続していくと、いずれは買い資金が底をつくかもしれず、そうなった場合には増税とインフレが起こる可能性が高いかもしれません。

(単なる想像ですが、ニクソンショックでドルの大幅減価が行われた結果、基軸通貨ドルのせいで世界中にインフレを大量輸出したものと考えれば合点がいきますね。ドル札を大量に刷ってカネ(借金)を誤魔化したようなもんだ)