怒りのブログ別館

【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

新日銀総裁・副総裁会見について

少し間があきましたが。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1303e.pdf


全然関係ない話ですが、中曽副総裁はあんまり質問されなかったようで、記者諸君の興味は黒田総裁と岩田規久男副総裁にあったようですな。こう言っちゃ失礼かと存じますが、セサミストリートに出てくる人形に似てませんか?(名前とか調べたけど、出てこないから判らんかった)スマン。いつも余計なことを言って。


で、黒田総裁の発言ですが、国会聴取時とほぼ同じでありますけれども、関係者間での意思疎通を図られたのかな、と思います。専門的な部分も含めて、日銀内の人と議論を積んだのかも、と。
また官僚機構というか官僚組織というものを熟知している、という点で安心感がありますね。官僚的な人々の振る舞いというか気質というか、そうした行動原理や習性を知る人間かどうか、というのは、日銀のような組織を動かそうという時に役立つはずです。

岩田副総裁は学術的背景について説明している方が合っている、とは思いますね、やはり。かつて日銀批判の立場であったわけですが、中に入ってみると自分の知らなかったことや気付いてこなかった部分というものを認識することになるので、「現実の政策」ということを意識せざるを得なくなるでありましょう。説明責任、或いは「辞任という責任の取り方」ということについて答えたのは、岩田副総裁の意識しているであろう、インフレ目標政策があったから、だろうなと思います。


かつて、インフレーション・ターゲティング政策というのは、目標が達成できなければ総裁(や執行部)を「更迭する」といったような人事権を掌握し、これを「ムチ」として用いることで、政治的強権を背景に目標達成を強いる、という暗いイメージ(笑)があったわけです。
金融政策効果としては、人事権の有無というのが決定的な要因かどうかというのは疑問の余地がある(確か文献的には関係ない、だったかな?)わけですが、90年代はじめくらいまでというのはそういうのを称して「インフレ・ターゲット政策だ」と強硬に主張してきた人たちがいたわけです(その認識のまんま今に至っている方々は、はやり同様に「クビにできなければインタゲの意味がない、効果がでない」などと言い張っているかもしれません)。そうした、どちらかと言えば近年の”modified”インタゲではなく、よりオリジナルのインタゲを意識しているとなれば、最大効果を狙うべく「辞任」という責任の形に言及したものであろう、ということです。
白川前総裁が言っていたフレキシブルなインフレ・ターゲット政策というのは、旧来型の「特定指標・数値(=CPIで2%)」と目標の達成と未達(=失敗なら更迭)という、極めて機械的な政策とは異なる、ということです。日銀の出したインフレ目標政策というのは、紋切り型の枠組みではありません。


岩田副総裁はこうした「総裁をクビにできる」と強硬に主張する人々を若干意識したものだろうな、ということです。
ただ、総裁人事権の有無で金融政策の効果が変わってしまうならば、それは「総裁という人間」に依存しているものであって、政策の妥当性としてはどうなんだろう、という話になってしまうわけです。
「人に依存しない」とは、極端な言い方をすれば、誰が総裁になっても同じく効果が発揮されるもの、という意味です。他の人が総裁になったとしても、政策が維持される枠組みという方が望ましいはずではないか、ということです。これも前から言ってきたことですが。

参考:http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/5b7c428285c3a5266d882864f3857192


ですので、総裁の人事権がなければダメなんだ、という人たちの意見というのは、じゃあ総裁の能力や考えに大きく左右される政策枠組みを支持しているんですね、という話になってしまうわけで。それってどうよ?(笑)
実は「りふれは」とかの連中は、政策について考えているのではないのだよ。敵陣営に勝利すること、を考えているに過ぎない、ということ。主義主張を通そうとすることだけに拘泥しているだけ。対立勢力を叩きたい、バッシングしたい、というだけなんじゃないですかな。


話が逸れました。
黒田総裁、岩田・中曽副総裁をはじめ、日銀の全ての方々にお願いです。


これまで日本は「失われた20年」を過ごしてきました。
そして、デフレは15年にも及ぶ長期となってきたこともご存じの通りです。これから日銀が行うのは、史上最大の、過去に例のなかった挑戦です。ある意味では、日本経済を舞台にした、壮大な実験です。

またヘンな喩えで申し訳ありませんが、誰も見たこともないような「巨大な大浴場を沸かす」という作業を実行するようなものだ、ということなのです。これを成功させなければなりません。この大きな風呂は、過去のデフレ期間に魔物が成長するように巨大化してしまいました。しかもこの風呂には、人類史上最大規模の「国債プール」というものが付いています。これらを含めて、風呂が「いい湯加減」になるようにすることが求められるのです。


この挑戦に失敗すると、次の一手は全く見えなくなるかもしれません。
次なる手を正確に述べ挙げている人は、ほぼいないでしょう。それくらいの難事である、ということです。成功させるには、日銀の全戦力を結集しない限り不可能でしょう。政府も勿論全面協力するしかありません。

この史上最大の作戦を成功させることができるのは、現在、日銀しかいないのです。その重責について、よく自覚して頂き、是非とも頑張って頂きたいと思います。