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医薬品のネット販売に関する最高裁判決〜場当たり司法の歴史

以前から司法の医療界に対する判決がオカシイということについては、それなりに知られていたことではある。薬物についての判決については具体的に書いてみたことがなかったので、今回少しまとめておきたい。



まず、総論として言えば、過去の判決例では裁判官がその場その場で、まるで「思いつき」の如き判決を積み重ねてきた、というのが個人的感想である。そして、そのことを医療サイドからは「トンデモ判決」ということで非難されてもきたわけだ(ところで、医療過誤問題の検証機関を設けよう、みたいな話は立ち消えとなったのかもしれないが、あれも医療サイドへの「政治・行政からの攻撃」とこれを支援した司法界、と見るべきであると感じている。理由なき医療バッシングではないということ)。




その司法界の頂点であるところの最高裁が、どういうわけだか医薬品のネット販売全面解禁には非常に熱心に取り組んでいるんだそうで。つまり、三木谷のような連中をバックアップするべく、司法の力を遺憾なく発揮しております、ということ。これはTPPの推進と同一線上にあるものだ、と言っているのだよ。

三木谷の背後にあるものとは何か?
従米派、グロバーリスト、グリード企業群、そういうヤツらである。



日本の最高裁長官が砂川事件で何をやったかを見れば、司法界の清廉潔白がどういうものであるか、ということがよく理解できるだろう。

まあいい。


以下に、過去の判決例を挙げ、若干の検討をしてみたい。




1)広島高裁(H4.3.26)

・概要:
喘息既往患者の鼻茸術後にボルタレン2錠投与にて、アナフィラキシー様発作で死亡。2度の問診・診察でもアスピリン喘息の疑いが完全に払拭できていなかったのに、ボルタレンを投与したことに過失がある。


・判示:

①『たとい医師の再度の問診の結果患者がボルタレンなどの鎮痛解熱剤によって喘息の発作ないしはアナフィラキシー様ショックを引き起こした事実を聞き出せなかったとしても、それだけで患者はアスピリン喘息ではないと確定診断を下すことはできず、負荷試験を実施しない限り、患者がアスピリン喘息であるとの疑いはそのまま残っているものと言わざるを得ない』

②『鼻茸の手術を終えた患者が鼻部疼痛を訴えるので、同女に鎮痛剤を与えるべく、医師が記載したカルテ等によって禁忌の薬剤をチェックしたところ、カルテには「ピリン禁」とは記載してあったが、薬による喘息発作の既往歴なしとの記載があったところから、当番医師は医師による問診の結果患者のアスピリン喘息の疑いは払拭され、したがってボルタレンを含む酸性解熱鎮痛剤に対し禁忌ではないものと即断して、患者にボルタレン2錠の経口投与を指示した』

③『前示のとおりアスピリン喘息の患者にはボルタレンを使用してはならないとされているのに、当番医師は、アスピリン喘息とは断定はできないもののその疑いが残っていた患者に対し、同女はアスピリン喘息患者ではないとの誤った判断を下して、ボルタレン2錠をいきなり使用した過失があるといわなければならない』



・ポイント:

①より、医師は念の為二度の問診を実施していたが、患者から「薬物による喘息発作の既往なし」との聴取しか得られていなかった。それでも、負荷試験を行って確定診断を得ていない限り「アスピリン喘息の疑いは払拭されない」。にも関わらず、②の通りカルテに「アスピリン喘息発作の既往歴なし」との記載により、これを禁忌なしと即断したことは過失がある、という認定(③)である。

裁判所としてはアスピリン喘息或いは薬物アナフィラキシー(アレルギー、判決文中のママ)の疑いの残る患者に対して、負荷試験等で確定診断を得るべし、ということであり、これがない限りは投与することが過失となる。



すなわち、患者に喘息がある、或いは鼻茸がある、といった場合には、患者自身が「薬物でアレルギー発作等の症状が出たことはない」と申告したとしても、投与側の義務が果たされたことにはなり得ず、負荷試験等で確定診断を得るべきである。これがなければ薬物アレルギーの可能性は払拭されず、投与した側に過失認定される、ということである。



さて、これがロキソニンだった場合、どうだろうか?
最高裁判事たちは、第1類のロキソニンSを投与(販売)する人間が、喘息か鼻茸の有無について全例確認し、その上で負荷試験を要求しているとでも言うつもりなのか?

もしも負荷試験を実施していないのに販売しており、その結果として発作を起こせば過失認定、ということだ。
ネット販売業者からは「被害は1例もない」みたいに豪語していたようであるが、それは本当なのだろうか?
患者本人の申告だけでは過失回避はできないのであるから、既往ナシと申告した患者に発作が発生した場合であっても投与した側が賠償義務を負うので、販売業者は被害を賠償すべきである。