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楽天セール問題に見る三木谷のestoppel

楽天優勝セール問題は、非常によい例題と言えるだろう。
三木谷の主張というものが果たしてどうであったか、ということを、彼と楽天の行動から学べることだろう。


1)三木谷の英語会見

まずおかしいな、と思ったのは、三木谷は信念を変えたのか、ということだった。これまで会見の模様を見たことがなかった(ニュース映像などで)わけだが、たまたま今朝のテレビに映っていたので知ることができた。

何故か三木谷は日本語で喋っていた。
どうして?

会社公用語(と呼ぶのかどうかも知らんが)を英語と定めて、定例会見も英語でやって、ということにしたんだから、会社の公式会見は全部英語で統一すべきでは?何故セール問題の説明には、英語でやらないの?
日本人プレス等には通訳で対応すればいいだけでは。社内の広報の人間とかを通訳にして、三木谷が英語で回答し、それを通訳者が日本語で答えればいいのではないのかね?それが、会社の公式発表、ということなのでは?


それができない、というのなら、そんな下らん信念など破棄すべき。その程度のものでしかなかった、ということでしょう?
実際、日本人記者が大多数で会見することが圧倒的に多いのに、英語で会見しようという方が面倒だし実用的ではないだろうに。そんなことはやる前から、誰しも分かっていたはずだ。どうしてそんな無駄なことをするんだろう、って皆疑問に思っていたに決まっているだろう。それを敢えて「英語だ!」としたんだから、それを貫けや、三木谷。


だが、彼はそうしなかった。
会社発表の英語版を同時に公表すればいいだけであり、英語会見をする必然性というものはなかっただけなのだ。海外投資家向けの場合には、質疑応答を自ら英語でやりたいなら、そうすれば済む話である。そういうことは誰でも知っているけれども、会社の公用語として英語を定めた、ということに重点を置きたいということで英語会見を敢えて課したのなら、常にそうすべきだ。
日本人記者たちから質問(多くはツッコミ、だろうな、こういう場面だと)を受けることさえきちんとできれば、何らかの制限があるわけでもないしね。


しかし、社長自らが「日本語で自分の言葉で語る」ということが重要であると判断したのなら、それはビジネスのいずれの場面でもそうなのではないのかね?
もしも、謝罪or釈明会見とかだから、三木谷自ら「自分の言葉で語る」ことが必要なんだ、ということなら、それは他の会見でも「同様なのではないのですか」と問うているのだよ。
それを軽視してきたのは、三木谷自身なんじゃないですかね。


いずれにせよ、三木谷の主張と行動には矛盾がある。
これまでの三木谷の言い分に従うなら、今回も当然英語で会見すべきだった。そうしない理由というものが存在し、その為に今回は日本語会見だった、ということなら、その理由こそが三木谷の過去の主張を突き崩す言い分そのものである、ということさ。



2)不当業者の存在とその対応


医薬品販売における行政側規制と、よく照らし合わせてみるとよい。
今回、楽天が取った対応策そのものが、好例となっていることだろう。


楽天が発表した対応としていくつかあったわけだが、まあ、ありふれた(常識的と呼べるものかどうかは判らない)対応策だったろう。

簡単に言うと、
・これまでの社内ルールは甘かった
・今後不当業者が出難くなるなるようにする
・全販売業者に対して規制を強化する
である。

言うなれば、販売業者側への規制強化、だ。はて、これはどこかで見たような?
そう、医薬品のネット販売に関する規制、だ。違いは、楽天は事後、医薬品ネット販売は事前、ということである。

想定される危険性というものは似ていて、「不当業者の横行」が問題となるであろう、という推測が事前に存在する。日本での医薬品ネット販売規制解禁はまだ実施前なので、不当(違法)業者の登場は不確実ではあるが。


楽天のケースでは、以下の通り。

ア)販売制度の維持運営―楽天
イ)不当(違法)業者の登場
ウ)「情報の非対称」につけ込んだ商法
エ)改善・対応策―販売業者規制の強化


これが医薬品ネット販売だとどうだったか?

ア')医薬品販売制度の維持運営―行政
イ')不当(違法)業者の登場
ウ')「情報の非対称」につけ込んだ商法
エ')改善・対応策―販売業者規制の強化


つまり、楽天のやったことというのは、厚生労働省を散々非難していたのと全く同じ、ということさ。三木谷の主張していたことと、楽天のとった対応策は明らかに矛盾しており、そのような改善策を実施するのは、三木谷の前言に反すると指摘しているのだよ。


ウ)を説明すると、次のようなことである。

・購入者が定価(通常価格、一般的小売価格など)をよく知らない
・これを利用し、あたかも77%引きであるかのように装い売る


医薬品販売においても同じだ。

・購入者が薬物の中身や効能などをよく知らない
・これを利用し、あたかも正規品であるかのように装い売る


で、三木谷やその支持一派は何と言っていたか?
①被害は極々少ない
②不当業者は個別に取り締まればいい、警察の仕事
③不当業者発生はネット販売だから、という理由でない
④規制を強化するのはおかしい


なのに、楽天の発表した対応策は、純然たる「規制強化」なんじゃないのか?(爆)

今回の件で不当業者は17(20は正規申請業者を入れての数だそうだ)、全体の8000軒からみれば、たったの「0.2125%」に過ぎない。三木谷よ、お前らはそう言ってきたよな?
薬を飲んで死んだ人数は「たったの数例、1%未満の非常に少ない数字だ」、みたいなことを。そうさ、同じなんだよ。楽天の不当業者数、被害額、ということで見れば、微々たる水準なんじゃないですかね?
同じだろう?(笑)


で、不当業者が出てきたら、個別に取り締まれ、というのも同じ話だな。また、ネット販売だから二重価格表示が起こる、というものでもないよな?


つまり、三木谷理論に従うならば、結論は決まっている。
「規制強化はおかしい、すべきでない」
だ。違うか?(笑)

他の圧倒的大多数の業者は問題ない、なのにどうして全業者に規制を課すのか、って考えなかったのかね?
三木谷理論に矛盾するだろ。自分のこれまでの主張と全く相反するだろうに。たかだか0.2%程度のことなのに、問題ないんじゃなかったのか?
三木谷のこれまでの主張を貫くなら、被害が発生したら個別に補償なりを行えば済む、と言い放てば良かったのだ。だから、規制は必要ない、と。


ところが、維持運営する側であると、これを放置してしまえば、「楽天市場」というマーケットそのものの崩壊危機が訪れる可能性があるかもしれない、と考えるからではないですか?

実際にはどうなるか、判らないよ。が、不当業者を野放しにすることになれば、信頼が喪失されるので、消費者が離れてゆくことになってしまうだろう。レモン市場化を恐れるからこそ、規制をするんじゃないのかね。


多くの販売業者は店の評判・信用を重んじて商売をしているはずだから、不当業者は必ずしも圧倒的多数になるとは限らない。
ここでもstigmaが効いている、ということではないですかね。
普通の人々には、それが効果を発揮するわけだな。たった一度の、しかも僅かな儲けにしかならないセールで、セコい不正とかを働いてみたところで、失った信用は取り戻せないからな。


しかし、ネット販売を専業としていて、ある程度利益を挙げたら、何処かに逃げて、再び別な名前で商売を開始できてしまうかもしれない。ゲリラ戦法だな。まるでスパムメール業者みたいなものであろうと、形式的には考えられるわけだ。そういう連中には継続性というのは必要ないので、stigmaは効かない。

評判低下は、例えば楽天市場の場合だと、「楽天市場」全体に波及する。楽天市場内部の優良業者の評判を低下させることを招く。少数派の不届き者であっても、市場全体の評価を下げることには貢献できてしまう。それこそが不良業者が優良業者を駆逐してしまうことを招くかもしれない、ということではないのかね。



まあ、三木谷のとった行動そのものは、明らかに禁反言の法理に反するものだ。これまでの主義主張とは正反対の行動だ、ということである。


これはどういうことだ?
三木谷よ、己の主張を貫くべきではないのか?


それとも、自ら敗北を認め、悟った、とでも言うか?
自分の主張の誤りを、己の行動で実証してくれた、と?(笑)