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【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

マレーシア機撃墜事件の謎

イスラエルのガザ侵攻という新たな虐殺が行われた。事実上の犯罪であろう。これと同じタイミングで、民間航空機撃墜という衝撃の事件が世界を震撼させた。


イスラエルの犯罪を目立たなくする為か?
それとも、ロシアへの罠か?


謎は深まるばかりだ。
被害に遭ったマレーシア航空は、MH370便の悲劇に続き、再び陰謀世界の犠牲者とされてしまった。こんな悪逆非道を繰り返すのは一体誰なのか?


この事件は、以前の韓国哨戒艦沈没事件の時と同じで不可解な点が多い。簡単には払拭することのできない疑問点が残っているということだ。

内戦状態同然のウクライナでは政府軍側と親ロシア派武装勢力とが戦闘を行っており、今回の撃墜事件の実行犯が親ロシア派と喧伝されている。アメリカもこれを支持しており、かつての「北朝鮮潜水艦がやった、明白な証拠も掴んでいる」と高らかに宣言した時と似ている。今回も「親ロシア勢力のミサイルで撃墜された証拠を掴んでいる」と宣言しているようだ。
http://www.yomiuri.co.jp/world/20140719-OYT1T50071.html



だが、本当に親ロシアの反政府武装勢力と呼ばれる非正規ゲリラたちが実行したのだろうか?
当方にとっては、疑問である。


親ロシア派がやった、とされる証拠というのは、大体次のようなものが挙げられているようである。

1)武装勢力が地対空ミサイル(ブーク)を手に入れていたらしい
2)14日にもウクライナ軍の輸送機An26を撃墜したことを誇っていた

こうしたことから、親ロシア派勢力は「実行可能であった」と看做されているだけである。事実かどうかは不明だ。


当方が感じた疑問点について、書いてみたい。
順序が前後するが、まず、分かり易い部分から。

2)の輸送機撃墜の実績とこれをネットで自慢していたらしい、という話であるが、これとマレーシア航空の旅客機とでは全然別の話であるとしか思われない。

まず、ジェット機とプロペラ機という違いがある。ジェット旅客機は高高度を飛ぶが、プロペラ機はそんなに高高度を飛べないから低高度を飛行する。移動速度も倍は違う。

なので、ゲリラ勢力程度の持つ携行式対空ミサイルであっても、輸送機程度を目視で確認後撃墜することなど全然難しくはないであろう。時速300kmで低高度を飛ぶプロペラ機と約900kmで1万m上空を飛ぶジェット機では、全然違うという話である。撃墜の容易さを比較すれば、ゲリラ程度でも実行可能なのは輸送機だ。


では、親ロシア派が入手していたとされる「ブーク」(SA-11)という高度1万m以上でも迎撃可能なミサイルについて考えてみよう。

国防総省も、このミサイルで撃墜と発表したとされた。

http://sankei.jp.msn.com/world/news/140719/erp14071907560007-n1.htm


2014.7.19 07:56


 米国防総省のカービー報道官は18日の記者会見で、ウクライナ東部でのマレーシア航空機撃墜について、ロシアが生産するブク地対空ミサイル(SA11)が使用されたことを示す「非常に強力な証拠」があると述べた。

 さらにミサイルはウクライナ東部の親ロシア派支配地域から発射されたとの見方を重ねて表明した。ただ、米政府がどんな証拠を得ているのかについては言及を避け、誰が発射したのかについても現時点では「分からない」とした。

 一方で、今回の撃墜にウクライナ東部の親ロ派に対するロシアの支援が関係していることは明らかだと指摘。親ロ派への武器供与や資金提供に加え、ロシア軍の戦闘機がウクライナ上空を自由に飛行できる状況も続いていると述べ、ロシアの対応を批判した。(共同)



最初に疑問に思うのは、ゲリラたちがこれを仮に入手できたとして、実際に使えるのか?ということである。
大抵の機械がそうなのだが、見慣れない機械や装置はマニュアルなんかがないと難しいことが多い。特に専門的な用途の機械はそう。スイッチ類の操作が全く分からない。ある程度の知識がないと、使いこなすのは難しいはずだ。たとえ対空ミサイルの操作要員として訓練を受けている人間であってでも、製品の違いやロシア製と米国製みたいな違いがあるだけで、操作困難なのではないかな。対空ミサイルをそう簡単に発射できるようになれるとは思えない、ということだ。

まだある。
このミサイルシステムは迎撃範囲が広い為に、ミサイル車だけでは運用できない。連隊防空レベルのミサイルらしいので、指揮車やレーダー車などとの一体運用でないとミサイル自体が機能しないだろう。その為に、軍人たちが専門の訓練を受けているのであろうが、それらシステムをゲリラたちが短期間のうちに習得して実際に運用できるようになったと?

あまりに複雑な機器類とシステム全体の運用を、そう易々とできるようになるものなのだろうか?
「オレんちには、パワーショベルがあるんだからな!」と子供の喧嘩で5歳児が威張ってみても、実際にそれを動かせるわけもなく、子供の喧嘩に役立つはずもない。それと同じようなものでは。ゲリラ勢力が入手できたとしても、実際に使うのは困難ではないかということだ。あまりに特殊な兵器だから、だ。


ミサイルで撃墜する為には、非常に大雑把に言うと、標的の捜索・ロックオン・誘導、といったことができてはじめて命中する、ということになるだろう。携行式の場合だと、捜索とロックオンと誘導(赤外線追尾は自動かも、だ)が自分の肉体(目や耳)で行うので操作が簡便であり、誰でも直ぐに使えるということだ。しかし、高度な装置類になると普通は使えない。今回のブーク説であれば、レーダーでの捜索と標的選定の過程を正確にできなければならないのだから、極めて困難だ。


次に進もう。とりあえず、国防総省の言うように、親ロシア勢力がこれを実行できたものとしよう。ミサイルシステム全体の操作方法をどうやってか学んで、実行できる能力を身に付けた、と。
では、このブーク自体はどこから来たのか?
ウクライナ軍のもの、だったはずだ。



ならば、当然のことながら、敵味方識別信号はシステムに組み込まれているはずであろう。自軍の飛行機を攻撃しちゃったらマズいから。
ウクライナ軍の地対空ミサイルがウクライナ軍機を攻撃するのだろうか?

これが更なる謎なのだな。
敵味方識別信号を無視して攻撃できるように、システムを変えたとか?そんなことが非正規のゲリラたちにできたのかな?
恐らく敵味方識別信号が機能していたはずで(それなりの高度なシステムを備えているはずだろう)、民間機が識別できないということなどあり得ないのでは。国防総省が言うように、ブークで攻撃した、ということなら、民間機の標識目がけてワザと攻撃した、ということか?


それとも、レーダーシステム上のロックオンではなく、光学照準の手動誘導みたいな非常手段に切り替えて使ったとか?
ゲリラたちに、そういった高度な知識があったとは思えない。正規軍を脱退した元軍人がいたから、とでも言うのかな?


いずれにせよ、レーダーで旅客機を探知し、ロックオンして、命中させた、ということがなければ、ブークによる攻撃は実現できないことは確か。
敵味方識別信号を見て、わざわざ民間機を選び出して、これを攻撃した、と。ウクライナ軍機と間違って攻撃した、といった話でもない。少なくとも、ウクライナ軍機は見分けられる。元々自軍の信号なんだから。自軍の航空機や民間機をロックオンできたということか?


ウクライナ軍機を攻撃できる(数日前の輸送機撃墜も同様にブークだった)のなら、かなりの高度な知識なりミサイルシステム全体の運用を極めて細かく正確に知っているはずということになる。そうであれば、わざわざ国際社会から非難囂々となるであろうマレーシア航空の旅客機を狙うのは不自然過ぎる。
ウクライナ軍の仕業に見せかけたいのなら、僅か数日前にウクライナ軍機撃墜を大々的に自慢したりなどしないだろう。


つまりは、「親ロシア派武装勢力がブークで撃墜した」説というのは、かなり無理があるように思われる。技術的に困難な面が多いのと、ゲリラ勢の能力がそんなに高いものとは思われない、ということだ。メリットもないし。



では、一体誰がやったのだろうか?

当方の予想では、ウクライナ軍の軍用機だ。

マレーシア機墜落の同じ日、ウクライナ軍の公式発表で、「ロシア領から攻撃を受けSu-25が1機撃墜された」というものがあった。それも同じくウクライナ東部で、だ。ロシア領に近い側だから、当然そうなる。でも、そのSu-25はそこで何をしていたのだろうか?武装勢力の地上攻撃任務?


http://www.afpbb.com/articles/-/3020867

【7月17日 AFP】ウクライナ政府は17日、同国の戦闘機がウクライナ領空内でロシア空軍機に撃墜されたと発表し、ロシア側を非難した。国境地域におけるウクライナとロシアの緊張は、さらに高まる様相を見せている。

ウクライナの国家安全保障国防会議(National Security and Defence Council)はマイクロブログツイッターTwitter)で「ロシア連邦軍の空軍機がウクライナ空軍のスホイ25(Su-25)戦闘機に向けてロケット攻撃を行い、ウクライナ領空での任務を完遂した」と述べた。

ウクライナ軍によると、撃墜された戦闘機のパイロットは脱出に成功しウクライナ軍に保護された。

 これに先だち、ウクライナ政府は14日にも、ウクライナ軍の輸送機が撃墜された件について、ロシア領内から発射されたミサイルによるものである「可能性が高い」と発表していた。(c)AFP

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マレーシア機は目視で確認なら、民間機であるけれども攻撃可能だ。数十km程度の短距離赤外線ホーミングミサイルで攻撃できてしまうからだ。Su-25だと速度と高度の面で若干苦しいが、ある程度上空で待ち伏せていたなら攻撃可能だし、短距離ミサイルの攻撃でも十分狙える。
この場合、協力者は2名(グループ)いれば実行可能だ。
パイロットとSu-25を撃墜した人、だ。


迎撃用の戦闘機パイロットの場合であると抱き込みが難しかったのかもしれないが、Su-25の乗り手であれば応じる人間がいるかもしれない(普通のパイロットであると無防備な民間機を撃墜することに深い罪悪感を感じるだろう)。
そして、実行犯と乗っていたSu-25を葬ってしまえば、マレーシア航空の旅客機を撃墜した証拠は隠滅できる。偶然パイロットは脱出して助かったらしいが。


親ロシア派が実行したことにした方が、メリットが多い人たちがいる。
ロシアへの制裁を強められる、ウクライナの立場を守り易くなる、親ロシア派の評判を落とし国際非難を高められる、イスラエルのガザ侵攻を誤魔化せる、といったことがあるからだ。


一方、親ロシア派が実行したとして、ウクライナの政権にどれくらいの打撃を与えられるかと言えば、全然、さっぱりだ。ウクライナ軍機と思って誤射した、という説もほぼとり難い。合衆国国防総省が宣言したように、攻撃兵器が「ブーク」であったのなら、尚更、である。
(これがもし、目視で攻撃するタイプの兵器であったなら、ゲリラが有頂天になって間違えて民間機を攻撃してしまったんだな、ということもあり得たかもしれない。しかし、モノが違い過ぎる。高射砲や肩撃ち式なんかとは全然別だ。)


国防総省は、韓国哨戒艦沈没事件の時にも「ロシア製か中国製の魚雷である明白な証拠を掴んだ」「だから北朝鮮潜水艦だ」と高らかに宣言しておったのではなかったか。その理屈が、「アメリカ製のコルトガバメントが使われた、だからアメリカ人が犯人だ」と宣言するのと同等の愚かさであるのに、真犯人はお前だ、と言ったわけだな。
今回もまた、「攻撃兵器はブークだ」「だから親ロシア派だ」というこじつけを行ったかのように見えてしまう。


戦場での殺人事件は、意図していると判別が困難だ。
本当に偶発的な事故だったのか?それとも、狙って撃ったのか?
本当に敵の銃弾に斃れたのか?
実は、味方の発射した弾丸だったのではなかったか?


戦死してしまえば、事実など分からない。戦場という混乱を隠れ蓑とされてしまうのである。今回の事件はそういうようなのと、違いがよく分からないのである。