怒りのブログ別館

【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

AIIB問題と通貨政策

ここ数日の記事で、ドル基軸通貨体制のこととか、サルコジやストロスカーンの醜聞について述べたわけだが、構想自体はずっと前から研究課題として存在してきたであろう。発端は貿易とか融資といった表面的なものだけとも言えないのではないかな。


当方は予想屋ではないので、これまで何を的中させたかエビデンスを出せとか言われても、これといったものはない(そんな的中率の比較で政策を決定できるものでもあるまいに)。ただ、過去に自分が考えたことは記事として残っているから、それを掘り起こしてくるだけである。



2010年6月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/2e851231f66dd93596f1200178e2a33e

(再掲)


③米国が反対したらどうするか

最大の難関はここになるだろう。しかし、最悪の場合、米国だけ外せばいい、ということで解決は可能である。
特に、日本と中国が導入を強力に推進した場合には、欧州は米国側にはつくことはないはずだ。何故なら、米ドルに比べてユーロの地位は不当なまでに低く抑えられているからである。

日中が協同してサルコジを説得できれば、彼は元から通貨改革には賛成派なので、ユーロ圏の取りまとめに動くであろう。欧州と中国との貿易という点においても、メリットはそれなりに大きいはずである。
サルコジが独の賛同を得ることに成功すれば、欧州圏の意見はほぼ固まるだろう。何も優先的に米ドルを買い続けたいという欧州人はそう多くはないはずである。また、ロシアもまず賛成に回るだろう。

となると、主要国は固めることができるはずである。
ブラジルやインドにとっても、悪い話ではないはずであろう。新興・中堅アジア諸国にとっても、通貨政策上で米ドル依存脱却ができるので、反対するべき特別な理由というものはないだろう。

さて、残るは、イギリス、カナダ、豪州、産油国といった、過去の関係からみて賛成するかどうかは不明の国々が残るが、経済規模からみて中欧アジア諸国+露伯印の参加があれば、それで十分である。これら賛同する国々で共通通貨単位を用いて取引すればいいだけである。
極端にいえば、参加したくない国は別に参加しなくてもいい、というだけ。これまでの外貨準備で米ドルを買っていたのをやめて、共通通貨単位を準備しておく、ということになるだけである。

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ここに例示した国々は、殆どが参加の申し出をしたわけだよ。カナダは外れているがね(ベネズエラもか)。『日中欧アジア諸国+露伯印の参加があれば、それで十分である』と述べたが、最大の誤算は日本が入っていないこと、だ。
拙ブログでは、日本のこともあるが、世界全体から見て望ましいだろう、と考えたのだが、日本は愚かにも米国の側に付き従うことを選んだわけだ。



サルコジを追い詰める為に米国情報網がフル稼働していただろう、とも述べた。

2010年7月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/63a9437059cecd6ca7360fa7dc4df421


それから、ストロスカーンの逮捕騒動について、も。

2011年7月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/274685b14fb9f5a88e37b647cf1786a2


(再掲)

今回のストロスカーン専務理事逮捕事件は、米国サイドの反感や強い拒否の意思を示したものと思われます。それは、サルコジ大統領が旗振りをしていた通貨改革に対して、ということになるかと思います。今年のサミットはフランスが議長国で、サルコジ大統領は議題として為替問題(通貨改革)とIMF改革を呼び掛けるとの報道が3月のロイター記事(http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-20356820110331)などで散見されていました。
これに加えて、ストロスカーン専務理事がやはり「人民元のSDR加入」に端を発して基軸通貨改革などの意向を示していたことから、この両者が外交的に本気で取り組んだ場合には、それなりの成果が得られる可能性があったかもしれません。次回の会合日程などが本格的に議論されて、新興国を取り込んだ通貨改革のテーブルが出来上がってしまう、といったような事態を恐れたものと思われます。こうした機運が高まれば、仏単独ではなく中国が当然これに加わることを意味するので、米国としてはこの対抗手段を失いかねない、と危惧したとしても不思議ではありません。

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これらの動きを米国が潰してきたので、中国は自力で今回のAIIBに漕ぎつけた、ということでしょうね。待っていても、IMFの改革もSDRも人民元の国際化も進展が得られないから、と。


しかも、サウジ、UAEオマーンクウェートカタールといったドル基軸のリッチな産油国がこぞって参加したということの意味は、ドル通貨への信頼低下ということを考える必要がある、ということだ。勿論、一面的な判断だけではないく、いくつかの要因の総合的評価であるだろうが、米国外交失敗の結実、と見てよいだろう。


形を変えて実現した、と言ってもよいかもしれないな、と。