怒りのブログ別館

【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

原油価格とドルという通貨のこと

以前から、色々とおかしな点があるのでは、ということを書いてきた。
利上げ方向へと戻してきたFRBだが、大量に買い入れたMBS金利収入はオイシ過ぎることも指摘した。
15年7月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/8ed53e767d3f8a4df57a4b194119e166

4200億ドルとなれば、日本円でいくらになるか?
期間平均のドル円が100円として、42兆円!だ。これだけの無から生み出した収入を得てきた合衆国政府は、この金を当然ながら使ってきたわけです。中国の公共投資が何兆円だったか、それを大袈裟に言っていた人々が大勢いたわけですが、何故か合衆国政府の巨額投資については沈黙なのですね(笑)。


何はともあれ、ドルという通貨はあまりに闇が大き過ぎるわけです。単に、決済通貨として利用されてきた、というだけであり、流動性という点で有利というだけなのだが、世界中がそのシステムに乗っかってしまってきたのでしょうがないわけです。ここから、段階的に脱却を図るべきであろう、というのが拙ブログの過去の主張でした。
参考:
13年10月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/f0374cef63396afc2d7530ffcac823a7



で、原油に話を戻そう。
エネルギー価格は妥当性を欠いているのではないか、という批判をした。
13年10月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/b350e03a2030cd856bf4dd2437f3fbe9

米国の供給力分は確実に増えているわけで、サウジの増産も止まっていなかったのですから、どこにも価格維持の要因など存在してなかったわけです。下落は当然起こるはずなのに、起こらないとなれば、これは何かがオカシイ、ということですよね?経済学の基礎的な原理というのは、概ね正しい方向になるはずですから(笑)。


過去の原油需要が逼迫している、という説も異常でしょうねという話を何度も書いたわけです。200ドルになんか到達するのは、バブルでしかないってことなんだわ。

08年10月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/32c444de76dfd812fe54a19355034c98

08年7月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/f607108ae89fbaa4c6a6b82bc0825c12


リーマンショック後に下落したのは、ご存じの通り。
需給で決まるなんてのは、ほんのごく一部の話であって、価格カルテルみたいなものなんだわ。


その後、価格は上昇したものの、ロシア制裁等の影響などから下落が止まらなくなったわけですね。
14年12月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/22a6f526c275dfaef81ff8609b3b0127


OPECも減産はしない、ということで、体力勝負の競争となったわけですかね。そうすると、供給力に応じた価格下落が発生するということになるわけだ。これこそ、市場の調節機能に感謝するべき、ということになるのでしょう(笑)。

産油国は主にドルペッグ国が結構あるので、軒並み収入の大幅減となったわけですね。すると、ストックを取り崩しての「換金売り」となるらしいので、株安が世界中で進行するということのようです。


あと、人民元の下落がどうの、ということで、大喜びしている連中もいるようですが、話はそう単純でもないような。
香港あたりには、オイルダラーがかなり入っていても不思議ではないので、人民元建て資産を売却するということは分かりますよね。でも、以前は「中国がドル買いをして人民元を意図的に引き下げ、輸出で大儲けしているんだ、だからドル買いは悪い!!」って、盛んに中国を批判してた人たちが大勢いたのではなかったのですか?
だとすると、ドル買い介入をしなくてもよくなったのだから、人民元が売られるのを喜ぶのが中国政府ということになるのでは?(笑)
米国議員の中にも中国は為替操作国だ、人民元はもっと高くなければおかしい、って言ってましたよね?そういう人たちは、人民元が売られたら売られたで文句を言うわけですかね?何か、笑える。


香港の銀行間金利が大幅上昇したのは、「人民元」の通貨が不足したから、ではないでしょうか?ドルの融通は必要がなくて、人民元の需要が増加すると銀行は他行から融通してもらう為に提示金利を高くするしかない、というわけですから。それは、ロシアのルーブルに売りが浴びせられた時とは、違うでしょうという話です。

中国通貨当局が外貨準備のドル売りをして人民元を買うのであれば、別に文句を言う筋合いなどないように思えますね。中国が大量にドルを売って(=人民元を買い戻して)るなら、誰がドルを買い支えているのだろうか?
GCC諸国とかの産油国
投げ売りだろうと、とりあえず人民元建て資産とかに代表される新興諸国の資産を売って、ドルのキャッシュ(か米国債)に持ち替えているのかもしれない。


今後、原油価格の低下が持続すると、いずれドル建て資産も売りに出されるはずで、いつまでもドル買いが続くとも思えないわけだが、そうなるとドルの通貨としての地位はどうなるだろうか、という話だな。

参考:
08年1月>
http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/2bddfa1178f2e64f74186d03541071c1


それから、イランの話ね。
12年2月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/74f0ea3dca0551bbb546a318d956430b

(再掲)

核兵器開発は止めた方がいい。

何故なら、アメリカはイランが敵対して核開発を行えば行うほど有利な立場になってゆくからだ。内心では、「もっとやれ、もっとやれ」と喜んでいるのだよ。アメリカがユーロ圏の通貨を売りまくりで、イランとの原油取引を止めさせることに成功した。ソブリン危機を煽り、フランス国債格下げで追い込んで、ユーロはたまらず制裁を決めたのだ。

アメリカにとって、これは二重においしかった。
基軸通貨ドルの地位は安泰、イランへは原油取引制限を課せる、ユーロはいつまで経っても金融業界の傷が残る、ということだ。金融業界のライバルたちがヘタっていると、誰が得するのか、誰が一番喜ぶのか、ということなのだ。
ドルの基軸通貨の地位が失われているなら、イラン中央銀行への制裁のような金融制裁措置はとれなくなる。決済機能は別に存在できるからだ。それは、米国金融機関を介さない取引で難なく行えるようになるからだ。その特権的地位を死守しようと、アメリカは必死だったのだよ。フランス国債格下げが何より効いたのさ。

もう一つ、イランの原油供給が減ると得する人たちがいる。それは誰か?
サウジをはじめとするGCC諸国だ。ドル安でアメリカに対してちょっと不満だったのだが、原油供給が減少すると彼らにとっては利益となる。イラク原油が減っていたのが、戦争終結後に復活してくると、埋蔵量と産出量でライバルが増えるという結果になるから。

それ以上に大喜びなのが、米国自身なのだ。国内での天然ガス産出と原油生産という、かつてのエネルギー産業の復活に湧きたっているからだ。イラン原油の供給が減ると、価格上昇と共に米国産原油ないしシェールガス等で十分勝負になるからである。

なので、イランが核開発をすればするほど、アメリカを喜ばせるだけとなる。

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イランの供給力が戻ってくると、「戦争希望」の連中が中東で大戦争でも引き起こすことでもない限り、原油価格の上昇は暫くは見込めないはずだが、どうだろうか。日本の交易損失は若干改善するかもしれないが、騙され国民なのでどうだか。
長期契約だから、とかいうボッタクリのせいで、高値で買わされ続けるのかもしれない。原子力ムラの復活でそれが正当化される虞すらある。