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【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

日銀・金融研所長に白塚重典氏就任記念〜やっぱりアベノミクス批判

たまたま目が留まりましたので。

http://www.asahi.com/business/reuters/CRBKCN0YZ03E.html


どのような方か全く存知あげませんが、ご芳名だけは目にしたことがあり、この度初めて経歴を知りました。

かつて、翁―岩田論争が有名になりましたが、翁氏は金融研所長を務めておられましたよね。その同じポストに就くということで、時が経つのははやいものでした。

ブログを書くまで全く知らなかった世界でしたが、覚えやすい名前だったことと日銀のペーパーではよく見る名前でしたので、全く知らない方であるのに、何故か記憶に残る人物となったわけです。


拙ブログでは、お恥ずかしい限りですけれども、例えば以下のような記事を書いていたりしました。

10年7月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/e59b70c02bba1e12b7f15a0cea4180e1


他にもありますが、とりあえず(笑)。
これからも、研究、理論面で、是非とも頑張っていただき、日本経済の立て直しの為に役立てて行って欲しいと切に願っております。


さて、ここから本題に入りたいと思います。


http://www.nikkansports.com/general/news/1661772.html


安倍政権の経済政策アベノミクスが始まった2013年から大手企業と中小企業の業績格差が急拡大し、経常利益の合計額の差は15年に19兆円と過去最大になったことが11日、大手シンクタンクの試算で分かった。12年の差は10兆円だったが、大手の利益の増加率は中小を大きく上回っており、15年の差は2倍近くに膨らんだ。売上高合計も大手が12年より増加した一方、中小は減少し、勢いの違いが鮮明だ。

 大規模金融緩和による円安で輸出中心の大手は収益が伸びたが、中小は原材料の輸入コスト増が重荷となった。政権が進めた法人税の実効税率引き下げや投資減税は、黒字で投資余力がある大手への恩恵が大きかった。

 14年の消費税増税も、国内事業が主力の中小はより深刻な打撃を受けた。政権は大手の好調さを中小に波及させるとしているが、現状の大きな業績格差を縮めていくのは容易ではなさそうだ。

 シンクタンクの三菱UFJリサーチ&コンサルティングが、財務省の法人企業統計を基に試算した。大手は資本金10億円以上の約5千社、中小は1000万円以上1億円未満の約100万社が対象。

 15年の経常利益合計は、中小が12年比で30・2%増の20兆7000億円となったが、大手は53・3%増の39兆7000億円と大きく引き離した。双方の利益の差は、12年の10兆円から13年には18兆3000億円に急増。15年は比較可能な1960年以降で最大となった。

 売上高合計も、大手が12年比1・4%増の557兆円だったのに対し、中小は1・3%減の504兆円にとどまった。売上高に対する経常利益の割合は大手が7・1%、中小は4・1%で、その差も過去最大だった。

 今年に入り円高が進み、大手の業績にも陰りが出ている。三菱UFJリサーチの小林真一郎主任研究員は「大手の好調さが波及しないまま、中小の業績が失速する恐れがある」と指摘する。

 地域経済を支える中小の収益が伸び悩めば、賃上げが広がらず地方の景気回復も遅れる恐れがある。参院選では人材確保や生産性向上などで中小を支援する方策も重要な論点になりそうだ。(共同)

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日本の経済に関係する方々というのは、本当に物事をよく見てないのか、考えてないのか、何かと後手後手になることが多いようなのです。
そうなるから、気を付けろよ、と警告しておいたのに、どうしてよく考えておかないのでしょうか。病状が悪化してから気付く、というのは、平凡であり、当たり前のこと。そうなる前から、対策をしておくとか、悪化させないような手を打つ、ということが、日本では全くできず、そのような思考も慎重さも欠如しているのは、どうしてなのでしょうか?

専門でやっている方々が大勢いるのに、ワケが分かりません。


13年7月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/0495804169d616e3f98f2a9607a795cb

開始早々から、そんなことは予想できていたじゃないですか。3年前から言っておいたでしょ?


何度も言うけど。再掲も何回もしてるけど。

13年3月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/d5610ce97d98926d193a365c697ad56f

(再掲)


円安になったからといって、電機、自動車、金属・機械などの主力で輸出が伸びていない(むしろ減ってる、笑)ので、円安で輸入コストが大幅増となってしまうことの不利益の方が、今のところは圧倒的に痛いということになるだろう。
EUの経済問題とか不調によって、日本からの輸出が減少しているんだ、という見方もあるだろうけれども、それなら円安になっても輸出が増加するということにはならない(=世界需要の減退によって日本製品の売れ行きが左右されるということになり、為替要因はあまり関係ない、という見方となる)。その場合、輸入コストだけが増加するだけなので、日本には打撃となるだけである。
自動車、電機、金属・機械のクリーンナップが円安になったからとて、本当に輸出増加を達成し稼げるようになるのか、というのは若干の疑問がある。需要が消失してしまえば、リーマンショック後のような状態に陥るだけなので、例えば中国経済が大幅減速などという傾向が顕著になれば、やっぱり「円安なのに稼げない」というところに落ち着くだけだろう。せいぜいコスト率の若干の改善に寄与するかもしれないが、大した効果は得られない可能性もある。

すなわち円安を意図的にもたらすことで、わざわざ交易条件悪化に拍車をかけているだけ、ということになる。実際、03年までの貿易収支の姿というのは、輸出量が今ほど多くはなかったにも関わらず、交易条件は現在ほど悪化していなかった。

 (中略)

例えば、輸出企業がデフレ継続を後押しするかのように輸出物価の下落を招き、輸入商社などにおいては原油等の意図的な高い輸入価格としてきた、というようなことである。それら利益は、主にグローバル企業群へともたらされたであろう、ということが推測されるのである。
今後、輸出物価が改善せず交易条件悪化が続く、或いは円の恩恵を受けた企業群が思ったほど稼げず、単に「商品力」で競争に負ける(日本製品への需要がない)といったことならば、円安自体が日本国民への大打撃となる、ということは肝に銘じるべきであろう。
そういう意味においても、アベノミクスは両刃の剣である。

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なので、金融政策をいくら頑張ってみても、金融政策は「万能薬ではない」(by日銀理論)ということに尽きるわけですわ。
で、効果のほどはどうだったか、考えてみたことがあります。
日銀が銀行と国債を競合して買う、という点から言えば、効果はその後も発揮されており、遂にはメガバンク機械的な投資スタイルを回避しようかな(例のMUFGのPD返上?噂話)、という所にまで来たわけです。


13年8月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/f6275b926509976c5c424f489d342fb2


ですので、本来なら、政府と国会が「次のエンジン点火」を担うべきところ、無能で役に立たなかったということです。
しかも、何故失敗したのか、という反省が皆無なのです。「りふれは」なども同じ。アベノミクス大賛成しか言えない、データも満足に読めない煽動者しかいなかった、ということです。


資本のコストが例外的に低下し、「利潤」ばかりが独占的に奪われてしまった結果、賃金には波及が乏しかった、ということです。それを変えさせることができるのは、「政策」なんですよ。

更に、金融政策効果が出たとしても、これをマスクするような消費税増税ショックがあった為、効果の判定が困難になってしまいました。
かつて、これに似た状態に陥ったのを忘れたのですか?

2000年代前半、ゼロ金利解除の失敗を受けて、量的緩和を30兆円超まで引き上げたわけですが、当時平行で行われた「政策デフレ」(=地方圧迫、診療報酬削減、グローバル化・オープン化進展、大企業優遇政策、非正規雇用拡大、労働市場流動化促進、等々、所謂「構造改革路線」だった)によって、収益源となるであろうエース級が自動車・電機・金属機械、等々にまさしく「選択と集中」によって、中央集権的な企業階層が出来上がってしまったわけだ。

その大きな反動を食らったのが、リーマンショックであり、その後の停滞期だったわけである。
集中させたことが、かえってリスクを高めてしまった、ということだ。昔ほどは稼げないエース級の3本柱となってしまった。


しかし、アベノミクスの恩恵を最大限受けたのが、これら輸出系大企業であったわけで、それを支持したい勢力は例えば、金属労協に集中しているというわけである。何たって、TPPも推進しろ、という政治勢力だからね。自分たちの懐具合だけが大事で、日本は二の次、という発想なのでしょうか。それとも、ほんの一握りの組合幹部の連中が、そうしたグローバリスト達だというだけなのでしょうか?


ま、円安で投資利益が多くなる人と、逆に損が増える人がいるから、意見が対立するのは止むを得ない面があるが、己のみが大事で、他の連中は沈んでもいい、というような発想が蔓延した結果が、今の日本経済なんだということは、自覚した方がよいだろう。


せめて、若者たちに、マイカー持たせて、家族や友達と一緒に出かけたり、楽しい時間を過ごせるように、そういう社会を残してやりたいとは思いませんか?それは、過剰な贅沢なのか?


その為に、するべきこと、これをよくお考え下さい。目先の欲望や小さな利益の為にではありません。
日本国民の為、です。
将来に渡る子々孫々も含めて、です。