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【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

本当に必要な構造改革〜3 国こそ自助努力

どうも円高はつらい、という声が輸出系の大企業界隈から出ているようである。経済低迷だ、とか。しかし、円高を歓迎することができなければ、いつまで経っても「強い通貨」(笑)を目指せないでしょう。

強い通貨こそが、世界の信用が高いということなのです。その証なのです。


けれども、日本人はどうしても守りの姿勢が強いので、稼げません(笑)。その具体的な対策を提案します。荒唐無稽と笑うかもしれませんが、騙されたと思ってやってみて下さい。

まず、外貨建資産の購入を日銀がやれ、とか押し付けられても、それは可哀想というものだ。無茶ができないし、限界がある。中央銀行だからね。


そこで、政治の役割(笑)でしょ?
何の為の政治なのですか、と。政治が責任を負うんです。国だからこそ、できることもある、ということです。以下に、概要を書いてみます。


・国が100%出資する投資会社(特殊会社)を作る(SWFのようなもの)
・投資会社に投資指示を行って、外貨建資産を購入させる
・投資会社に指示を出す部署を内閣府財務省に設置
・政府資産運用局とか政策投資課とか、適当な名称をお願いします
・投資指示の専門員を財務、経産、外務、等各省庁のエース級を配置
・専門員の人事異動はあまり頻繁でなく、少ない方が望ましい


1)資金調達と資産購入

国は、無期限債券(表面利率年1%、1回利払い)を発行する。これを日銀に買い取らせる。直接引き受けではないか、との批判は甘受します。為替介入の際と同じ意味合いと考えて下さい。介入資金の場合には、短期債券で行っていたのですが、この場合では、無期限債を用いることにするのです。

初期費用はとりあえず10兆円とします。日銀は無期限債を受け取る代わりに、10兆円を政府に支払います。政府は、この10兆円を先の投資会社に入金し、これを原資として海外資産購入を実行してもらいます。

購入資産の対象は、政策投資課のエース級の人たちに選定してもらいます。
名目上は、投資会社の資産購入資金となっていますが、円高が昂じている時に、外貨を買うわけですから、実質的に円売り介入に等しい効果が得られるのです。当面は、国債等で持っておくか、外貨預金として分けておいてもいいです。どの通貨を買うのか、という点でも、投資判断の対象となっていることを忘れずに。

例えば、今なら、ポンド買いという選択肢もあるというようなことです。
投資対象として、換金性の高い、海外の株式を購入してもよいでしょう。例えば、各国の基幹企業などは換金性とか長期保有資産としてのメリットはあり得ると思います。VWシーメンス、フィリップス、BP、等の巨大企業など、倒産リスクの小さいと思われる会社の株は、十分に考えられるということです。ドル買いなら、アルファベットやアップルやアマゾンの株式も対象となり得るでしょう。

投資対象が高い局面なら、国債投資でもかまいません。そういうことを、円売り資金で実行するということです。


2)政策の効果とは?

これは、投機的動きでの円高が行き過ぎると、介入資金が円売りをしてくるだろう、ということになるわけです。円売り資金は、日銀が「創造したお金」ですから、国民の懐は痛まないわけです。無期限債券なので、永久の借金じゃないか、ということになりますが、その通りです。
けれど、政府の投資資産が増えているわけで、誰も困りません。投資対象からの配当金等は、全て政府収益として還元することとします。
円安局面では、逆に保有資産を売却(=外貨売り円買い)して、政府債務を減額することだって可能ですし、政府予算の国債発行額の調節にも使えます。金利が高止まりしている局面では、新規国債発行額を抑制する効果が期待できます。


一方、日銀はどうするのか?
無期限債券は、ずっと持っていてもいいですし、市中に売却しても良いということになります。
それはどういうことか?
インフレ率が上がっている場面だと、市中資金を吸い上げるべく、無期限債を売ればいいのです。入札すれば、その時点での利回りが必然的に算出されるので、投資家たちが「買ってもよい」水準の価格が自動的に決まるということです。

額面100万円の1%利息付無期限債が90万円で売れたら、その時点での割引現在価値が決まり、その金額分が市中から吸い上げられるオペ効果が発生する、ということです。


3)円高になったら損するのをどうするのか?

極端なことを言えば、円高を阻止することは理論上必ずできます。何故なら、ある水準の円高が発生すれば、日銀が貨幣を生み出すことは無尽蔵に可能ですので、円高が止まるまでずっと投資会社が外貨買いを続ければいいだけです。極端な話、海外株式市場の半分とかを買い占めることだって、できてしまうようになるでしょう。

そんなことが現実に可能になると思いますか?
あり得ないでしょう。円をそんなに必要として買う人が現れるとも思えませんからね。円を買うことで、世界中の資産が買い占められるのを黙って見ている人はいませんから、みんなは円売りをしてくるでしょう。なので、円高は止まることになります。

円高が止まるまで政府が買い続けた資産は、まるまるお得に買物ができたに等しいので、その収益は政府の税収を補ってくれるわけで、まことに円高は有難いことです、円高さまさまです、ということになりますね。

日本国民の多くが怒るのは、まるで「自分のお金(=税金)」で、投機の博打をやるからであって、自分の腹が痛まずに、かえって減税効果をもたらしてくれるなら、反対などしないでしょう。

日本は為替操作国だ、とか米国が文句を言うのかもしれませんが、これはあくまで経済的な活動に過ぎず、投資対象を購入するだけなのですから、文句を言われる筋合いなどない、と突っぱねることは簡単です。ただ、逆鱗に触れて、もっと別な嫌がらせとかをやられる可能性があるかもしれませんが。


4)日本の財政破綻を招くのではないか?

ほぼあり得ないでしょう。そんな国の通貨を何処の誰が買いますかね?
円売りが殺到するなら、日本の持つ1兆ドル級の米国債とか、これまでの対外純資産が猛烈な価値を発生しますし、輸出企業群の企業利益は円表示で何倍かに膨れ上がりますから、やっぱり大儲けでしょうね。そういう国は財政破綻なんかしないんですよ。

金利が上がるのでは、ということはありますよね。
実は、その狙いがあるのです。
無期限債券は市場に放出されると、価値がゼロになることもない(その場合円は崩壊し日銀は存在してないでしょう)し、無限に大きくなることもありません。どんなに高くなったとしても、値が付くのですよ。今のマイナス金利となっている国債市場を緩和する効果が出てくるはずです。短期債が枯渇してるので、それ以外の調節手段としても活用できますし。


年金資金で50兆円規模の外貨建債券や株式購入をしましたが、それでも円高になってますでしょう?
となると、30兆円や50兆円程度、投資会社が海外資産を購入したとしても、大した円安効果なんかないのでは?
けれど、円安になるまで購入を継続すると他の投資家たちが知ったらどうなるでしょう?為替市場のルールが変わるのでは?


さて、これは、勝つまでやる円売り外貨買いであり、その結果、日本での税収は大幅に改善し、増税は必要なくなります。日銀の刷ったお金で購入した資産ですから、円高で元本割れになったとしても、痛くも痒くもないです。


国債金利が反転し、10年債が2%とか4%とかになってゆくなら、名目GDP成長率が相応のプラスに到達しているはずであり、インフレ率も上がってきているはずで、日銀はそこでいくらでも国債売りで引き締めることは簡単にできるのですよ。

金利が高い時期には、政府の新規国債発行額をガンガン減らしても、無期限債の流通がある限りにおいて、調節機能維持はある程度可能ですし。

円安になったらなったで、資産価値が上がって儲けるはずだし、日本という国自体の「老齢国家」移行で、利息や配当収入という「過去の資産」から所得を得るという生活になってゆくのもしょうがないのでは。

ドル円が仮に200円とかになったとしても、日本の生産力は割と高いので、輸入品を避けて国産に切り替えることはそう難しいことでもなく、石油等のエネルギー関連部門の不安が少しあるという程度ではないかな。本気でそう思ってるなら、投資会社は国家に役立つ資産を購入するはずだしね。


5)規律はどうなるの?

毎年度に、保有資産の情報開示をするべき。収益率とか収益額も勿論である。ただし、投資内容そのものの個別の銘柄とかは伏せておいた方がよい場合もあるので、銘柄と保有株式数は公開すべきではない。場合により、売却する時などに色々と揉める原因となりかねないので。

資産クラスと保有残高くらいは、開示した方がよいでしょう。実物資産についても、個別の場所とかはいいとして、どんなものを買ったかは公開した方がよいのでは。例えば「ロックフェラーセンタービル」とかは、個別に言わない方がいいでしょ?


一番重要なのは、毎年会計検査院の検査を受けるようにすること。本来であれば、監査法人等の監査ということになるかと思うが、情報漏れの問題とかあると困るので、会計検査院の検査とする。国家の戦略的な投資政策ということになるので、慎重な情報管理が求められる。しかも、50年とか100年単位の長期的視野と展望が要求されるし、一方では、機動的な運用も必要とされる。プロを凌ぐ力量を発揮できる人材を発掘するしかない。専従班のノンキャリアに特殊才能の人を入れるとか。


それこそリーマンショック級の経済ショックが襲ってきたら、一時に資産価値暴落を招くかもしれないが、そこで慌てる必要はなく、むしろ買い場の可能性を考えるべきということになろう。

本当に、日本最強レベルのエース級の力が必要となるので、常日頃からの情報収集とか、投資対象のヤバい面がないかといったブラック情報を集める能力とか、流動性の程度とか、あらゆる面での実力が必要とされ、その成否は国家予算の毎年の数兆円に軽く反映されるという、まさに、一騎当千どころか「一人数兆」レベルでの働きが求められる。資金投入のタイミングとか、そういうのもあるし。


こうした方法であると、バラマキだ、という批判も回避できる。単発の刺激策に過ぎない、という批判も同様。未来に、将来の子世代にも残せるもの、それを選ぶんだ。輸出系の大企業の人たちだって、喜ぶ方法のはずだと思うが。
単に「利益を生むもの」を探すのではなく、国民を救うべく「国家財源として貢献できるもの、税収の一部として利益を生むもの」を、死に物狂いで探すんだ。これを、どういうタイミングで仕掛けるとか、全く秘匿したまま、こっそりと買い入れておくということなんだ。秘密、というのが本当に何よりも大事。


ああ、外貨資産購入は、物価が安定的に上がってゆくまで、国債金利が日銀の金利調節可能なプラス圏(1〜2%程度?)に行けるまで、諦めずに買い続けることになるでしょう。



追記:

これは、ある種の財政出動策ですが、輸出企業にだけ恩恵が多くて、円高で恩恵を受けやすい中小零細企業や、降雪地帯(暖房費とかロードヒーティングとかガソリン代とか)にとって、かなり不利となりますので、国が獲得した収益を「円安影響補正」で配分する必要がありますね。

国が一律に円高を阻止するわけですが、その結果、有利不利ができてしまうので、国が獲得した収益から、毎年定常的に「円安打撃緩和措置」として税を投入するということになりますね。

具体的には、

・原価に占める為替の影響度を業界ごとに平均的な値(緩和係数のようなもの)を算出して、法人税の減免か納付すべき社会保険料との相殺をする
地方自治体への交付金等で、円安打撃の大きい地域に多く配分し、円安で恩恵を受ける大企業やその社員の多い地域には逆に減らす、といった措置
・寒冷地に補助する為に指定する自治体に交付金を配分、その同額を住民税か社会保険料国民健康保険料や介護保険料)軽減財源に充てる

などを考えてもらえれば。

これは、ある年だけ突出して収入が増減するのではなく、ある程度一定水準を保てるよう、よく考えてもらいたい。購入資産からの収益のうち、例えば平均収益額の50%をまず円安打撃緩和用の予算として除外、残りを一般会計財源のうち、教育・社会保障部分に充当、とか。仮に年間2兆円の収益金を国庫に納めるとして、毎年打撃緩和用予算を1兆円、残りは一般会計に繰り入れ、とします。

経済情勢により、この収益金が半減したとしますか。その場合にも、緩和措置用に1兆円投入して一般会計には入らない、ということになります。円高が来るかこないかは、事前に分からないのと、円高時の恩恵は全く受けられない側の不満というのはあるわけで、10年で10兆円くらい円高恩恵組に使わせろよ、とは思いますわな。だって、外貨建資産購入の為に、既に10兆円は使ってしまっているわけですから。これは円安恩恵組の為に、最初に使われたお金ですので。


なので、円安緩和措置には、相応の額の投入を必要とするということです。