怒りのブログ別館

【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

「福島県の小児甲状腺癌は過剰診断」説は本当なのか?

また菊池誠が何か言ってるのか?(笑)


「過剰診断」説で全て整合的に説明できる、というのであれば、その理屈の説明をできるだろう。それを明示すればよいことだ。何故しない?
ああ、医師でもない人が、何故か全てを知っているかのように振舞えるという特権を享受し続けたいから、ですかね?


あくまで私見であるが、拙ブログの見解について、述べておきたい。


1)スクリーニングで福島県の「小児甲状腺癌が増えた」って?


どうも、「スクリーニング」効果というのが未定義らしいので、話者によって都合よく使われてしまう、ということがあるのかもしれない。スクリーニング効果という語が何を意味するかは、こちらからは推定が難しいので、あくまで一般的な説明を書いてゆくこととする。


部位によらず、例えば「ガン検診」をくまなく実施した場合には、「ガン検診」というスクリーニングによって、ガンかその疑いがあるとされる人の数は増えるだろう。罹患率が上がる可能性が高くなる。
精密に検査すると本当はガンではないけれども、検診結果ではガンとして引っ掛かってしまう人もいる(偽陽性の問題)。
そういったことをひっくるめて、スクリーニングを実施すると、ガン検出が増加してしまう、ということは言えるだろう。平凡な言い分はそういうものであろう(当方の推測です、論者の意図は不明)。


福島県の小児甲状腺癌の手術となった126例は、そういうことではない。
当初のスクリーニングとして実施されたのは、いわゆる先行検査というものだった。そこでは、「ガンの検出例は1例も存在しなかった」。スクリーニング実施による、ガン検出の増加を言うのであれば、まずは初回の「ガン検診」に匹敵していたであろう、比較的正確・精密な検査手法と考えられる甲状腺エコー検査での結果で、「甲状腺癌」が検出されていなければならないはずだ。

しかし、C判定は一例も存在せず、ガン(疑い)例は皆無だったではないか。


加えて、福島県外の対照地域検査を同様に実施したが、福島県の結果とほぼ同等であり、有意差は見られなかったとされていたでしょう。

http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=16520

青森市、山梨市、長崎市において、4365人に同等のスクリーニング検査が実施されたが、ガンの検出はゼロだった。これが、スクリーニングの結果である、ということだ。


すなわち、福島県と対照3地域において、3〜18歳以下の対象者では「甲状腺癌は検出されなかった」ということだ。


これのどこがスクリーニング効果なのだ?(笑)
ガン患者がこれで増えたのか?
否、増えてなどいないのである。
検出されたのは、(良性の)結節か嚢胞性変化であって、「充実性の腫瘤」などではなかった。


よって、「スクリーニングを実施したので、ガンが増えたんだ」説は、極めて根拠に乏しいと言わざるを得ない。


2)「過剰診断」とは何か?

これも話者により、不正確な用いられ方をしていると思われ、真意は確かめるのが難しい。

参考として、こちらが分かり易い。


http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20150324


NATROM氏による定義によれば、端的に言えば、『過剰診断とは「治療しなくても症状を起こしたり、死亡の原因になったりしない病気を診断すること」』とされている。


福島県の小児患者だけが、こうした過剰診断だったのか、というのが論点である。
もしもそう断言できる根拠を有しているなら、例えば菊池誠阪大教授が、「治療しなくても症状を起こしたり、死亡原因にならないガンを切除したんだ」と、根拠を挙げてその立証すればよいのである。

手術を受けた患者においては、

甲状腺癌は治療しなくても何ら症状を起こすことがなかったこと
・死亡原因にもならないこと

を言えるだろうに。
腺外浸潤があっても、リンパ節転移や遠隔転移があろうとも、「症状を起こすはずがない!死亡するわけがない!」ことを立論できるんだろ?
だったら、その論拠を言えばよいのだよ。何故できないの?
論拠もこれといった理路もないけれど、何となく過剰診断だと断定できるのは、どういう屁理屈だね?


3)10年後か20年後まで放置しておいても、本当に大丈夫だと言えるのか?


例えば、甲状腺癌は、増大が極めて緩徐で、10年か20年後じゃないと臨床的には受診に繋がるような症状などがなく、発見されないんだ、若年層の検査はそれを早期発見しているだけなのだ、という言い分があるものとしよう。

(因みに、甲状腺癌の増大速度については、小児患者でどうなっているか、なんてことは、誰にもよく分かっていないはずだが、阪大教授の菊池誠あたりになると、それを知っているということなのだろうか。ならば、その根拠を教えて欲しいもんだ。)


具体例で言うと、次のようなことである(あくまで喩え、です)。

    8歳  直径 A mm のガン

   18歳  直径 A+X mm のガン

   28歳  直径 A+Y mm のガン  →病院受診で発覚し、手術

増大速度が分からないですが、ある年齢に到達すると、エコー検査などを実施すると検出されるものだが、臨床的には無自覚で経過するので発見されるのは20代くらいになってから、ということを言うものであろう。


で、実際に手術適用となるのは、こういう直径がA+Yくらいの大きさであって、それくらいになるまでは放置しておいてよいのだ、と。福島県の小児甲状腺癌では、これが8歳とか18歳時点で検出しているだけなんだ、と。


もし、その説が正しいとするなら、10歳未満であっても一定割合でガンが検出されるはずだろう。それは、福島県だけじゃなく、対照地域においても、だ。しかし、先行検査のスクリーニングで検出された小児は、いずれもゼロだった。腫瘤が発見された人は皆無だったが、その後に主に「10mm以上のガン」が大半となって手術に至ったわけだ。

増大速度が緩徐だったのなら、先行検査で確実に検出されていたのではないか?一部に偽陰性の結果で未検出だったとしても、何十人もの患者の検査結果が、全てそうだったなどとは考え難いだろう。


本来なら、28歳時点で切ればよかったであろう患者を、例えば8歳とか10代で検出しただけで、それを切ってしまったんだ、という説は、先行検査や対照地域でだたの一人も「ガン」を疑う検査結果がなかったことからすると、説明ができないだろう。とてもゆっくりとしか成長しないガンならば、手術時に20mm以上になっている腫瘍を、初回検査で発見できなかったとでも言うかね?
それも、高々1年や2年前とかに検査を実施していたにもかかわらず、なのだぞ?


小児の甲状腺癌の増大速度が、それほど遅いという根拠が不明だし、スクリーニングで検出されなかったのもおかしいだろう。


4)小児の甲状腺癌は男女差がある

福島県において、男児でも手術例がかなり多い、というのが、手術を担当してきた医大の医師から説明されてきたものである。
これは、過去のガン登録の結果から見ても、そうだろうと言える。

1990年、2000年、2010年のガン登録患者数によると、30歳未満は90年1名、2010年に3名しかいない。つまり治療対象となった甲状腺癌患者は、男性の若年層では極めて稀ということだ。しかも、登録された患者は、20〜24歳で2名、24〜29歳で2名と、20歳以下はいなかった。同年代人口10万人に対する罹患率では1.14〜2.39であり、30歳時点で発症して手術されるであろうという仮定を置いたとしても、10人を超える数は想定できない。

ガンの発育速度が本当に何十年もかかるなら、スクリーニング検査を実施すると、10代なら検出される可能性が高い。しかし、先行検査でもいなかったのに、実際の手術対象者は数十人にも登っているのだよ。


女性の場合は、バセドウ病と似た傾向であり、男性よりもずっと多いというのが一般的だ。同時期の登録者数を見ると、20代女性は男性の数倍は多く、人口10万人対では6.22〜8.33である。10代女性でも稀に治療対象となっており、0.98〜2.49という罹患率となっている。14歳以下は存在しており、2000年に9歳以下で1名、14歳以下は2000年に1名、2010年に1名だった。

ここで、14歳以下での治療対象者が過去にも存在してきたということから、増大速度が「20年待ってもダイジョウブ」などと果たして言い切れるのか、というになるわけだ。若年女性での甲状腺腫瘍例を知っているなら、そんなに何十年もかかるというのは疑問が生じることくらい当たり前なのでは?

20年くらいしないと腫瘍が大きくならない、ということなら、男性の場合と同様に若年患者は検出されてこないだろうから、だ。しかし、現実にはそうではない。


よって、福島県の小児甲状腺癌患者を見ると、男児の数がかなり多い、ということが言える。しかも、この全てが仮に30歳まで待っていればよかったのだ、という説を取り入れたとしても、30歳時点で手術適用となる男性の数が、人口10万対比で多すぎるということだ。


5)「過剰診断」説を主張したければ、根拠を出すべき

福島県甲状腺検査が悪いものであり、患者利益とならない、と主張しているわけだろう?

ならば、上記例で言えば、18歳時点での大きさがA+Xmm時点で切除しても、A+Yに増大してから切除しても予後は全く変わらないので、待つべき利益はこれこれだから、今は検査も手術もすべきでない、と主張すればよいのだ。では、何mmになるまで待つべきなのか?
たとえリンパ節転移があろうとも、待つべきなのだろう?そう本気で信じているなら、その利益について、正確に説明できるはずだ。

それを言ってみろ、とお願いしているのに、何故言わない?


検査が否定される理由というのは、予後を改善しないとか、神経麻痺の合併率を改善しないとか、そういう何らかの理由があるから、だろう?

「過剰診断」説を唱える人間ならば、その理由を挙げて説明することくらい、朝飯前だろうに。阪大の菊池誠教授が、小児の甲状腺癌について、どれほど造詣が深いのか知りませんが、自分の知っている甲状腺癌の科学的知見とやらを、世間に開陳すればよいのですよ。

どうした?
やってごらんよ。



スクリーニングで甲状腺癌が増えたって?
どこに、そんな根拠があるのだね?


同等の検査を実施した、福島県と対照3地域で、ガン患者が検出されてなかったのに?
一蹴ですよね、こんなの(笑)。


物理学教授とやらが、疫学云々を言うからには、単なるデマを騙るのとは違うんでしょ?
だったら、自説の根拠を全て明示して、言えるだろ?


それができもしないくせに、言うだけならば、デマ屋と同じことをしているのでは?(笑)



※※※23日追記

ああ、言うのを忘れていたが、国が対照地域の検査を止めたのには、相応の理由というものがあるだろう。2011年以降の甲状腺癌の統計値公表もネット上では制限的となっているのは、よからぬ小細工の結果なのではないか?


もしも、福島県と対照3地域で違いがない、ということなら、長崎、山梨、青森の20歳以下の甲状腺癌のガン登録患者数や、切除手術件数を公表できるはずなのだ。通常は、同年齢人口10万人当たりでほんのごく少数しか検出されないだろう。男性患者なんて、いなくても不思議ではないだろう。それとも、福島県と同程度で患者が存在したのか?

同じく甲状腺エコー検査を受けた3地域の患者数と、福島県と比較してみればよいことだ。
別に、今から改めて検査を実施できないとしても、「甲状腺癌の患者数」は個人情報でもないし、公表できないものでもなかろう。それをしないのには、理由というものがあるのだよ。何かが発覚してしまうから、ではないのかね?



※※※24日追記


菊池誠のような人間がいるので、改めてはっきり言っておく。


2011年以降に、福島県甲状腺癌の手術例となった20歳以下の患者数は、2010年以前の同年代患者数に比して多い。

同じく、甲状腺罹患率の比較でも、福島県の方が高い


国なりガンの専門的機関が判明している統計値をきちんと出すなら、例えば2011年以降「九州全部」の20歳以下の甲状腺罹患率と比較して、福島県の方が高い、であろうというのが推定される。


もし他地域の数値と比べて同程度だというなら、その立証を国が行えば、数値的に根拠を示して「福島県の小児甲状腺癌は他地域と何ら差がない」ことを容易に示せる。甲状腺癌の小児患者なんて、ほぼ全数把握が可能な程度に少ないから。しかし、この立論を一切行わないということは、示せない事情が存在してきたから、ということくらいしか理由がないんじゃないのかね。


国なり公的専門機関なりが、正確な説明をすれば不安を払拭できるというのに、これを回避するのは、それができないからとしか思われないということだ。権威主義的と言われるかもしれないが、素人見解を拡散させるよりはましだろう?


それなのに、なんで菊池誠阪大教授みたいな、医師でも何でもない物理屋に、「デマ叩き(笑)」であるかのように見せかけて、好き勝手に説明をさせておくかといえば、正規戦ではマズいからなのでは?
つまり、ゲリラ戦で誤魔化しているに等しいのではないか、ということだ。



※※10/27 追記


コメントがあったようですが、気付きませんでした。失礼。今日、コメントが反映されたはずです。


で、コメントへの返答を兼ねて、追加しておきたいと思います。


上記記事中の「ガンの検出例は1例も存在しなかった」という部分ですが、これは2次検査ではなく1次検査において、という意図でした。

ご指摘の通り、二次検査となって穿刺吸引細胞診で悪性腫瘍であると診断された症例では、その後の手術対象となり病理診断で甲状腺癌が判明したものと思います。


ですので、一次検査における診断結果としては、甲状腺癌が濃厚であると判断された例=C判定の患者さんは、いなかったものと考えられたのだろう、ということで、上記記事を書いていました。


更に言えば、検査結果の公表初期段階ですと、報道等で甲状腺癌がないといった趣旨の記事があったのと、ネット上では甲状腺ガンではなく「良性結節だ、嚢胞だ」といった説教じみた言説が散見されたように記憶していた為、先行検査=一次検査段階では甲状腺癌の発見例はなかったものと思っていたのでした。


既に当時の記事は消えているのが殆どですが、少し探してみたのが以下のようなものです。


http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120427-OYT1T00250.htm
(リンク切れ、一部引用)

読売新聞
甲状腺検査「おおむね安心な結果」…福島途中経過

福島県が全県民を対象に実施している健康管理調査の検討委員会が26日、福島市内で開かれた。18歳以下が対象の甲状腺検査の途中経過が報告され、いずれも「おおむね安心できる結果」であることが報告された。

 甲状腺検査は、3月末までに、南相馬市浪江町などの3万8114人に実施。うち3万7928人(99・5%)がしこりなどが見つからなかったり、問題ないほど微小だったりした「A判定」だった。小さなしこりが見つかった「B判定」は186人(0・5%)いたが、すぐに治療が必要なほどの異常がある「C判定」はゼロだった。B判定の人については現在、念のため二次検査が行われている。これまでのところ、甲状腺がんを疑われる人はいなかったという。


http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20120518160011991

http://togetter.com/li/294217


2012年4月〜5月くらいの時点ですと、ガンは発見されない、といった言説が殆どであり、その後年末くらいになって極少数例が2次検査を経て診断された、といったものだったはずです。


しかし、ご指摘のあったように、その後の調査結果の公表上では、悪性ないし悪性疑いとされた例数が福島県より公表されていたのですので、上記ブログ記事の表現は「言いすぎ」だったと思います。


反省も兼ねて、ブログ記事は、このままの表記としておきます。
有意義なコメントを頂戴し、有難うございました。