怒りのブログ別館

【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

原発停止で「毎年3兆円の燃料費」損失は本当か?

過去にも幾度か取り上げたことがある。


2013年10月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/b350e03a2030cd856bf4dd2437f3fbe9

2014年1月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/a6f027499c15cbf1df00452d98faa1ef

   同>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/4453636c4aafd3307f9105409113d6a2


目先のことだけ言うのは、誰でもできるわな。それが、大局的に見てどうなのかというのを考えられるかどうか。


ああ、国富流出だったかを盛んに喧伝しておった石川和男なる人物もいたはずだ。

http://diamond.jp/articles/-/61846


追加の燃料費が「12.7兆円」か。ある一面だけを見れば、そういうこともあるかもしれない。だからといって、原発が有利ということにはならないだろう。


貿易統計から、数字を拾ってみました。

05〜10年度の6年間と、11〜16年度の6年間を単純平均で比較してみることにしました。
2016年度の貿易統計は、1〜6月期と4〜9月期の年及び年度の上半期しかないので、それぞれの数値を単純平均として2倍した数値を用いています。


参考までに、2016年度の推計(予想)は次の通りです。


         輸入量     輸入額

 石油(万KL)   19263     5兆2777億円
 LNG(万トン)   8013     3兆0376億円
 石炭(万トン)  18270      9797億円


同様に、05〜10年度と11〜16年度の輸入額(6年合計)は次の通り。

       05〜10年度     11〜16年度

 石油   67兆289億円     63兆7560億円
 LNG   19兆2733億円     34兆3010億円
 石炭   12兆3485億円     12兆4781億円


平均すると震災前が16兆4418億円、震災後が18兆4225億円、となっていた。2兆円弱の差があったわけである(6年間合計では11兆8844億円)。
これは、原粗油+LNG+石炭の輸入額の合計額が11兆円超の多さだったということだが、12兆円の損失が出たんだといった説明はやや不正確となるであろう。極めて短期間のみ観察するとそういうことがあるかもしれないが、それは主としてアベノミクス(意図的な円安)の影響ということがあるだろう。資源価格の価格要因ということもある。


けれども、年3兆円といった説は、今から見れば、そこまで大きくないのではないかと。
また、再生可能エネルギーの接続量が順調に増加するなら、16年度推計額のように10兆円以下に抑制できる可能性があるので、来年度以降には損失を取り戻せるかもしれない。


それに、6年間で増加した輸入額約11.9兆円の全てが発電用の燃料需要というわけでもないはずであり、主にLNGや石炭は発電需要が多いだろうが、石油は石油火力の発電施設自体があまり多くはないので、輸入額の差の大部分が発電によるものとは考え難いだろう。なので、実際の発電用燃料の分は減るはずであり、7割として約8.3兆円となる。


あと、LNG輸入額の多かった14年度の輸入トン数8907万トンから、恐らく今年度は約10%の減少が見込まれる。上半期の推移は大幅に減少してきたことを示している。発電需要のうち、ピーク需要に対応してきた部分が、太陽光発電の接続増加によって使用量そのものが減ってきた可能性が高い。実際、2015年度も8357万トンと約6.2%減少していた。


よって、10年単位の長期的視点であれば、再生可能エネルギーの拡大効果が発現してくるのではないか、と考えられるわけである。今年度なみに10兆円以下の燃料費輸入額が継続できれば、「原発が順調に稼働していた」であろう震災前と比しても、年3兆円の燃料費流出などということにはならないだろう。原発燃料費+処分費用等を上回る利益が見込まれる可能性だってある。


LNG増加要因は、石油機器からの代替(CO2削減という背景)があったわけで、その影響と見るべきであろう。