怒りのブログ別館

【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

TPPがもたらしたもの

ここ数日の最大の話題といえば、アメリカの大統領選だったが、これが想定外の結果をもたらしたわけだ。


まさかの、トランプ勝利、である。


拙ブログでは、一貫してTPP反対を訴え続けてきたが、当初全く米国民に知られていなかったTPPの存在が、次第にニュース等で認知されるようになり、15年のTPAを巡る議会採決では、二転三転の騒動があった。


けれども、オバマ大統領がどうにか各国大筋合意を取り付けたいということで、遂に12カ国の署名に漕ぎつけたものだった。署名時点では、ヒラリー・クリントン国務長官を降りた後だったはずだが、当初から反対とは言っていなかった。


民主党を中心として、反対運動が盛り上がった辺りから、雲行きが変わった。民主党候補争いで、サンダース旋風が吹き荒れてからというもの、TPP反対を明言していたサンダースに後れをとるまいと、ヒラリーもTPP反対と言うようになっていった。


トランプは最初から、TPP反対と言っていたので、ヒラリーとは違っていた。
今回の選挙結果は、様々な要因があると言われているが、中でも大きな勝機となったのが、ラストベルトと呼ばれる没落地帯であり、民主党の地盤の強いと見られていた地域のトランプ勝利だった。


日本でTPPの交渉参加問題が持ちあがっていた2011年11月に、萌芽があったものと拙ブログでは考えている。

タイトルが『グローバル化の陰で荒廃する米国の地域社会』だった。

http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/f7c95f29cc3320f8eadb6417206e489c


(一部再掲)

リーマンショック後、GMクライスラーは破綻した。ビッグ3と呼ばれた代表的企業は、倒れた。経済危機の本質は、彼らに責任があったわけではなかった。経営方法や金融に手出ししたことなど、問題点もあったのかもしれないが、自動車会社が特別な悪事を働いて企業を破綻させたわけではなかった。むしろ、彼らは同情すべき被害者であった、と言えるかもしれない。

唯一、生き延びたフォードだったが、自動車企業が苦しいことに変わりはなかった。グローバル化自由貿易という美名の下で、ビッグ3の危機となり、仕事を奪われた労働者たちは失業してゆくことになったのだ。


かつて、米国の上質な中流家庭のモデルは、自動車会社の熟練工などだった。ある程度の収入、医療保険、年金、といった、社会保障制度基盤を支えていたのは、自動車会社のような優良企業だった。

日本型雇用の原型は、多分こうした米国企業に学ぶところが多かったものと思う。

だが、手厚い保障の存在が、自動車会社を苦しめる遠因となってしまったのだ。
医療費がGDP比で15%以上にも達するようになったのは、自動車会社のせいではなかった。米国の貧弱な健康保険制度と競争的な医療(笑)と民間保険会社の営利の合作のようなものだろう。

自動車会社は、高騰を続ける医療保険の負担に耐えられなくなっていった。人件費のかなりの部分を、こうした医療や年金が占めるようになってしまったからだ。

儲かったのは、民間保険会社や年金基金の巨額資金を運用する投資銀行ヘッジファンドなどの金融業の連中であり、彼らのせいでビッグ3は窮地に陥ったようなものだ。経済危機を招いたのも金融業界の連中だったのに、自動車会社は「悪の権化」のように公聴会で厳しく非難されなければならなかった。


全米の労働者たちの雇用を守り続けてきたのは、自動車企業だった。
クリック一つで金を動かす、投資マネージャーなんかではなかった。それなのに、グローバル化アメリカ人の雇用を破壊し、町を廃墟に変え、借金のカタに家を取り上げてゆくだけの金融の連中が、多額の給料を受け取っているのだ。

アメリカ人労働者たちを不幸に陥れ、仕事を奪い、家や街を奪うグローバル化が、どうして正当化できようか。
アメリカ人の雇用を守り、医療保険や年金を頑張って払ってきたビッグ3が悪者で、アメリカ国内で雇用を生まず医療費も払わないグローバル化推進企業が、本当にアメリカの為になっているのか。彼らは、企業利益を追求するだけで、アメリカ人労働者の生活を守ってなんかいないのだ。


社会的責任を果たさないグローバル企業が高く評価され、正当化されるのは、本当に正しいことなのか?
一部の人間たちの為に企業利益を稼ぎまくるのが、望ましい社会なのか?


アメリカの地方は荒廃した。地域社会が崩れ去っていった。
恐らく、小規模農家も同じような目に遭ったであろう。家族経営の弱小農家は、銀行借金で農地を取り上げられたりしただろう。田舎を荒廃させることになってしまっただろう。


それなのに、もっと貿易自由化を推進して、砂漠化を加速させようというのだろうか。それが、アメリカを守れることになるのだろうか?


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祖国の危機なのではないかと思う人たちならば、それとも、同朋の苦しみを理解し何とかしようと思う人たちならば、どうにかしよう、いやすべきだと思うに違いないんだ。


それこそが、サンダース旋風だったのであり、ペンシルバニア、ミシガン、オハイオウィスコンシン、等の結果を招いたのではなかったか。苦しむ人々への想像力が欠けていたことが、敗北の遠因になっていたのではなかったか。

参考記事:

11年11月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/19988798f9f27587e2cd6ae4c78a595f

13年3月3日>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/9d35fb2fa5659ea11898c83f8e1e8319

(一部再掲)
日本はマスコミも権力層も霞が関官僚も、ほぼ押さえられてしまっているので、安倍政権を止める手立てがありません。
米国の良識ある方々、良心と正義と公正を信じる方々、どうか米国議会に働きかけをお願い致します。TPAがなければ交渉できなくなります。日本の交渉参加を認めなければ、TPPでの掠奪的条約締結は阻止できうるものとなるはずです。日本参加がなければ、豪、加、墨くらいの経済規模が対象となるので、NAFTA以上の自由化インパクトは回避できるのではないかと思います(加、墨は既に多くが自由化されているので)。


声は聞こえなかったろうと思うが、拙ブログの願いは通じたのかもしれない。神様に。
まるで、そう思えるので。



日本は、未だにTPP承認を可決し、このまま成立をさせようとしている。
彼らのペテンは、どういう手口なのか、もう十分分かったことでしょう。自民党復権する前から、あれほど警告してきたのに、届かなかったわけであるが、そのお陰があったせいなのか、米国側でTPP反対を大声で主張してくれる人が大統領になることができたんだ。


12年11月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/faf547f3f3673c278ce041f7a54648d8


人間万事塞翁が馬である(笑)。
諦めてはならないんだな、と思った。


全米の皆さま、有難うございました。