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【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

雇用者報酬が増加しない限り、日本経済の再生はない

日銀があれこれと手を尽くしてきたものの、その効果は十分とは言えない。かつて、白川日銀総裁が指摘していた通りに「金融政策は万能ではない」ということである。
そうではあっても、日銀が出来ることは、金利調節と通貨供給量のコントロールであるので、これに全力で取り組む以外にはない。国債買入継続は、その一部である。


強固なデフレが定着してしまったのは、多くの国民の負担ばかりが増えて所得が減ったから、というようなことである。
これは、05年時点で既に述べていた通りである。


97年が一大「転換点」だったのだ。

05年6月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/86e3f2eebab0ac82859e869f5addb51d


雇用者報酬が98年以降には、下がってしまったのが悪かったのだということも、ずっと以前から書いてきた。
09年12月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/5efb0880e5dbaf7018175d129fffb11b


安倍再登板の時にも、アベノミクスとやらが失敗に至るであろうことは、13年初頭より指摘していた。株高と円安で、安倍称賛に沸き立っていた時期であったろう?

13年2月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/210998cac3fd3cdddb949bf7aeb96088


この時にも、再三警告した。
で、今はデフレに舞い戻る一歩手前に沈んでいるわけだ。


雇用者報酬の推移はどうであったか、近年のデータも増えたので、ざっと振り返ってみよう。

1994年  264兆2643億円
1997年  287兆2334億円
2000年  268兆9245億円
2002年  259兆5474億円
2004年  252兆4270億円
2007年  254兆7202億円
2009年  243兆1723億円

2012年  245兆8103億円
2013年  247兆4211億円
2014年  251兆4256億円
2015年  255兆9512億円 (推計)


2015年の推計額は、GDP統計の雇用者報酬伸び率より計算してみた。
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2016/qe163/pdf/gaiyou1631.pdf


まず、バブル崩壊後と言われた97年がピークをつけていた。皆が思うように、バブル崩壊で日本経済が本格的破綻危機になったのではない。
94年から97年を見れば分かるように、23兆円も順調に伸びていた。

企業収益が破綻に追い込まれるほどなら、そんな伸び率を残せると思うか?しかも、95年には阪神淡路大震災とオウムのサリン事件があった苦しい年でもあったんだ。それを乗り越えての、数字が97年のものだ。

2000年の数字は金融危機後だったし大型倒産などもあったので、大きく下げてしまった。しかし、真に「強固なデフレ」を招いたのは、その後の落ち込みだ。これは日本経済の体質が、以前とは「まるで別」という水準にまで変革されてしまったせいだ。
株主への還元、これなんだよ。企業利益の為に、労働者が犠牲になったんだ。

03年〜07年の史上最長の好景気、と呼ばれた期間でさえ、02年の水準を下回る程度でしかなかった、ということだ。安い賃金で、便利に使い潰された労働力でもって、企業は搾取を続けたんだ。株主への配当金と称して、企業収益の形で、労働者から収奪したんだ。

06年、07年とリーマンショック前夜というのは、輸出企業が好調だったでしょう?世界経済も絶好調で、バブル懸念だと日銀が引き締めに転換するほどだったわけで。
正規雇用者数も増加に転じており、政府のプライマリーバランスもゼロへと近づいた程に好転していた。成長率だって、今よりもずっと高かったでしょう?

しかし、その分け前というのは、日本国外の大金持ちの懐へと流し込まれて言っただけに過ぎない。日本の労働者たちの賃金は増えることなく、安くこき使われたということなんだよ。

就職の超氷河期と呼ばれた02年よりも、ずっと低い水準だったのが07年だった。そして、リーマンショックで更なる悲劇が待っていた。

90年代のバブル崩壊よりも、ITバブル崩壊よりも、日本の金融危機と呼ばれた時期よりも、もっともっと大きな打撃を受けたんだ。243兆円台まで落ち込んだ。


どうしてこうなったか?
それは、日本の経済環境の体質が、米欧式に無理矢理変更されており、労働者の収入を支える環境というものが、20世紀の頃と変わっていたからだ。
故に、日本には関係のない米欧の住宅バブル崩壊と毒債券なのに、震源地の米国よりも大きなショックを受けることになった。日本の基礎体力は、銀行イジメや監査法人叩きを乗り切ってくるのが精一杯で、大企業から一般庶民の果てまで、余力を殆ど使い切ってしまっていたんだ。

ただ、震源地ではなかったことと、日本の金融機関やキャッシュリッチな企業とか無借金経営企業が90年代よりもずっと多かった為に、企業倒産ラッシュのような事態は避けられた。しかし、賃金の大幅な切り下げとか、非正規雇用を中心とした労働力調整は起こってしまったわけだ。

輸出企業頼み、という、体質変更が大きく災いした、ということだ。なので、当時の落ち込みの酷かった業界というのは、自動車のエコカー減税、電機電子系のエコポイント、雇用調整助成金などで、何十兆円もつぎ込んだんだ。


安倍政権になっても、実質賃金は下がり続けてきたが、15年からは反転して増加に転じ、雇用者報酬額もリーマンショック前くらいにようやく戻してきたかもしれない、ということだ。

それでも、02年よりも悪い、ということである。デフレ真っ只中だった02〜03年頃よりも、まだ悪いということなのだよ。そうであるのに、増税をぶちかましてきたってわけね。


日本は、本当に狂気の連中しかいないのでしょう。
政治家ばかりじゃない、その取り巻きも、経済界も、マスコミ連中も、識者ぶってる連中も、学者もどきも、皆揃って「おかしい」ってことなのですよ。
それも、何十年も、だ。どうやったら、ここまで失敗を選び続けられるのだ?


こんなことは、10年前から分かっていたことでしょうに。

真の原因は、90年のバブル崩壊でも、不良債権でも、金融危機でもない、日本にはまともなトップ階層が存在してないこと、だ。
政治部門も、学術部門も含めて、だ。


答えは見えたでしょう?
喩えて言えば、「寄生虫の卵」を産みつけられたようなものなのだよ。そのことに気付けない愚か者たちが、よってたかって失敗を繰り返すのさ。寄生虫に操られていることも知らずに、だ。

寄生虫にせっせと養分を供給し、これをまんまと吸い取られているんだよ。


日本の経済運営というのは、泥棒に鍵の設計を任せてきたに等しい。
いくらでも抜き取られてしまう、ってことさ。口では、さも正しそうなことを言い募るだけだから。
「経済学の常識」とやらで、簡単に丸め込まれる馬鹿が揃っておいでで何よりです。

税収が増えたら増えたで、ロクでもない部分に金を流し込む、これまたロクでもない官僚たちも大挙して揃っているわけですしね。言って見れば、バカの巣窟というのが霞が関なのでしょう。


で、それでも懲りずに、今度はTPPの可決・成立ときたもんだ。どこまで、バカなのでしょうかね。
救い難き愚か者たちが、雁首揃えて、また「新たな鍵を作ろう」って泥棒に設計させようってんですから、底抜けのド阿呆でしょうな。そのようなレベルの、低劣な人間どもしか、経済界にも政界・官界にも存在しない、ということなのですよ。マスコミにもね。御用聞きの、提灯記事しか書けない愚か者たちが、何度でも大失敗を重ねるという寸法なのです。


日本経済がダメな理由は、結局は、こういうことなんですよ。世界に一つしかない、特殊事情があるってことですね。だから、他の国の経済では、同様の現象を観察できないってわけですわ。