本日、最高裁判決が出されました。
ざっと判決文を読んでみましたが、まるで定塚訟務局長の「オウム返し」かと見紛うかのような、酷い判決文でした。最高裁判事というのは、その権威が地に堕ちましたね。
>http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/358/086358_hanrei.pdf
当方の理解の範囲で、要点をかいつまんで言うと
・前知事の「承認」の処分時点で妥当かどうかを判断し、裁判所もそれだけ見るよ
・前知事承認に違法はない(主観的断定)、よってこれを違法として取消した知事の取消処分は違法
・取消処分は違法だったから、国交大臣の是正指示は適法
・大臣指示通りに、取消処分を取り消さない沖縄県知事は違法
・なので上告棄却だよ
屁理屈の上では、通っているようだが、これは大間違いの、トンデモ判決である。
いくつか論点を見てみる。
直接の争点とはならないが、以下が重要。
『違法等があると認められないときには,行政庁が当該処分に違法等があることを理由としてこれを職権により取り消すことは許され』ない(p.6)
これは、代執行訴訟の時から、法務省が全精力を上げて出してきた、「必殺技」の論点だったものだ。
違法がない場合には、取消処分はできない、ということだそうです。良かったな、行政庁。今後、全てについて、この判例を出せるでしょう(爆)。
これまでには、「一見して明らかな違法がない限り、行政庁の処分は有効」との言い逃れはできなくなったので、一度出された処分は、簡単には取消せなくなったので、良かったですね。最高裁の確定判決ですので、威力絶大です。
皆さん、覚えておこうね。最重要判例!!
「平成28年12月20日 最二小 平成28年(行ヒ)394号」
まだしっかり読んでないので、後日追加するけど、とりあえず書いておく。
沖縄県側の弁護団は、何故主張しなかったのかと思うんだが、「同一の関与」の禁止原則を言うべきだった。
それ以上に、最大の問題点は、地方自治法の仕組みを完全に無視していること、である。最高裁が、だぞ?
本件違法確認訴訟が提起されるのは、国地方係争処理委員会を通じた紛争解決手段を前提としている、ということである。本判決文でも、「本件委員会決定」(p.5)で述べられているものだ。
沖縄県の違法を言うには、国地方係争処理委員会の決定に従わず、かつ訴訟を提起することなく是正措置もしない、という場合である。つまり、本件委員会決定が違法であって、国の関与が合法であることを言わねば立論にはならない。
「国の関与が合法であり、沖縄県がそれに従っていないこと」が沖縄県の違法性を指摘できる根拠である。
国の主張も、最高裁判決も、違法確認訴訟というのを、「前知事の承認が、違法であるか否か」を審査・検討する部分に、わざと収束させているものであり、国と地方の係争処理という観点が完全に欠落している。これでは、制度の意味が全くない。
国の提訴が高裁からというのは、判断の迅速性が求められるから、という面はあるが、原則として、国地方係争処理委員会の審査結果なり勧告は、紛争処理解決手段として、尊重されるべきものである。この「本件委員会決定」に沖縄県の行動が反しているか否か、適合していないのかの審査をなくしては、違法性を判断できない。
最高裁は、
・国の関与が合法であること
・国地方係争処理委員会決定が違法であること=沖縄県は大臣指示に従い取消すべし
これを立論できないと、沖縄県の不作為を言うことはできない。
参考>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/eb10084e04e679163196c59a234495a3
国交大臣の是正指示は、適法などではない。
それは、和解した代執行訴訟において、地方自治法245条の八に基づく勧告及び「2項指示」が出されたものであり、国は「取消処分を取り消すよう是正指示」したのに行われなかったので3項の高裁提訴を行ったものだ。
この提訴を3月の和解により放棄したのであるから、「2項指示」と同一内容の「245条の七に基づく指示」は既に権利消失しているものと言うべきである。同一の関与禁止原則に反することは明らかだ。
最高裁判決は、徹頭徹尾、出鱈目である。
言い分は、全て、代執行訴訟時の国=法務省訟務局の出したものの、焼き直しに過ぎない。
少なくとも、違法確認訴訟なのであるから、国の関与と、これに従うか否かの本件委員会決定の是非、これに続発する自治体の不作為の是非、これを論ぜずして、何が「違法確認」なのか。
基地の重要性だの、辺野古設置の妥当性だの、という論点を除いたとしても、地方自治法上の手続について、正当な審査を行うべきが最高裁ではないのか。その役割を放棄して、国立の事件で「自治体の首長には、個人に対し損害賠償請求ができ、その賠償義務を負う」という、脅し判決を眼前にぶら下げて、自治体首長を「過剰に委縮させる」という、法の悪用をやってくるような、最高裁及び事務総局ということでは、日本には、司法も法の原則も、全く、何処にも存在しない、ということだ。
本件のごとき、恥ずべき判決を出した判事は、以下の通りである。
裁判長裁判官 鬼丸かおる
裁判官 小貫芳信
裁判官 山本庸幸
裁判官 菅野博之
今後の沖縄県側の対応についてだが、
まず、本件最高裁確定判決により、前知事承認の瑕疵は存在しないことが決まった。よって、以後の一切の変更を認めない。どこにも、何らの問題もない、ということを最高裁がお墨付きを与えたのであるから、国から訴えられたとしても、全て本件判決文をもって、退けることができる。
『埋立ての規模及び位置が適正かつ合理的であるなどとして,本件埋立事業が第1号要件に適合すると判断しているところ,このような前知事の判断が事実の基礎を欠くものであることや,その内容が社会通念に照らし明らかに妥当性を欠くものであるという事情は認められない。』(p.6)
ので、変更申請許可は必要となる根拠がないので変更の必要性がない。
本件埋立事業が第2号要件に適合するか否かを専門技術的な知見に基づいて審査し,①護岸その他の工作物の施工,②埋立てに用いる土砂等の性質への対応,③埋立土砂等の採取,運搬及び投入,④埋立てによる水面の陸地化において,現段階で採り得ると考えられる工法,環境保全措置及び対策が講じられており,更に災害防止にも十分配慮されているとして,第2号要件に適合すると判断しているところ,その判断過程及び判断内容に特段不合理な点があることはうかがわれない。』
これも同様。
岩礁破砕許可申請についても、知事が許可しなければよいのである。手続はもう完璧なんでしょう?前知事がそう言ったから(笑)。なので、前知事判断のみが、意味を持つわけですね。最高裁がそう言ったんですよ。
また、最高裁判決には、意図的にそう書いている部分があるわけです。
それは、違法等を理由に取消処分をしたんだから、「違法等」がなければ取消処分は違法だよね、ってことです。
ならば、承認時点の違法を理由に取消しなければよい、ということであって、後発的瑕疵によって取消処分が禁止されるとまでは言えない、ということになりますよね?
というわけで、承認を撤回するべきです。
違法確認訴訟になる前から、取消処分について攻められるかもしれない、と危惧してた部分を突っつかれたような感じです。
15年11月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/bf7e5efbaafe1bec40232961a216b126
ただ、当時と、代執行訴訟の和解後では、状況が異なっており、本件違法確認訴訟においては、「国の関与」としての指示は違法であることに違いはありません。国地方係争処理委員会とて国に違法ゆえに勧告を出すということはできなかったものと思いますね。事案があまりに大きかったので。
参考>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/a4f2d6d05d180502e7b7e1603a697f5e
最高裁は、腐ったのです。
司法は死んだのです。
22日 追記:
最高裁判決でも(福岡高裁那覇支部の判決でも同じだが)、前提の事実関係について、極めて杜撰な記述となっている。安倍総理、及び法務省、訟務局+国交省+防衛省にとって、不都合な真実(笑)はどこにも目に触れさせないように書かれている、というわけだ。どうしてか?
何ら問題ない、全面勝訴なんだろ?
なら、隠す必要性なんかないじゃないか。恥じることなく、全て正確に記載すればよかったのだよ。何故できない?
事実(5)と(6)の間には、色々とあったでしょう?(7)との間にもあったことを何故隠す?
あると、判決がいかにおかしいか勘繰られてしまうから、ですか?
(5)平成27年10月13日 承認取消処分
(6)平成27年11月17日 代執行訴訟提起→ 28年3月4日 和解
(7)平成28年3月16日 本件大臣による是正指示
重要部分を書けば、こういう流れだったものですが、(5)の行われた日に、行政不服審査法に基づく審査請求が沖縄防衛局から出されたでしょう?執行停止の申し出も同時に行いましたよね?
10月13日 沖縄防衛局 国交大臣に「審査請求」の申立て、取消処分の「執行停止」の申し出
10月27日 国交大臣が「執行停止」決定
代執行訴訟の提起につき閣議了解(全会一致)
10月28日 245条の八 第1項に基づく是正勧告
10月29日 埋立工事再開
11月2日 沖縄県は執行停止決定を不服として国地方係争処理委員会に審査申し出
11月9日 245条の八 第2項に基づく是正指示
11月17日 245条の八 第3項に基づく代執行訴訟提起
12月24日 係争委 執行停止決定の審査申し出を却下
28年2月1日 沖縄県が係争委の却下を不服として、251条の五 第1項の「関与の取消」訴訟を提起
3月4日 上記 代執行訴訟の和解、防衛局は審査請求・執行停止申し出を取り下げ
何、恥ずかしがってるんだよ。法務省が赤っ恥だからって、正確に書けよ、最高裁のくせに。
あのですね、代執行訴訟が和解になった、ということなので、訴訟の取り下げではないはず(沖縄県の2つの訴訟は取り下げ)なんですね(国が執行停止を取り消したので、この取消訴訟は意味がないので)。
で、大臣は、「執行停止」を「取消」したんですか?取消処分をしたのか、って聞いてるんだわ。
それから、245条の八の是正指示、これも「取消」処分をしたのですかね?
ならば、その指示は、違法だった、と言うことで宜しいか?
最高裁判決によれば、「沖縄県知事のした処分(=本件取消処分)」を違法であるとして、是正するよう勧告を行い、それでも取消されなかったので是正指示を出したわけでしょう?
すると、国の出した閣議で全会一致の決定(了解)は、違法な決定であったということで宜しいか?
「違法等」がないと、取り消せないんだもんねえ?
なので、執行停止決定が取り消されたなら、それは違法だった、んでしょ?
11月9日の 「国水政?号」の文書について、取り消す旨を沖縄県に通知したはいつですか?それとも、和解後でも、取消文書は送付されなかったのですかね?
違法だったので、やっぱ止めます、と国が言って、取り消したであろうはずの、執行停止と245条の八に基づく勧告及び指示だった、ということでよいですね?
最初の大臣指示が違法な処分だったのに、事後的に別形式で同一の指示をすることは、違法を問われないのは何故かね?
指示内容に付き、和解により権利放棄した国が、何故、放棄してないと言い張って、また同じ関与を継続できるのかね?
裁判所は、第一義解釈権を有する「国地方係争処理委員会の決定」を覆せるだけの論拠を提示しないと、行政の判断を否定できないのだろう?
行政不服審査法上の裁決だって、高裁が審査庁の判断を否定できる為には、相応の論理が必要になるだろうに。法務省訟務局の愚かな屁理屈によれば、裁判所だけが判断できるが、行政庁には判断する権限ないとかいう出鱈目論法な、そんなのが現実に適用されたら審査庁とかは永遠に判断を下せないってことになるだろ?