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【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

続・原発停止で「毎年3兆円の燃料費」損失は本当か?

平成28年の貿易統計の数字が出ていたので、チェックしてみました。

平成28年
http://www.customs.go.jp/toukei/shinbun/trade-st/2016/2016_115.pdf



16年10月に書いた記事がこちら。あくまで推測ですが。

http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/331449d001a1fe6e09834171c2e10869


この記事での推計値とは結構ズレてました。
要因は、トランプ大統領誕生ということで、急速に円安が進んだことです。別な点としては、記載の数字が明らかに間違ってしまっていたのがありました(笑)。

石炭の輸入額の推計値ですが、10月記事では

「9797億円」

となっていますけれども、表作成の途中で欄を見間違っていました。原粗油+LNG+石炭の16年の輸入額合計が推定で、「9兆7971億円」と計算していたものを、誤って石炭輸入額の桁かと勘違いして「9797億円」と転記してしまったものです。10月の表作成時の石炭輸入額を見てみたら、

「1兆4818億円」

が正しく、石炭輸入額は過去20年くらいで1兆円を切ることはなかったので、そこは大幅にズレてしまっていました。なので、10月時点での16年分の推計額の表の石炭は読み替えて欲しいと思います。


ただし、11〜16年の合計額とか、これの平均値は記事に書いている通りで(石炭は1兆4818億円で計算した結果を用いているので大丈夫)、訂正はありません。


前置きが長くなりましたが、28年の輸入額は次のようになっていました。

 原粗油  5兆5341億円
 LNG    3兆2839億円
 石炭   1兆6547億円

年後半の価格要因と為替の円安で、推計額よりも増えていました。合計で10兆4727億円となり、推計とは6756億円多い結果となりました。
そうではあっても、震災前の05〜10年の平均額である、「16兆4418億円」よりは大幅に少なかったわけです。

アベノミクスの失速によって、大幅に下がったとも言えますかね(笑)。


今と同水準の負担が続いた場合、2020年には震災前平均を逆転できることになります。16年は、原粗油だけでなくLNGの輸入数量も減少(-2.0%)していたので、太陽光発電やその他再生エネ発電の接続量の増加もあり、火力の減少が期待できそうです。

燃料輸入額が年12兆円で推移しても、2021年頃には震災前水準に追い付くので、趨勢に影響はないでしょう。


また、夏季最大需要量に対する予備率も10%超が相次いでいます。

http://www.meti.go.jp/press/2016/10/20161025003/20161025003-1.pdf


ピーク抑制効果が大きく貢献といったところでしょうか。節電の効果だ、と強弁したいようですが。

また老朽火力の発電量が111億kWhから51億kWhと半減以下になっており、太陽光発電による昼間需要量の抑制が効果があったものと見られます。


燃料費の増加分というので12兆円超と言ってたうちの、4兆円程度は取り返せたかもしれず、すると、東電支援の20兆円規模の損失の方がいよいよ大問題ということになりそうで、他にも将来の核廃棄物処理費用等が膨大になるとすると、原発の低コストという優位性は失われてしまっていると言っても過言ではないでしょう。


再生エネ発電の拡大は、エネルギー自給率を高める効果が大きいので、安全保障上においても相当有力かつ経済的であると考えられるでしょう。



ああ、言い忘れましたが、貿易統計の結果は輸出企業の惨敗ってことですよね?

28年は輸出額約70兆円ということで、-7.4%という結果に。輸入がそれ以上減ったお陰で貿易黒字だったみたいですがね。地域別でも、北米、アジア特にASEANは大幅減少、中国・香港も減った、中東も減少が止まらない、ということだったわけです。僅かにプラスは欧州のみ。中東勢では、サウジの減少率が大きい。


ただ、北米やアジア圏は現地化が促進されてきたであろうと思われ、日本からの輸出が減るのはしょうがない面があるでしょう。日本の国内雇用は見捨てられた、ということかもしれません。いずれにせよ、輸出率の高い大企業に頼るのは無理だし、そこを見据えての産業政策というのも無駄なので止めるべき、ということでしょうか。