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エネルギー政策を再考する〜2

いつも不勉強で申し訳ない。エネルギー政策に関する議論というのは、一般にはあまり知られていない、というだけで、現状での最適解のようなものはおおよそ見えているのでしょう。それは、専門家の間ではほぼ常識のようなもので、当方のような一般素人がただ単に知らなかったというだけなのだろう、ということです。


書いてゆく中身は、単に自分の思考の整理の為のものです。周回遅れもいいところの平凡な内容なので、悪しからず。


1)電力だけで見てはいけない

これまで、原発が「いる」か「いらない」かという話ばかりに目を奪われてしまい、もっと広く見ていなかった。電気自動車のことについても、熱効率が良いからというような気がしたのだが、既存の電力会社ベースでしか考えてこなかった。これが出発点からして、誤りだった。

原子力がなくなったらどうするんだ、というような短絡的意見があるが、それは電力だけ見るからである。10年度版エネルギー白書では、原子力の1次エネルギーに占める割合が11.6%でしかない。これを代替するのは、不可能ではない。それに、水力3.2%+新エネルギー(太陽光等)3.1%と比較しても、到達不可能というレベルではなく、存外開きは小さいとも言える。


2)既存電力会社はエネルギー損失が小さくない

電力として利用する場合、投入されるエネルギー量は倍以上も多い。簡単に言えば、石炭、石油、天然ガスなどで発電されると、電力にするだけで6割が失われる。約38%しか利用できない。これが各家庭などに送電される途中でも、送電ロスによって更に失われる。エネルギー効率(利用率)として見れば、電力はそもそも「非効率」なものである、ということだ。


3)発電エネルギーの3割が原子力

事業用発電に投入される原子力とそれ以外(天然ガス、石油、石炭、水力、地熱等)の比率で見ると、30%が原子力である。そして、面白いことに、家庭での電力消費比率が、同じく約3割(31.3%)となっているのだ。これはどういうことか?
単純に家庭の消費電力が全部太陽光などで賄われた場合、原子力は必要なくなる、ということだ。
民生業務用(36.9%)と産業用(31.8%)の電力をこれまでの電力会社が供給すればいいだけ、ということになる。家庭部門の電力が規制されているのは、裏を返せば、「原発と電力会社を支える為」だけ、ということになる。経団連経済同友会や商工会議所のトップがみんな揃って原発が必要だ、というのであれば、家庭の電力を全部既存電力会社以外にしても、きっと原発維持の金を払い続けることだろう。

◎従来
 家庭部門――既存の原発や電力事業(利益)を支える
 産業・業務部門――電力自由化の恩恵

◎今後
 家庭部門――自家発電・自家消費・電力自由化の恩恵
 産業・業務部門――既存の原発や電力事業(利益)を支える

原発に大賛成の経済界の奴らが支えればいいだけ。簡単ですよね?(笑)


4)化石エネルギー依存度は高い

電力ばかりではないことが重要。自動車のガソリンなども含まれる、ということ。
で、ざっとの割合でいうと、石油43%、石炭22%、天然ガス(+LPガス)17%、ということで、82%となっている。これをいかに減らしてゆけるか、というのが求められる。原発を倍に増やしても、消費エネルギー量として使えるのは4割にも満たないのだから、あまり効果的でもない。
エネルギー消費割合では、次のようになっている。

  産業部門  42.8%
  業務部門  19.5%
  家庭部門  14.2%
  運輸部門  23.6%

産業界は、確かにエネルギー効率を高める努力を進めてきたし、消費量が実際に減っている。なので、今後の削減余地を探すなら、家庭部門と運輸部門ということになるわけである(業務部門も減らせばいいとは思うが、とりあえず)。
運輸には、商業用の貨物もあるが、大半が家庭用の自家用乗用車のガソリン消費なのである。ここを減らしてゆこう、というのは確かに必要。コスト面でも、効果が期待できる。電力消費に似ているが、家庭用と自家用車でざっと3分の1くらいを占める、ということである。


具体的な対策については、次の記事で。