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疑似科学ニュースのメカAG氏の論説に疑問

疑似科学ニュースの記事は時々目にする。
某経済ナントカへの突っ込みなどの興味深い記事もあるのだが、こと関電の需給に関しては、ダメダメである。


こちら>脱原発関係記事 : 疑似科学ニュース



①公表数値コロコロ論批判について:

3月時点の関電の公表数値を説明できない。
関電が大阪府市エネルギー戦略会議に説明した、3月時点での供給力予測数値は『2353万kW』。当時の数字の根拠が極めていい加減だった、過少申告であった、というのが合理的疑いである。この数字と5月時点での2542万kWとでさえ、大きな開きがある時点で、説明できない。
気温だの揚水発電の供給量だのというのは、関電が散々言い尽くしてきた屁理屈である。例年の7月・8月の供給力でカウントされてきた量から乖離している限り、関電は意図的に嘘をついたという疑いを払拭できない。少なくとも、誠実に説明しようとするなら、例年の正確な数字を出せる、5月時点での数字くらいは出せる、ということがあるからである。



揚水発電は毎晩ポンプがフル稼働:

メカAG氏の説によれば、原発が稼働する前は「揚水発電用ポンプは毎日フル稼働」なのだから、供給力の余剰が増えても「汲み上げ用ポンプの能力」に規定されてしまうので、一定量より多く汲み上げることはできない、というようなことを言っているようだ。

2つの意味で、これが決定的に間違いの存在が明らかとなる。
第一に、もしその説が正しいなら原発を追加供給力としても、揚水発電の供給力はあまり改善が見込めない。
原発稼働前に揚水発電の供給量が400万として、これは予備率が毎日毎日常に10%以上あった状態だった(最大需要量でも90%以下だったということ)。日中でも予備率がそこまであって、尚且つ夜間電力の供給力は大きく余っているのに、揚水発電の供給力には限りがあった、ということだ(メカAG氏の説ではポンプ能力限界説ということだ)。そこに原発が追加されても、揚水発電の供給力は増加しない。

何故なら、原発稼働前でも火力で毎晩毎晩揚水発電のポンプはフル稼働だったからだ。だから、この状態に供給力を増強しても、メカAG氏の説によれば揚水発電による供給力は増加しない、だ。
しかし、現実には増加した。揚水発電は増加し、原発の供給力117.5万kW増加分以上の火力が削減され、言ってみれば「火力発電は原子力発電に代替された」と看做せるであろう。そうすると、揚水発電の汲み上げポンプというのは、火力発電で電力供給をすると少なくなり、原発で発電すると供給力が増加する、という矛盾を認めることになるが。
例えば火力で100万kW分を揚水発電ポンプに回した場合と、原発で同じ100万kW分を回した場合では、「揚水発電の効果は全く変わらない」はずだ。供給が火力か原子力かに違いなど生じない、ということ。
しかし、現実は違った。揚水発電の供給力は原発だから、という理由で増加し、代わりに火力発電がそれ以上に削減されたわけだ。メカAG氏の説では、これを説明できない。


第二に、揚水発電による供給力を毎日昼間にガンガン(原発肯定派はフルに使ってると主張するつもりかもしれない)使用して、毎晩揚水発電ポンプをフル稼働させ(しかもポンプ能力限界説を言っている)ておくより、単純に火力を止めずに揚水からの供給力を使わない方が、圧倒的に有利だ。エネルギー効率も、揚水発電の汲み上げポンプの立場(笑)としても、明らかに揚水を毎日空っぽに近くなるまで使い切る意味がない。揚水は常に満水状態にして使わず、余剰分の火力を止めずに日中も使用しておく方が圧倒的にお得だ。揚水を使って、水を落としてしまえば、汲み上げるのにポンプの能力に依存するから、次にいつ満水に復活できるか判らないはずですしね。

なのに、わざわざ火力を止めるというのは、おかしいわけである。説明できるなら、それを示してほしい。



揚水発電の供給量:

夜間電力は他社からもらえる。これを否定できる理由を説明すべき。
気温が上がったりすると夜間の電力需要が逼迫して、関電管内での供給力では揚水発電に回せる電力量が足りなくなる、だから原発の供給力が必要だ、の論理ですよね。けれども、揚水発電に回す量が非常に少ない電力会社があるわけで、そうすると、そちらから余剰分を回してもらえれば、特に問題ないとしか思えないわけですね。
送電線の能力による、ということはあるでしょう。でも、そんなに言うほど夜間電力が60Hz管内で足りない、という証拠はないですね。むしろ、昼間とのギャップがある限り、夜間供給力は余剰分が必ず存在し、それが夜間予備率に表れています。たとえ、関電では夜間予備率が10〜15%になってしまい、揚水発電に回せる電力量が減少したとしても、他社で30%とか40%であれば、余剰分を回せばいいだけですから。



④6月の過去5年最大需要量の問題

過去5年の平均が「2634万kW」、最大値であると「2714万kW」だと指摘した。もし関電の説明が正しいとして、原発稼働前の供給力が最低でも2850万kW程度(予備率5%水準)あったことになる。これが合理的に説明できなければならない。メカAG氏には、それができるはずということになる。
7月か8月の最大需要を過去5年最大値で見積もるなら、6月の需給もそうであるはずだ。なぜ6月時点で計画停電の実施要領発表もなく、節電開始期間でもなかったのか、ということも説明可能でなければならない。




メカAG氏は、どうも脱原発派の意見に対して、先入観を持って見ているような感じである。関電発表の数字が信頼性が高いと考える根拠が、イマイチ理解できない。

勿論、全ての数字が関電のウソだ、とまでは言わないまでも、都合の悪い部分については数字を作っている、ということが最も疑われるのであり、上記矛盾点について言えば、関電が隠しているか誤魔化していると見る方が、矛盾なく説明可能なものだ。