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【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

中国の反日デモと日米中の三角関係

中国の反日デモは激化し、日中関係の先行きを危惧する事態となってきた。今後、中国政府がデモをどのように沈静化させるのか、注目されるだろう。

反日デモは、当然の結果のようにも思われるのだが、不可解な部分もあるようだ。気になるいくつかの点について、書いておく。

尖閣の国有化

騒動の張本人は、石原慎太郎都知事である。これまでにも幾度が指摘してきたが、石原知事は意図的に尖閣問題を大騒ぎし、クローズアップさせてきた。石原慎太郎の背後にいるのが誰なのか、ということによって、なぜこのような強硬姿勢を取り続けたか、を考えるべきであろう。

基本的に従米路線を踏襲する人間で、米軍、中でも海兵隊人脈やネオコン系の人間とのパイプがあれば、”反中”を煽るのが利益となる。尖閣の国有化に踏み切らせた特A級戦犯は、石原知事である。日本国内と米国の「従米路線」一派の支援を受けた石原が、長きに渡り騒ぎ続けたことで、国有化がもたらされた。

一方、日本政府が国有化に踏み切ることを、独断で行うことができたかといえば、そうは思えない。なんでも米国にお伺いをたてる日本が、自分勝手に尖閣問題について推進できたとは考えられない、ということである。事前に、米国に相談していたはずだろう。その相手というのが、オバマ政権の中枢―例えば国務長官―にまで話が及んでいたかというと、それは判らない。次官補級程度かもしれない(日本の話がそんなに重要事項でもないから)。

そうではあっても、米国に相談なく踏み切ったこととは考えられないということだ。9/5に地権者との合意発表、9/11の閣議決定は、日米間で話がついていた予定の行動だったのではないか、ということだ。思いつきでやったことなどではなかったはずだ、ということ。そして、中国大使交代で、西宮中国大使が任命されたのも、同じ日だった。

②米国にとっての尖閣問題

米国にとっては、何重もの利益をもたらした。以前から書いてきたように、「日中離間の計」が米国にとっては得になるから、”反中”を印象づけられることはかなりの利益となる。中国が危険な存在であることを示せれば、それは同時に米国の利益となるのだ。

今回の反日デモ騒動によって、大きく2つの問題をかき消すことになった。
一つは、世界中で激化した反米運動を日本ではほとんど取り上げられずに済んだことだ。ムスリムの反米機運は盛り上がり、20カ国以上で米国大使館員の国外退避が命じられたようである。世界中に拡がったということである。これを日本で知っている人は、かなり少ないであろう。

もう一つは、オスプレイ問題である。
沖縄では、大規模反対集会が開催されたが、日本国内での反対運動は強まってはいない。中国の危険性がクローズアップされればされるほど、在沖海兵隊オスプレイの問題への反対の声を抑制させる、ということになる。昨日パネッタ国防長官が来日し、10月以降の運用開始を予定通り行うというようなことを言っていた。これも中国が暴れてくれたおかげだ、ということになる。

米国のありがたみを強調するには、中国の存在は便利なのだ、ということ。従米派議員たちは、ここぞとばかりに「日米関係がギクシャクしているからだ、同盟関係が弱まっていると間隙をついてくる」と言い募っているのがいい例だ。

クリントン国務長官の唐突な訪中

今回の反日デモを考える上で重要と思えるのが、今月4日のクリントン国務長官の訪中だった。この発表自体が突然のことで、メディアにも驚きをもって受け止められた。

8月28日に訪中が報じられたが、これ以前のプレスリリースでも一切触れられていなかった。そもそもは、PIFに出席するというのが表向きの理由で、6カ国歴訪のついでに中国に立ち寄る、というようなものだった。

PIFの日程は、ずっと以前から決まっていたものであり、国務長官級が出席するというのは異例であるが、そのつもりがあるならこんなに直前になって発表せずともよいと思えるわけだ。開催日の2日前に発表というのは、かなり異例では。それは、訪中を隠したいという意図があったからなのではないか、ということである。

では、なぜ5月に訪中したばかりの国務長官が再度訪れるのだろうか?
直接会談しなければならないほどの出来事があっただろうか?

それは、丹羽大使公用車の襲撃事件だ。

http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/4831a27b905004566e2034ec87a76a3e

この中で、『アメリカさまがヘマをやった、となじったら、早速結果を出してきましたとさ。』と書いたわけだが、この後クリントン長官の訪中が発表された、ということだ。偶然?そうだ。まさに偶然。

米国側のお詫び行脚、ということか、手下の交換取引か、全く判らないが、米中間での裏取引の協議が始まったはずだ、ということだ。米国側の動きが中国にバレてしまったので、それを日本に向けて回答して欲しくない、ということになれば、何らかのお願いが必要になるからだ。

丹羽大使を襲った者たちが、米国の手の者であると、彼らの身柄を引き受けに行き、代わりに土産を、ということになっても不思議ではない、ということだ。この手打ちが行われたのが、クリントンの訪中だった、ということである。

拘束した人たちの処分をしたことは、5日に日本大使館に通告された。恐らく米国からも「穏便に済ませよ」と指示されていたから、日本が深追いすることはなかった。逆に、尖閣の国有化を決めよ、と言われていたのだろう、ということだ。

つまり、5日以降には、出来上がったシナリオに基づいて進行していったんじゃないか、ということである。

尖閣国有化と反日デモは、ストーリーがあったかもしれない、ということだ。
反日デモは、8月では抑制されていた。
http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/ae39f66b1715ef1b962fce8aa84669b6

ところが、9月11日以降の騒動は、中国国内マスコミが大きく報じていたり、官製デモ風味だったり、と、怪しい部分がかなりあった。これは、意図したものだったという可能性がある。

ところで、米国が譲歩したと見られる動きが8月末にあった。これは、日中ラインを維持しようという勢力が、米国の失敗をチャンスとして巻き返しを図ったものかもしれない。

http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/2c27a24dbf52bdc5badafc35ba10dd97

だが、これは一瞬だった。米中の反撃が再び開始されたからだ。日中ラインの分断を図ろうとする勢力が、優勢となったということだ。それとも方針転換が行われた、ということであろう。

習近平の雲隠れ

最大の謎が、これだ。2日〜14日まで、どこで何をしていたのかが、全くの謎に包まれている。クリントン長官訪中時の会談や公式行事にもキャンセルということで、極めて異例の事態だった。この期間に、何らかの重大な協議や決定に結びついた可能性があるのかもしれない。

それとも、中国国内の権力闘争で極秘の襲撃事件でも懸念されていたのだろうか?

米中間の裏取引があったのなら、中国の得る見返りとは何か、これと習の隠遁とは何かのつながりがあるのだろうか?
接触を図ったのが、米国政府筋ではなく、米国にあってもその他勢力ということなのだろうか?
とにかく、謎が多い。

⑤西宮中国大使の不審死

事件性はない、という発表だったが、死因は一切公表されていない。病気だったのなら、普通は病因が発表されていることがほとんどだ。しかし、今回は、それがなかった。
11日に就任し、13日に倒れているところが発見された。残念ながら、16日に死去されたと報じられた。

⑥中国国内事情

11日のデモ開始時点では、非常に小さい規模だった。が、その後、大炎上へと向かうわけだが、外部からの煽動工作員部隊が投入されていた、ということが言われている。

http://b.hatena.ne.jp/entry/kanchigai.blog.shinobi.jp/Entry/4069/

こういうアヤシイ話もあるが、どこまで本当なのか不明だ。
ただ、軍関係者や警察関係者などの参入、というのがいわれていたり、地元に居住していない明らかに外部の人間たちというのがやってきて、デモに参加していたようだ。

政府としては、裏取引で反日デモを大きく騒がせたい、ということで、ピーク予定を16日くらいに定めて事態を動かしていた可能性がある。

これに便乗したのが、各種の活動勢力だの改革勢力だのといった人間たちだったかもしれない。政府側はデモを大騒ぎさせたいから、抑制を控える、ということになると。

そうすると、中国での既得権益批判派が参加してきたり、過激な保守主義者たちが登場してきたり、ということが起こってきたのではないか。便乗してくる人たちは、いつでもいる、ということか。

平和堂の店舗襲撃の模様がテレビで報じられていたが、準備がいいなと思った。内外から撮影していて、偶然取材ということだったのかもしれないが、あらかじめ用意されていた筋書きに沿ったものだったかもしれない。


全体として、構図が見えない。
謎が多いまま、というのもある。

とりあえず、メモ、ということで。