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【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

福島県の小児甲状腺検査について

福島県の健康調査に関して、検査が間違いだとか、過剰診断だというご高説を垂れ流す方々がおるようです。

中でも、大阪大学教授にして、医学関係者でもない人らしいのだが、菊池誠教授という人が、以前から痛烈に批判しているようで、ここ最近でも検査はダメと言っているみたい。


こちら


http://twilog.org/kikumaco/date-161015

(以下に一部引用)


般に推奨されないはずの甲状腺エコーによる検診を単に「心配だから」というだけの理由で福島の子ども全部に対して行おうとしたのは、今から思えば明らかに誤りなので、早めの方針転換が望まれるところだよ。被曝量からし甲状腺癌は増えないと推測されるのに、なぜやってしまったのか、だよね
posted at 07:52:49


kazooooya 甲状腺癌については「早期発見・早期治療」のメリットがないと考えられるので、そこから勉強してもらわないと


甲状腺検診を始めるに当たって「被曝影響を研究したい」という「したごころ」はなかったか。それはよくよく反省してみる必要があると思う。「被曝影響を明らかにする」というのは検診の目的としては不適切だし、倫理的にも問題があると思う。受診者にとってのメリットだけを考えないと
posted at 09:30:36


甲状腺癌は被曝のせい」と主張している「活動家」は倫理にもとることをやっているんですよ
posted at 09:32:07


甲状腺癌の解釈はおおもとに立ち返ればいい。一巡目は被曝と関係ない癌を見つける。それが予想より遥かに多かったということは、つまり悉皆検査なんかしたらいくらでも見つかることを意味しているわけ。前倒しで説明できないくらい多いなら過剰診断。みんなそんなことはわかって、政治に絡め取られてる
posted at 10:17:13


甲状腺悉皆検査は今となっては倫理的に許されないと思うんだよなあ。いや、本当は最初からだめだったはずなんだけど
posted at 21:21:05



菊池教授が、何故ここまで専門外と思しきことについて、強烈に批判し、しかも自信ありげなのか不明であるが、「被曝量からし甲状腺癌は増えない」説を信奉しているなら、その推測に至った根拠を提示すればよいのである。

彼はデマ屋を叩くことに生き甲斐を感じているタイプの人間なのかもしれないが(笑)、少なくとも医師の主張を差し置いて自らの「過剰診断だ」「被曝量からし甲状腺癌は増えない」という説を、これほどまでに繰り返し世間に向かって言い募るわけだから、その論拠を示すことくらいできるだろうに。


被曝量を知っているなら、その数字、小児の甲状腺癌について詳しいならその知見、癌が増えないと言える根拠、それを論理的に説明できることだろう。やってみればよいのだ。もし説明すらできないというのなら、それはデマ屋と何ら変わらないのでは?(笑)


当方の感想としては、専門的に医学教育を受けたわけでもなく、論文をいくつも読みこんだわけでもなさそうな、大阪大学教授の推論など、到底信用するに値するものではない、ということだ。


彼がそれほど小児の癌について普通の医師たちより詳しいとは、信ずるに足る根拠がない(笑)。

一般に、甲状腺癌のリスク要因は、放射線照射(被曝)であることは知られているので、統計的には癌のリスクは高まるだろう、とは思いますね。しかし、菊池誠教授は、「増えない」と主張するのであるから、そこには何らかの科学的根拠を持っての意見であろうと思うので、それを開陳してもらえれば、世界中の医学者たちが「それは新発見だ、大いなる知見が示された」と感嘆してくれるのではないか。


是非、知りたいわ(笑)。


興味を持った発端は、こちらでした。


https://dot.asahi.com/wa/2016101200264.html


意見の対立があるのは、理解できる。ただ以前には、5mm以下で検出されていなかったであろう小児患者において、数年後には手術例となっていることが推測され、「10年後とか20年後に2cm大とかになっていたであろう患者を、早期に発見しているんだ」というような説明は、まともな思考力のある人にとっては、到底整合的であるとは思われないだろう。


過剰診断だ、という説は、放置しておいた方が良かった、と言いたいのだろうか?


http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/2060

(一部引用)

参加したIAEA国際原子力機関)やUNSCEAR(国連科学委員会)、WHO(世界保健機構)などの国際機関メンバーらは、福島原発事故では、事故によって放出された放射性ヨウ素の量がチェルノブイリ原発事故の10分の1であることなどから、「福島はチェルノブイリとは違う」と強調。福島県で実施されている小児甲状腺検査で多数のがんが見つかっていることについて、「過剰診断」が起きているとの指摘が相次いだ。
 
一方、福島の子どもの多くを執刀している福島医科大の鈴木眞一教授は、詳細な手術症例を報告。125例のうち5例を除く121例が、1センチ以上の腫瘍かまたはリンパ節転移があると説明し、「過剰診断」とはほど遠い治療実態を明らかにした。また、片葉を摘出した患者の中に、再発しているケースがあることも公の場で初めて認めた。


鈴木教授が今回、公表したのは、福島県民健康調査の甲状腺検査の結果、今年3月までに手術が行われた132例のうち、福島県医大で手術で行われた125例(良性結節1例を除く)の手術症例。昨年8月に、96例の症例を公表していたので、新たに29例が追加されたことになる。男女比は、男性44例、女性81例で、男1:女性1.8。術式は、125例中、全てを摘出したのは4例のみで、残り121例は片葉(67例が右葉、53例が左葉)のみの摘出だった。


術後の病理診断によると、乳頭がんが121例(通常型が110例、濾胞型4例、びまん性硬化型3例、モルラ型4例)、低分化がんが3例*、その他が1例だった。
 
腫瘍の大きさは、10cm以下(T1a)が43例(34.4%)、1cm〜2cm(T1b)が31例(24.8%)、2cm〜4cm(T2)が2例(1.6%)、4cm超または甲状腺皮膜外浸潤(T3)が49例(39.2%)となっている。
 
リンパ節転移の状況は、転移ありが97例(77.6%)で、うち、中央部での転移となるN1aが76例(60.8%)、頚部に広がっての転移N1bが21例(16.8%)だった。一方、リンパ節転移なしは28人(22.8%)。がんが甲状腺の皮膜から外に広がる軽度甲状腺外浸潤(pEX1)は49例(39。2%)で、1cm以下でリンパ節転移もなく、甲状腺外浸潤や遠隔転移していないケースは、わずか5例であったという。

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(筆者注:上記引用部分に「10cm以下」となっていますが、恐らくは10mm以下の誤りだろうと思います。元のままにしてあります)


手術例のうち、1例が病理診断では良性結節だったので、他は癌だったし、3例が低分化癌(後に基準変更で1例となったようです、注による)で、残りは乳頭癌だったわけである。

更に、pT1a pN0M0という(大きさ10mm以下、リンパ節転移なし、腺外浸潤や遠隔転移なし)比較的予後良好と見られる症例数は、わずかに5例しかなかった、ということだ。


過剰診断だ、という人たちは、良性結節や低分化型やこの5例を言うのだろうか?
確かに結節を手術するのは、必要性が乏しかったかもしれない。


そうだとしても、全体からすると、あまりに割合が少ないだろう。
もしも本気で、手術してもしなくても、結果は変わりません、あなたはそのまま30歳まで待っても大丈夫ですよ、今のは過剰診断なのだから、と言える自信があるなら、その全責任を負って、患者さんをそのように説得するべきなのだよ。


そう説明して、全ての責任を自分がとれる人間だけが、「そのまま放置せよ、手術すべきでない」と患者に断言し説得するべきのだ。患者の人生・生命に責任を負うことができるのか?


できもしない人間であり、医学的知識に乏しい阪大教授だか何だか知らんが、偉そうに過剰診断だの倫理的に許されないだのを放言するのは、いかがなものかと思う。


デマ屋って、都合のいいことを言うだけの人が多いのでは?


阪大教授はデマ屋ではないだろうから、他の医学者たちなり科学者たちを納得させられる論拠を示せば済むのだよ。



※※18日追記

ラワンブキさんという方からコメントがあったので、少し追記したいと思います。


2016-10-17 17:34:45

5mmのがんは、2cmに大きくなるまで放置してから切っても良いし5mmできる意味がないということなんでしょ。 「過剰診断」して、福島でがんが増えてるというのではなく、過剰診断無しで、或いは「過剰診断」するなら、福島以外の地域でも同様の「過剰診断」をした上で比較しなければ、福島の原発事故でがんが増えてるとは言えない。それだけの事ではないのかな。 』

5mmの癌を切っている、というのは、福島の小児甲状腺癌では、極少数であって、「2cmに大きくなるまで放置してから切っても良い」という証拠があるなら、それを提示するべき。
小児の甲状腺癌は例数が少ない上、例えば10歳の発見から長期観察例がそう多いとも思われない。「放置してから切ってもよい」と言える自信がどこにあるのかが知りたいのである。


原発巣の大きさで判断できるのか
甲状腺外の浸潤があっても、長期経過後であっても気管支は大丈夫なのか、反回神経麻痺は生じないのか
・リンパ節転移や遠隔転移があろうとも予後には影響しないのか

例えば、これらについて「大丈夫であるというエビデンスがある」と言える人なら、放置しておいても平気だ、と言えるのかもしれない。そんなことを果たして知っているのだろうか?


もっと酷いのが、「検査をするべきでない」という主張をしていながら、別の対照地域と統計的比較すべき、という意見である。
悉皆検査は倫理的に許されない、とするなら、他の対照地域で検査ができない(すべきでない)、ということだ。統計をとりたくとも、許されないと主張しているなら、どうやって対照地域の統計値を知ることができるのか。

福島であろうと、九州の別の地域であろうと、小児の甲状腺検査をするな、と言っておきながら、統計的に比較しないと「言えない」ということなら、誰にも確かめようがないことを求めるようなものだ。統計的に結果を見たいなら、別の対照地域を定めて、同条件の悉皆検査を実施すると、どのくらいの「手術適用と考えられる小児甲状腺癌が潜在しているか」ということが分かるだろう。初期の対照検査をやってからは、中止したのは何故だったのか?その理由は不明である。


「宇宙には宇宙人がいるかどうかは、調べてみないと分からない」、がそうだとして、具体的にどう調査できるのか?
そういう主張に類するものと思えるが。


また、2011年3月11日以降の、例えば30日間の放射線推定被曝量が分かっているなら、その科学的根拠なり理由を出すべき。その被曝量からすると「癌のリスクはどの程度影響されるのか」ということを、科学的(笑)に示せるはずである。そのエビデンスがあるからこそ、「被曝量からし甲状腺癌は増えない」と断定できるはずだからだ。


リスクについて、数値的に、言えないわけがない。
言えないなら、誰も「甲状腺癌が増えない」という推測は成り立たない、ということだ。推定理由さえないではないか。

ああ、それから、甲状腺癌の発生過程というのが、被曝放射線量が「多い」と癌化が促進され、「少ない」と癌化しない、みたいなのはどうやって分かったの?

どの程度の線量を受けると癌化するか、単に細胞死に至るか、それとも何らの変化も生じないか、というのは、どうやって知ったの?それも小児の甲状腺組織で。


・仮に推定被曝量をAとして、震災後の被曝量Aを算出した根拠

・例えば「被曝量P以上なら癌化する」という説ならAはPより小なので癌化しないこと

・被曝量Q以上になると細胞死なので癌は発生しない、A<Qであること

・被曝量Aは癌の発生リスクを増大させないこと


これらを知っている人間なら、「被爆からし甲状腺癌は増えない」だろう、と言えるってことだな。
つまり、これを知らないなら、到底言うことができない。既知でないにせよ、その推論を構成する根拠は、全て存在するはずだ。「そう考えるに至った理由」というものが提示できない場合、ただのデマ屋と同等ではないのかね。自分がそう思っただけ(笑)だ、ということ。


細胞死に至らない程度の低線量被曝がDNA損傷をもたらした結果、癌化してしまう場合には、被曝線量の大小だけで一律に言うことができない可能性だってあるのでは?