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【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

時間軸効果はターゲット政策の効果ではない

時折読みに行ってる某所にて幾度か目にしたので、ここら辺で一度整理しておきたい。


どうも、明日ホール、否、「ジャクソン・ホール」ネタ関連で、当方の以下のような説明がお気に召さないらしい(笑)。


FRBの”金融政策コミットメント”キター!→日銀「ホレ見ろ」勝利宣言


オレの超訳・「経済刺激政策は政府と議会の仕事(バーナンキ弁)」



「13年半ば」という文言を巡って、いやいやそれは「約束じゃない」という立場を強調=コミットメントじゃない、ということを主張している方がいるようです。
当方としては、非常に素直な読み方しかできませんから、「13年半ば」までという期間は明示的かなと思えたわけです。すなわち、コミットメントと解してよろしかろう、と。
ここに、コミットメントだ、いや、コミットメントじゃない、というような意見の対立があるわけです。


さて、時間軸効果とは、一体何なのでしょうか、ということに立ち返ってみましょう。
定義としては、翁et al.や翁・白塚、植田らのペーパー(引用先は耳タコですな)を整理する形で、次のように記されています。


中央銀行は、短期金利をほぼゼロに維持する期間について明確なコミットメントを行うことで、市場の期待形成に影響を及ぼすことができる。また、このコミットメント期間を信認のある形で長期化することができれば、長期金利を低下させることができる。』
(白塚(2009);http://www.imes.boj.or.jp/research/papers/japanese/09-J-22.pdf


従って、ここには、ゼロ金利維持の期間について、経済指標のようなアンカーは必要とされてはいません。あくまで「期間についての公約」であって、それには他の経済指標を要件としているわけではない、ということです。
そうした、他の客観的指標に連動性を高めるとか連動性を持たせるというようなことになりますと、それはむしろ「ターゲット政策」的になってしまい(日銀がかねてより嫌ってきた「インフレ・ターゲット」のようなもの)、日銀としては承服しかねるということになりましょう。

この基準に当てはめて考えると、「2013年半ば」という期間の設定と明示は、「policy duration」の提示としか思えず、すなわち時間軸効果を意図したものと受け止めたわけです。


ある金融政策を他の客観的経済指標に連動性を高めて行う、というようなことは、上述したようにターゲット政策的なものであるはずです。

金融政策とtarget


血中濃度と薬剤投与量は、CPIと金利の関係とよく似ているのです。日銀はこうした特定指標に連動性が高いということについては、否定的なのです。判断が他人からも丸見えになってしまうから、ということになってしまうからなのかもしれません。極端に言えば、血中濃度という数字さえ見えるなら、オレが見ても日銀総裁が見ても判定結果は同じくなってしまうから、です。
ちょっと話が逸れました。



いずれにせよ、今回の「13年半ばまで」という期間を明確にしたことは、時間軸効果ということに他ならない、としか思えないわけです。
これを「経済指標に関連付けがないから、コミットメントじゃない」と言われても、それは時間軸効果の定義としてどうなのよ、と思うわけですね。