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壮大な実験〜『Svensson Plan』に踏み切ったスイス中銀

スイス中銀は、スイスフランの通貨高に対処する為、1.2ユーロの下限目標を設定した。

自国通貨を売る側は、刷れば通貨は供給できるので、圧倒的に有利。これは以前に書いたとおりである。

現時点で日本は円の減価を選択すべきか

(再掲)
いずれにせよ、03年頃の介入水準というのは、高々110円程度であって、そんなのは攻撃のうちにも入らんだろうね、というのが個人的感想。弱小通貨国だと、自国通貨の売りを浴びせられるので、防衛側の弱小国中銀は対抗してドル売り自国通貨買いを継続しなけりゃならない。ドル売り自国通貨買いを継続する玉(=金)が尽きると万事休す、だ。けれど、自国通貨高ならば、防衛側中銀は圧倒的に有利。何故なら札束を印刷して、自国通貨を売りまくればいいだけだからだ。玉は無尽蔵に作り出せると言ってもいい。かつて日本が為替相場で攻撃を受けた(95年)のは、大蔵&日銀がバカだったというだけ。円高を防衛するのなんて、刷って売ればいい”だけ”なのに、それをできないという「硬直的官僚組織」と政治的な「意思決定機構の脆弱性」を持つという点を衝かれたわけだ。早い話が、「うすのろ」ということだ(笑)。こんな通貨強国に圧倒的に有利な戦いでさえ、愚鈍ゆえに「相手側にポイントを奪われる戦い」にされてしまうのである。


まあ、中には、「何も起こらない」と言う人もいるわけで、どういう現象が見られるか観察結果が楽しみではある。

もしもペッグを継続した場合、インフレ率の上昇ということが起こってくると予想されるので、金利引き上げなどの対応が必要になってくるだろう。
ただ、継続期間の問題もあるから、あまり長期に渡って実施されなければ、酷いインフレにつながることはないかもしれない。若干のインフレ率上昇で済むかもしれない、ということである。
スイス中銀がインフレ・ターゲットを表明しているかどうかは知らないが、通貨の減価による効果の方が現時点では重要と考えているということであろう。現状では、インフレ率が低く、金利水準も低いということなら、選択可能な手段であある。


実施後、とりあえず10%程度の急落が起こったようなので、この一撃で投機筋の資金の何割かは一気に逝かれた可能性があるだろう。まず殲滅戦の第一撃が奏功した、と見るべきかな。

今後欧州の経済不安が継続する場合、ユーロへのペッグで通貨安が持続することになるかもしれず、その離脱の判断はやや難しくなるかもしれない。


それと、通貨政策だけでは、厳密に言えばスヴェンソン提案の実施ということではない。通貨政策にインフレ目標などのコミットメントを同時実施することが必要である。なので、為替のレンジ設定だけだと、恐らくは「通貨発行増大」による為替と物価水準の変動がどのように動くかを受動的に観察するだけになるだろう。
そう、アクティブな政策目標と結果というよりも、あくまである通貨政策を実施した場合のパッシブな観察結果を得るだろう、ということである。