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【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

バブル崩壊過程で、日本の銀行に何が起こっていたのか

先日の白川総裁のブチ切れ会見(いや、別にブチ切れてないけど)で、量を増やせという批判はあたらない、何故なら日銀は対GDP比でマネタリーベースはFRBやECBよりはるかに多い(24%位だったか)のだし、02年の量的緩和策の時点で18%超えてた(今のFRBが17.9%だから)ので、日銀は正しい・悪くないということを言いたかったようだ。

まあ、数字はそうだな。そこで、疑問に思ったので、過去の数字を見ていったわけですよ。

そこで問題にぶち当たった。


90〜91年にかけて、何らかの大きな変更とかがあったのであろうな、と。よく言われてきたのが、不動産融資の総量規制というやつでした。けれど、その規制だけで、銀行業務の根本から変わるようなことってあったのかな、と。あんまり金融業の中は知らないから、専門的には説明がつくのかもしれないんですがね。けど、その影響がバブル崩壊後10年とか15年も経って、残っているものなんだろうか?


まず、マネタリーベースの名目GDP比の数字を見ました。そうすると、金融危機発生の97年が11%ちょっとで、95年までは10%未満だったのですね。統計数字が80年以降しかなかったので、それ以前は不明ですけれども、確かにマネタリーベースの数字の増加は96年くらいからずっと起こっていた。この話題は、いずれ別に述べたい。


それと、マネーストック統計になって系列が一致しないので、とりあえずM2の平残と広義流動性の前年比%を見てみたわけです。
そうすると、次のような数字でした。M2は12月の月次の数字、広義流動性は暦年の数字です。

     M2     広義流動性

88   10.4      9.85
89   10.6      9.43
90    8.5      9.60
91    2.0      5.31
92   -0.4      3.55

この91年にかけての動きというのが、分からないわけです。

銀行が不動産融資をそれまでみたいにできなくなったとて、他にも資金需要はあるわけです。不動産、建設、ノンバンクと、絞ったにせよ、これら業種が永久に栄えているわけではないはずで、何年も影響が残るというのもやや不思議なのですよね。
倒産企業が出て処分が進めば、他の事業に資金が回るはずですし。


ところが、この91年以降、広義流動性は前年比で4%を超えることはなくなってしまいました。95年の3.82%が最高で、2000年代では07年の3.18%でした。同じくM2も99年の3.9%が最高で、2000年代はもっと低い数字が並ぶことになったのです。

融資の審査基準、自己資本や担保査定の評価方法とか、そういう何らかのルールの変更でもないと、ここまで継続して資金の伸びがぱったりと止まる、というのも、ちょっとよく分からないのです。

郵貯に大量に資金が流れ込んだから、とか、そういう要因もあるのかもと思ったりしましたが、広義流動性でも減少しているのは同じなので、いきなり融資や金融システムがイカレてしまったのかな、と不思議なのですね。それに、不良債権問題というのが殆ど処理された後であっても、やはり同じであり、違いがあまりないわけです。

マネーサプライ(マネーストック)の伸びが91年以降止まってしまったことの主な理由というのは、ちょっとよく分かりません。

銀行から、郵貯の定額貯金に資金シフトがあったとして、それで伸びが止まるものなのか、と。ああ、そうか、郵貯は「貸出しない」んだったな!
銀行は融資に回すから、乗数効果が出るが、郵貯に大量に流れ込んでしまうと、その資金は財投か国債買いということになるわけか。
85年に約100兆円だった郵貯残高は91年くらいには150兆円を超え、91〜92年にかけてバブル崩壊過程での駆け込みというのがかなりあったはず。
ここで、50兆円とか、それ以上の純増があったのなら、銀行は融資に回せる資金が減り、公共投資への資金が大量に流れ込んだ=無駄な公共事業と呼ばれる温床の資金源となってしまった、ということになるかな。

それと、金融債があったはずだが、ワリコーとかワリチョーといった高利回り商品にも駆け込みがあったと思う。ああいう資金は、融資に回ったのでしょうか?何かの債券投資に使われたのですかね?


それにしても、この91年を境にした、M2や広義流動性の残高の伸びがいきなり低調になってしまい、それがこれまで持続してきたことが、問題ではありました。

マネタリーベースが外国より多いんだ、とおっしゃいますが、外国でのマネーサプライは日本みたいな低水準なのでしょうか?


貨幣乗数低下は、諸要因があるということなら、減ってる分だけカバーしなけりゃ、やっぱり相対的には少なくなるわけで。別に、マネタリーベースをターゲットとしているわけではないんですから。貨幣乗数が低下している下で、マネーサプライを増加させましょうと考えるなら、マネタリーベースを大きくするのは妥当なように思えますが。


ちょっと整理がまだついていませんが、この91年を境にしたM2や広義流動性がガクンと下がってしまった理由というが気になるということですね。そして、それが持続してきた、ということもです。