怒りのブログ別館

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事故原因の隠蔽を続ける東電〜3の続き

長くなったので、本ボシはこっちに移します。
東電のこれまでの説明が言い逃れを目的にしていたものだったことが、明白となりました。

いよいよ本命の非常用復水器(IC)について、です。


⑤非常用復水器の操作、及びスクラム後の対応の誤りについて

まず、正しい手順を書いておきます。これは、公開された資料に全て書かれています。

「MSIVが全閉となる」のは正しい。が、続きがある。

・MSIV開閉が可能な場合;MSIV均圧後、MSIVを全開し通常停止
・MSIV開閉不可の場合;
SGTS(PCIS)作動、HPCIテスト運転開始+SRVやICにより減圧を行う

今回、東電はMSIVは全閉だった、と。開かなかった、と言ったのです。

その場合、まず行うのは、「HPCIの起動」です。高圧注水系のテスト運転をせよ、というのが正しい。これが行われた形跡はない。津波後起動不可と判断、と東電が言ってるので、動かしていなかった、ということである。

マニュアルには次の記述があった。
『復水系を停止させることがないよう及び原子炉の蒸気を消費する意味からもHPCIを手動起動する』

次に、14時52分のIC自動起動後、原子炉圧力低下でICを手動停止させた、という問題についてだ。

根本的大原則は「ICを手動停止させることはない」、だ。

電源喪失長時間継続時操作」というものがある。基本的にICを止める操作というのはマニュアルには書かれていない。また停止条件とは、「原子炉圧力が1.04MPa以下」だ。

7.13MPaで自動起動したICが、原子炉圧で約7分の1に低下するまでは、止めない、ということである。この基本が全く守られていない。

まだウソがある。
ICを止めたのは、原子炉損傷を防ぐため、と会見などで出鱈目を言っていたが、ウソである。ICの冷却能力がそんなにあるわけがない。

シリーズの参考記事にも書いたが、冷却材(つまりは水である)の温度低下が、55℃/hrを超えない降下にせよ、ということである。これは、基本的にSRV(主蒸気逃がし安全弁)操作の基準である。

前記SRVとICで減圧せよ、ということは、ICは運転したままで、SRVを間欠操作して、原子炉圧力を下げるということなのである。SRV開弁は数回に分けて、短い時間で行い、55℃基準を超えない程度でやれ、というのが、マニュアルである。
そして、SRV減圧の場合、

『S/P(圧力抑制プール)水温を監視、CCS系のS/P冷却モードにより熱容量制限曲線を超えないように操作』

と書かれていた。
つまり、どの時点でもICは動いたまま、ということだ。間欠操作を行うべきは、SRV開弁であり、その際のS/P(S/C)冷却モード(東電説明では、多分トーラス冷却モードということなのであろう)の動・不動などだろう。
原子炉損傷を防ぐ、という意味は、熱容量制限曲線を超えないように、ということだろう。これもシリーズ最初の参考記事に書いたのと近い意味のことだ。


答えは出ている。ICはどの時点でも停止しない、だ。


また、ICの水源は約6時間となっている。途中で停止していたかもしれない、というようなことがあるとして、21時半くらいに、蒸気が出ているのを確認した、とか言っていたが、復水プールに給水しないと効かなくなることは確実なんじゃないですか?
ICが動いていると判断していたのであれば、どうして、こちらに給水しなかったのでしょうか?
消火系からの注水というのをトライするのは、まあ、ダメではないでしょうが、「生きているライン」が復水器経路にあるのであれば、動かし続けることを考えるのが普通では。それも行った形跡はないみたいですが。


こうして見ると、やはり当初の想像通りに、初期対応が「誤りがあった」ということなんじゃないですかね。

少なくとも、マニュアルの基本操作が守られてはいなかった。
決定的だったのは、

◎ICを停止したこと
◎HPCIを起動していなかったこと

というのがある。
重大な冷却機能を、どれも動かせていなかったとなれば、根本的にダメだったとしか言いようがない。PCVベントが12日朝に出来たかどうか、なんてものは、ほんの微々たる要素でしかない。

それから、ベント後のH2モニタリングはどうだったんですか?
ベントして後、水素爆発だったみたいですが。これもN2置換ができなかった、ということかもしれないですが、建屋内に漏れ漏れにしてしまったのかもしれません。ま、後から何を言っても仕方がないんですが、そもそも「IC停止」だけはない、ということですわ。


何より東電の真の悪を象徴しているのは、事故後の今になってでさえ、「反省がない」ということなのですよ。

このような隠蔽と誤魔化しと言い逃れを続けよう、逃げ切ろうという、その腐った姿勢そのものが、初期対応の失敗なんかよりもはるかに悪質なのだ、ということである。ウソを続けて、騙そうという根性こそが、何よりも許し難いのである。

事故調査委員会の方々や保安院にお願いしておきます。きちんと追及し、矛盾点を洗い出し、出鱈目を止めさせて下さい。事故原因を明らかにしなければ、今回の事故の教訓とはなりません。東電の反省にもなりません。

また、東電のこうした隠蔽は、すでに犯罪だ。
彼らは、いくら口で言っても、判らないのだよ。権力サークルにあれば、国民なんか簡単に騙せると思っている。それが証拠に、東電の経営陣とか殆ど変わらなかったでしょう?
経営幹部が殆ど責任を取らない、事故の解明にも協力しない、どころか隠蔽して騙す、というのは、犯罪組織の所業ですわ。刑事事件にしないと、ウソを続けるだけであろう。

こいつらのような悪行を、許すわけにはいかないのだ。