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【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

自動車を繁栄させたのはフォード

現代のフォード自動車は、多分、全くの別物になってしまっているだろう。グローバル企業としての自動車会社というのは、昔の企業とは違う。

アメリカが何故豊かになったのか、戦前の時点でも、アメリカが既に自動車の普及台数や生産台数が多かったのは、フォード自動車のお陰であったはずだろう。

今のフォードという自動車会社ではなく、フォードという企業経営者は、やはり偉大であった。日本の著名な経営者―例えば松下幸之助だ―と同じく、人間というもの、「社会」というものをよく観察し、「経済の原理」というものについて、空論ではない経験と実感に裏打ちされた感覚を有していた。


映画『グラン・トリノ』に出てくる、じいさんは、元はフォードの組立工だった。フォードという会社は、従業員を手厚く保護してきた。

自動車が普及する前の時代、フォードは、敢えて他の業種や企業の賃金よりも2倍といった高い水準でフォード従業員に給料を払った。
優秀な工員を集める、という意図もあったかもしれないが、経済循環の原理というものについて、肌身で知る「叡智」が備わっていたからだろう。

フォードの従業員がお金に余裕ができれば、きっと色々と使うに違いない、すると、他業種でも景気がよくなり収入が増えるだろう、そうなれば、きっとみんなも「自動車を買えるようになる」に違いない、と信じて、フォード従業員に破格の給料を払ったのだ。そうやって、自動車の普及台数は増加してゆき、生産台数が増えることで価格低下のイノベーションも達成できたのだ。価格が下がって、更に爆発的に普及を促進することになった。

ぼくは、フォードがそんな考えを抱いていたことは知らなかった。

けれど、従業員を大切にすることも、アメリカ社会全体を見て考えていたことも、当時の常識破りの大英断も、とても共感できるのである。だからこそ、アメリカ社会は、長きに渡る繁栄を手にすることができたのだ、と思う。

だが、時代と共に、そうした創業者たちの哲学は失われていったのではないかと思う。
また、競争条件も変わっていったことはあるかもしれない。


が、経済の根本原理は、お金を持たせることが必要、それこそが、企業繁栄の近道なのだ、ということを、フォードは知っていたのだ。経済の発展、経済成長の秘訣を、フォードは肌感覚で体得していたのだった。

寄付行為もそうだ。アメリカでは当然とされることは、経済発展の秘訣なのだ。日本でいうところの、施し、ということと似ている。

現代の企業経営者たちには、そうした感性は失われてしまったのではないかと思う。
その結果が、格差社会の蔓延だ。

賃金を多く払った企業に恩恵が受けられない、ということが問題なのかもしれない。賃金を多く払った企業以外の、「少なくしか払わない企業」が、抜け駆け的に商売をうまくやるという戦略が、通用するようになってしまった、ということなのかな。ちょっと、よく判らない。


が、アメリカの最盛期を生み出したのは、フォードのような企業経営者たちがいたからだ、とは思う。


日本の経営者たちは、滅びに向かって突き進んでいる。

TPP推進という愚かな選択が、日本を破壊するとしても、企業利益のみに判断基準を置いているのだ。

経済学者には、智慧がない。
空論バカが現実の社会を見ずに、意見を言うだけなのである。それが、どんなに不幸な結果をもたらすとしても、だ。