怒りのブログ別館

【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

経済学理論バカへの挑戦状〜その2

今朝、前原政調会長がテレビ出演していた。
あれほど逃げ隠れしていて、姿を隠していたのに、参加表明となった途端に、戻ってきたということだな。

前原よ、TPP参加の根拠は何か、と宿題を出しておいたのだが、どうやら「答えを見つけた」らしい(笑)。

簡単に言うなら、消費者も得をするんだ、というものだ。
消費者余剰の理屈を誰かに吹き込まれたんだろう(笑)。まあ一理あるとも言えるが、それだけでは、参加理由にはならない。別にTPPの枠組みである必然性がないから、だ。他のルール作りでも、何ら問題ない。消費者余剰は、TPPだろうが、2国間協定だろうが、大きな違いは生まれない。

この消費者余剰の話は、後でする。


もう一人、初めてみた人物がいた。
上山慶応大学教授だ>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8A%E5%B1%B1%E4%BF%A1%E4%B8%80

 京大法→運輸省プリンストンマッキンゼー
と肩書きは大層ご立派だな。
まさに、エリートコース。
で、洗脳工作にやられた、と(爆)。冗談ですよ。


でも、面白いことを言ってた。
TPP参加のメリットというか、根拠としては、輸出が増えるよりも、投資を増やしていこう、と。
日本は既に投資立国になっているんだから、と。

まあ、一理あるように見えるわな。
拙ブログでも、貿易収支より所得収支の方が多い、みたいな話は幾度か書いてきたからね。
だけど、海外投資を増やすには、純輸出が増えないと、大抵の場合は難しいよね。政府収支がゼロで釣り合っていると仮定すれば、

 貯蓄−投資=純輸出

となるわけで、海外への投資を増やすには、純輸出を大きくする、みたいな方向に行かないとダメですもん。
まさか、政府(財政)収支を「もっと大きな赤字に」というような願いを持ってるわけではないですよね?(笑)
財政赤字が大きいと、純輸出が変化してなくても、確かに海外投資は増えるわな。ま、これを除外するとしても、だ。

純輸出が増加しなけりゃ、投資立国にはなれんでしょう。
輸入を大幅に減らせ、ってことを言いたいのかな?

プリンストン出て、マッキンゼーに行っていても、この程度のことも判らんのかもしれんな。それでも、慶応大教授になれるというのだから、こりゃ、アレですな。


本題に入ろう。

よく貿易赤字なんて、無問題、みたいに言う人がいるんだけど、それって、長期でもそうなの?
だったら、貿易赤字を永続した場合には、どうなるんですかな?

世界中に2カ国しかなくて、A国とB国で、AからBに輸出を永遠に継続した場合、B国では恒常的な貿易赤字となりますね。それは、Aが無限にB国に金を貸せる、ということになってしまうのでは?

為替レートがゼロになるまで安くなるか、価格(為替)変動がないものとするなら、AからBに投資をずっと継続することになるんじゃないですかね。AからBへの投資というのは、要するに金を貸しているのとほぼ同じ(対外純資産(債権))なので、Bは無限に借金できる、ということになってしまう。

そんなことが起こるとは思えない。
貿易赤字なんて、問題ない、というのは、例えば貿易が自由化された直後に輸入が増加した、といったようなことが「赤字でも問題ない」という話であり、それが永続しても問題ない、ということを意味しているわけではないはずだ。

そういうことを区別して、「貿易赤字も黒字も関係ない」みたいな話をしているのだろうか?


アメリカの輸入超過が継続すると、それは海外からのファイナンスを行い続けることと同じですよね?
為替がきちんと変動するなら、ドル安を招くということになるはずでは。
今まで、そういうドル安が起こってきたことは確かですが、それでもまだまだ調節過程かもしれないですよね。現実に、対外純資産保有国だったものが、世界最大の対外純債務国へと転落したのは、そういうことです。

使えると思って、いつまでも金を使い続けてきたら、世界中から借金をしている、という状態だわな。これを可能にしたのは、ドルという基軸通貨を「大量に供給できた」から、だ。
貿易赤字が長期に継続すると、本来であれば、為替レートがどんどん下がって、輸出増効果が出るのが経済学的な理屈に合う姿だ。そうすると、必然的に貿易赤字は縮小されてゆく、という、「神の見えざる手」の調節機能が働くはずなのである。

ところが、基軸通貨ということで、人為的にいじったり意図的に操作したりして、「本来あるべき姿」から大きく乖離していると、「高すぎるドル」ということになり、輸出が増えなかった、ということなのでは。だって、経済学の理屈で考えると、貿易と為替がきちんと機能していれば、調節能は維持されるはずだから。

そうならなかったのは、何か「隠れた要因」が存在するから、としか思われないわけだが。


まあ、アメリカの貿易赤字の酷さを罵っても、何も得るものはないから、これは別にいい。

だが、自由貿易の利点を言う経済学者たちは、自由化前後での利益の話だけではなく、その後長い期間で見た場合の価格や為替変動がどうなるのか、ということを解明してもらいたいもんだ。

輸入で一時的に得になったとて、いずれ同じだけ輸出できる別な財が作れるか、それが達成できない場合には為替で減価されて、結果的に輸入価格が上がってしまうか、ではないのか?

そういうことを答えられないのに、貿易自由化が正しい、なんてことを言えるものなのか?


それと、自由化後に輸入で価格が下がって消費者が得するとして、GDP成長率への寄与って、毎年あるもんなの?

今年下がっても、来年は今年と同じ値段だとすると、もう成長率への寄与はなくなるんじゃないの?
いや、消費余力が増大したとして、他の財に消費できるメリットがあっても、その年以降には、その増大効果は新たには発生しないわけでしょう?

今、食費が月2万円、うち、お米に5000円だとしよう。
輸入自由化で、お米にかかるお金が2000円に減ったとして、3000円浮いたから果物に使うとしますか。それで、果物生産者に成長をもたらしたとして、翌年には定常状態に戻ってしまうわけでしょう?

お米2000円、果物3000円、他15000円、って、これが続く、というわけですよね?
3000円が浮くのは「一回きり」で、その後には1円も浮いてこない、ということで、結局は「経済成長のナントカ」みたいなバラ色の話にはならないような気が。
いや、米に5000円かかってた時よりは、果物3000円分食べられるようになったんだから、大きく得したんだ、と言われりゃ、そうですけど、その得は回り回って損に結びついていたりしないのですかね?

疑問は尽きないな。


参考>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/d6ad155dde3274328646b9a00e18c6d6