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【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

米国のゼロ金利はいつまで続くのか?

最近の謎の多い話で気になるのが、FRBの異様な金融政策である。

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK0FOREXA20120103

(一部引用)

米連邦準備理事会(FRB)は3日に公表した12月13日のFOMC議事録で、1月のFOMC会合から、フェデラルファンド(FF)金利動向に関する政策当局者の見通しを公表することを明らかにした。 議事録によると、FRBは、1月24―25日のFOMC後に発表する経済見通しで、FF金利の動向予想を公表する。


 野村証券金融市場調査部のチーフFXストラテジスト・池田雄之輔氏は、1月末のFOMCでは、2013年半ばまでの政策金利見通しを2014年末まで延長する可能性があるとしたうえで、「今後3年間(米国が)ゼロ金利ということになれば多少は円高に振れる余地がある」という。

 他方、米国は10―12月期に3.5―4%の経済成長を達成する見通しであるため、米ISM製造業指数や雇用統計の相場への影響は限定的との見方が広がっている。

 米供給管理協会(ISM)が発表した12月の製造業部門指数は53.9と、前月の52.7から上昇し、6月以来半年ぶりの高水準となった。ロイターがまとめたエコノミスト予想の53.2も上回った。

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米国の経済状況は、好転しつつある、という見方が広がったわけですよね?
だって、失業率が改善した、10‐12月期のGDP成長率もよくなった、年末商戦も好調だった(らしい)、というニュースを散々やっていたわけですから。


で、一方では、インフレ率上昇→インフレ亢進のリスクということも出てきているはずですよね。

11月時点での米国CPIは3.4%、5月〜10月でも平均で約3.7%を達成していた。コアCPIは、5月1.5%から11月の2.2%まで順調に上昇してきたわけである。

ここまでインフレ率が高まっているのに、何故ゼロ金利を続ける必要性があるのだろうか?
不思議に思いませんか?日銀ならば、疾っくのとうに利上げしている水準ではないかと思えるわけです。


日銀の白川総裁に難癖を言われた通り、米国では量的緩和をしていたのに「物価が下がってるじゃないか」ということがあったことは事実です。2010年の半ば〜終わりまでは、1%以下のコアCPIでしたから、実際そこまで低下していったわけです。

けれども、量的緩和策の奏功というふうに見るならば、ややタイムラグがあって2011年に入って以降は順調に「デフレに至ることなく回復」してきた過程であると解釈するのは可能ではないかと思えるわけですね。

初期治療の効果が出て、日本病たるデフレに陥ることを防げた、ということです。脱出まで約2年かかったということになりますか。
けれど、結果として見れば、下限をギリギリではあってもくぐり抜けて、上昇気流に乗ってきたということになるわけです。今後、また下がらないとは限らないわけですが、2%超まで来ているわけですから、ここらで超緩和的金融政策の離脱期を考える時期ではないかと思うのが普通ではないかな、と。


なのに、どういうわけか「QE3期待」とかいうマーケットの意見は意味が分からん。更には、インフレ期待に働きかけるところの「13年半ばまで」というコミットメントにしても、これの更なる延長という考え方が全く理解できない。何の為に延長を求めるのだろうか?

だって、既にデフレ危機からは脱却したように見えるし、緩和策はうまく機能したように思えるからね。このままのトレンドで行くとなれば、更なる物価上昇が訪れることになるかな、と。


懸念材料として、欧州の様子がまだ不確定だから、というのはあるかもしれない。緩和策の終息作業を始めた途端に欧州で大規模クラッシュでもあれば、再び緩和に逆戻りということになりかねない、ということがあるかもしれないから。

だとしても、ゼロ金利期間の更なる延長とか、QE3とかを今からやる意義って何さ、ということには違いないわけで、最低限「現状維持」であって、「もっと緩和しろ」というのはやや疑問ではある。

ギリシャ危機は、米国の金融政策では予防もできなければ解決もできない。米国の金利調節は、欧州のクラッシュを止める手段ではない。

失業率が高いというのも、緩和策で対応可能な部分とそうではない部分とがある。量的緩和国債買入を止めても、失業率が元に戻るということには必ずしもならないであろう。


つまり、米国でFRBが行っていることは、端的に言えば、財政悪化状況への「アシスト」という面(米国債買入実施で需給がタイトにできる)と、インフレ亢進で「インフレ税効果」と借金返済負担の軽減策ということになるであろう、というのが率直な感想である。


そもそも、量的緩和策はデフレ対策である。景気回復効果が期待できるというものではないだろう。長期国債買入というのも同じ。デフレ状況を脱却(or陥るのを予防)する為に行うものであって、財政危機でこれを緩和する為ではない。


少なくとも、日本というのは、長期デフレであり、未だに物価上昇率はマイナスが継続しており、米国とは全く別な環境である、ということだ。米国の各種指標は、既に日本のような状況から脱していると見るのが普通であろう。それなのに、行う金融政策が同じか、日本以上に更なる緩和が必要ということにはならないであろう、ということである。

このまま行けば米国のインフレ期待は亢進するであろう。所期の目的を達しているはずだ。

それでも、厳しい財政事情ということで、金利上昇を防ぎたいということかもしれんがね。

まるでグリーンスパンの末期の緩和策が長く続いて、ITバブル崩壊後の傷を「サブプライム・ローン」バブルで癒したのと似てるな。米国の金融政策は、結局のところ、行き詰ると次のバブルを起こして解消しよう、というようにしか見えない、ということでもある。

ダウ指数に見られるように、株価上昇も実際起こってきたわけで、日本とは全然違うわけです。金利が上がれば、株価にはマイナスに作用するだろうし、借入負担も重くなるからツライということがあるだろう。そういうのを米国金融機関とかは「避けてくれ」と求めている、ということです。マーケットの希望というのは、そういうことなのだ。
これは、米国金融機関への「所得移転効果」であり、ゼロ金利が続けば続く程、深い痛手を負った金融機関への支援になるということであろう。

それでも、景気が良くないから、国債買入を続ける、ということなのかもしれない。そうであれば、「その経済学的効果及び目的とは何か」ということを答えるべきであろう。
まあ、米国市場の専門家たちが、まともな答えを用意できるとは到底思えないわけだが。
(答えを知っているということなら、今の状況について疑念を抱くはずだし、愚かなリーマンショックなどを招くこともなかったはずであろうwww)


それと、白川総裁に言ってあげたい。
米国は量的緩和をやり、長期国債買入とインフレ期待への働きかけによって、デフレ危機から脱却できたようですよ、と。
米国で物価が下がっている、というのは、時期尚早だった(治療開始から治癒効果が見えるまでラグがあるのは普通だから)とか、やる量の問題(QE2まで来て脱出したかもしれない)というのがあるかもしれない、ということだ。

効果がない、なんてことは単純に言えないんじゃないですか、と。
どうですか?>白川総裁