怒りのブログ別館

【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

続・米国のゼロ金利はいつまで続くのか?

昨日の記事に補足しておきたい。
1点明確にしておきたいと思いますが、当方は何も今すぐ「金利を引き上げるべきだ」ということを言いたいわけではありません。米国の経済環境とインフレ率上昇過程を見るに、これまで以上の緩和策(例えばQE3やその他資産買入)というのが本当に必要なことであるかどうか疑問の余地があるのです。

今後の離脱過程を考えるなら、欧州情勢の見極めというのが必要というのと、日銀みたいに一気に落とした場合の副作用とかリバウンド現象を封じる意味においても、絞ってゆくスピードには留意が必要ということはあるでしょう。ですから、ゼロ金利は当初の想定通りに「2013年半ばまで」を継続するとしても、長期金利まで過度な操作(人為的引き下げ=国債買入継続)が同期間に必要となるわけではないと思えます。
よって、政策金利であるところの短期金利調節は当面維持となるにせよ、ボリュームは段々と絞ってゆくべきであろうな、ということです。今のような10年債金利の2%割れ水準が本当に必要かといえば、そんなことはないのではないかということです。米国の失業率は、80年代とか90年代には、5%以上でも珍しくも何ともなかったので、今世紀に入っての「バブル体質」が根付いてからの4%代といった水準は、目安にはならないのではないか、とも思えます。


2012年中を通じて離脱の準備をしてゆくということであるなら、13年半ばに急激なステップを生じるよりも、移行的な段階を経過した方がよいはずだろうと思えますので、そろそろ絞ることを考えるのが普通ではないのかな、ということです(喩えて言うなら、階段状になるよりも、スロープ状になっている方が望ましい、という意味です)。


他方、日銀の姿勢及び政策効果を見るに、全然ダメだったということが分かるかと思います。「金融緩和をやっています、日銀は努力しています」と日銀は必ず言い訳してきたのですが、やはり過少であれば見掛け上効果がないかのように思えてしまう、ということはあるかもしれません。
http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/e800bb3351726445e36cb6cd1ce252bc

有効量に到達してなければ、目に見える効果が顕れてこないのではないか、という懸念があるのです。日銀のやってきた量というのは、「まだまだ足りてなかった」ということではないか、ということです。

(因みに、元巨人軍の「世界の王さん」は、努力すれば必ず結果は出る、結果の伴わない努力はない、とおっしゃったそうです。結果が出ていないのは、まだまだ努力が足りないからだ、努力の仕方が不十分だ、ということだからなのだそうです。その程度の頑張りならば、「努力とは呼ばない」ということなのだそうです。なるほど、と思いましたよ。さすが、「世界のホームラン王」となられた王さんの言葉だな、と思いました。それでも日銀は「努力している」と言い訳するに違いないのでしょうけれども(笑)。全然結果が出せないのなら、それを「やっている、頑張っている」などとは世間では言わないんですよ。「やってないも同然」というのが、一般社会での評価ということです。)

日本のような長期のデフレでは、離脱が更に困難になるだろう、というのが当たり前ですよ。親和性が高まった状態なのですから。より大きな脱出速度が必要になる、というのと同じです。しかも完全に乾ききった状態が長く続いてきたわけですから、その補正にはもっと多くの水分量を必要とするでしょう、と考えるべきですよ、と何度も言ってきたわけです。
http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/45681f19c3f3a1d5520cc9dd18d4c5b9


実際、米国では量的緩和国債買入で脱出に成功できたわけで、日銀のやり方は「ちょびちょびやってる」からダメなのかもしれないじゃないですか。その上、日本の状況というのは所謂「長期増強」と同じようなもので、デフレ親和性が強化されてしまっていれば、それを打ち消してゼロに戻るだけではなく、プラス圏に上回るのはかなり大変なのではないのか、ということを言っているわけです。そういうことを考えたことがないのか、と本当に疑問に思うわけです。

効果がないのではなく、効果が出るようにやるというやり方に問題があるのではないか、と言っているのです。解決策としての考え方は間違いではなかったように思え、ボリュームを増やすというのは妥当だし、長期金利引き下げ(国債買入)というのも悪くない選択であったと思うのですよ。ただこれをどう行うか、という問題なのです。現実に、米国も中国もデフレの淵まで行きかけましたが、脱出したのですからね(中国はボリューム増+為替ペッグで対応した)。考え方は間違ってはいなかったと思いますよ。

けれども日銀は、失敗を重ねてきた。離脱期は注意せよと警告したのに、早々に踏み切ってしまって大失敗をしてしまい、結局逆戻りさせたのだった。
http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/3500368879d8c598302bbaea98de2b38


米国も早まって引締めをしてしまうことで、逆戻り(や経済の腰折れ)を警戒しているかもしれないけれど、量を絞るのはいずれ必要になることですからね。インフレ警戒は必要でしょうし。長い時間をかけて行えば、大きなショックにはならないと思えますが、いかがでしょうか。