怒りのブログ別館

【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

続・FRBのインフレ目標公表の意義

前の記事に追加です。

発表内容については、こちらが判り易い。

http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE81K0ML20120126

以下に引用部は『』で示す。

『長期的なインフレ率は主に金融政策によって決定されるため、FOMCはインフレの長期的な目標を具体的に定める能力がある。FOMCは、個人消費支出(PCE)価格指数に基づく年間2%のインフレ率が、長期的に見て連邦準備理事会(FRB)の責務に最も一致した水準だと判断している。』

日銀の皆様、ここ大事ですから、よく読んで下さいませ。
a)長期的なインフレ率は主に金融政策によって決定される
b)FOMCはインフレの長期的な目標を具体的に定める能力がある
c)年間2%のインフレ率が、長期的に見てFRBの責務に最も一致した水準


もう一方の雇用の問題ですけれども、金融政策は万能ではない、例えば財政・産業・労働政策など他要因の影響が大きい、という認識であろうと思われます。

参考:
11年8月>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/31f6ae1c6b89596f60cebf846d597c63
同>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/87a916536478c2a730a72a1bafda6fab
(これは、昨日のオバマ演説の核心部分でもあるはずだ)

『最大限の雇用レベルは主に、労働市場の構造やダイナミクスに影響を及ぼす金融以外の要因によって決まる。これらの要因は時間とともに変化する可能性があり、直接測定できるものではない。したがって、雇用の目標を具体的に定めることは適切ではない。むしろ、FOMCの政策決定は、雇用の最大レベルに関する評価に基づくものでなくてはならないが、そうした評価は必然的に不確実で、修正される可能性があることを認識する必要がある。FOMCはそれらの評価を行う上で、幅広い指標を検討している。』

d)最大限の雇用レベルは主に、労働市場の構造やダイナミクスに影響を及ぼす金融以外の要因によって決まる
e)要因は時間とともに変化する可能性があり、直接測定できるものではない
f)雇用の最大レベルに関する評価は必然的に不確実で、修正される可能性がある


ざっとではあるが、a)〜f)について触れておきたい。

・a)に関して
当たり前の内容が書かれているが、長期的インフレ率は(おおよそ)金融政策により決まる、ということです。
これまでに「いや、中央銀行は物価を変えられない」だの「金融政策は効果がない」だの、嘘八百の出鱈目を並べ続けてきた経済学カブレだか学者だか自称専門家だかが掃いて捨てるほど存在してきたと思うが、もう一遍学校に行きなおせと言ってあげたい。
 例:
http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/9993b3f0c071e67d168f72b590c2b35c
http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/7bb2a343b7463e535d66f48e5f8b1cd5
http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/b9e89a45ce24e3672b0e338a49a3a605
http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/f1ca57279b1398e2616fcf033881cce6

こういう論外の手合いにしてみると、FOMC声明文は何を言ってるのかが全く理解できないのではないか(笑)。

・b)に関して
これもお決まりの、物価水準なんて中銀が決められるものでない、とか寝言を言ってた連中がいたが、決められるんだろ。

・c)に関して:
日銀の1%水準の中央値ということであると、低すぎるわな。CPIだと余計にそうなりやすい、ということもある。日銀総裁以下メンバー(の認識や考え方)を変えないとまずダメだわな。

・d)に関して
自然失業率というのは、金融以外の要因の影響の方が大きいという認識ではないかな、と。すなわち、金融政策で雇用を改善しろ、と過度に要求されるのはつらい、と言いたいのではないでしょうか(笑)。

・e)に関して
最大雇用からの乖離は要因が多々あり、直接測定できるものでないし、時間経過の中で変動するので難しいよね、という話。なので、失業率を目標指標とされても、中銀としては困るわね、と。
当方の思いつきですが、例えば「失業率変化の傾き」を見るとか。大きなショック(リーマンショックみたいなやつ)で急激に雇用が失われてゆくと、失業率がウナギ登りとなるわけですが、そういう時の変化率は短い時間の中で失業数が増えるのですから、「大きい」ということになりますよね。数年かけて同じだけ失業が増えたとしても、ショックの度合いは小さいという受け止め方です。後者の場合は、所謂構造要因なども関係するだろうな、と。急激な変化の場合ほど金融政策の果たす役割の度合いは増し、ショックの緩和効果は期待できるであろうな、ということですね。
失業率が高止まりしてしまうような場合(米国でいうところの2011年中)では、既に金融政策によって受ける効果は乏しくなり、他の要因による調節を考える(優先する)べき、ということになるでしょうか。1年かけて、9%→9.2%という風に変化しているとしても、変化率(変化の傾き)が小さいわけですから、金融政策による効果は必ずしも得られないかもしれない、といった考え方です(実際にそうなのかどうかは不明です、あくまで例示です)。5%→8%という変化が数カ月で起こってしまうなら、傾きは非常に大きいということで金融政策を最大限頑張れ、ということになるのでは、と。

f)に関して:

自然失業率は(時代とともに)変わるかもしれないから、それとの乖離幅は決まってないだろうね、と。まあそういうことでしょうね。


以上、ざっと概観してみました。