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【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

インド及びパキスタンへの制裁に比べ対イラン制裁は重い

コメントでご教示頂き、改めて記事に書くことにしました。
http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/e89f0e45dd2acdf7d26125fd0e39114d

インドとパキスタンへの制裁はないじゃないか、という当方の異議について、制裁はあった、ということでした。なるほど、確かにありました。が、現在では特にないようではあります。


1)対インド制裁
引用文献>http://www.cpdnp.jp/pdf/003-01-005.pdf

①日本
・新規円借款停止
・国際開発金融機関の新規融資に慎重姿勢

②米国(グレン修正法に基づく制裁措置)
・人道目的を除く経済援助の停止
・防衛関連装備品の売却などすべての軍事的支援の停止
・米国政府による信用供与あるいは他の財政援助などの禁止
・国際金融機関による財政あるいは技術援助のための融資延長への反対
・米国の銀行による対インド政府との金融関連取引の禁止
・輸出ライセンスを条件とする特定の物品および技術の輸出禁止

③その他
・オーストラリア:インドとの2国間防衛関係の中断及び人道援助を除く援助中断
デンマーク: 供与の凍結
スウェーデン: 援助合意の削減
・ドイツ: 対印援助協議及び貿易の強力に関する会議中止
・英、カナダ、NZ:駐印高等弁務官の召喚
世界銀行:対印融資8億5600万ドルの決定延期

仏、露は対印制裁に反対し加わらなかった。英国も実質的には何らの制裁も課さず。

以上からすると、インドの経済活動が国際的に切り離されるというような事態には至らなかった。米国は国内法に基づいて最も強力な制裁措置が発動された。けれども、インドとイランを比べると、遥かにイランへの制裁措置が重い、ということが言えよう。


2)対インド、パキスタンへの制裁解除
米国の二重基準の証拠とも言うべきものが、この対印制裁解除である。これはパキスタンへの制裁措置についても同様である。
引用文献>http://www.jiia.or.jp/pdf/us_terror/2-5tosaki.pdf

①インド、パキスタンへの制裁
・グレン修正法(核爆発実験を実施した非核兵器国に対する一定の軍事・経済援助の停止)に基づく制裁――前項参照

パキスタンへの制裁
・輸出入銀行法(核装置を爆発させた非核兵器国に対する同銀行の保証などを禁止)
・プレスラー修正法(パキスタンが核爆発装置を保有していないと大統領が確認するまで軍事援助および軍事装備・技術の移転を禁止)
・シミングトン修正法(保障措置を受けていない核濃縮装備を受領した国に対する経済・軍事援助などを禁止)

これら①及び②の制裁解除が2001年9月22日の大統領決定により行われた。
パキスタンは対アフガン戦争期間を通じて、米国との関係がより深くなって行った(軍事的支援なども行われたし、日本の海上自衛隊によるパキスタン海軍への「燃料補給」という軍事的支援までもが行われた。これが核兵器の開発を行った国への制裁なのか、という話である)。

日本も同様に98年に課していた対インド、パキスタンへの制裁解除を行うこととなった。その後、米国はインドとの原子力協定を締結するに至っている。


これらインド及びパキスタンへの対応とイランへのそれと比較すれば、イランへの経済制裁包囲網が極めて重い措置であるということである。
インドやパキスタンにおいては、米国基準が他の国々へ強力に波及するということにはならなかった。経済活動を厳しく抑制するほどの効果はなかったであろう、ということである。ところが、イランの原油禁輸措置や国際決済業務の停止などということになれば、日本ばかりか欧州各国にも影響が広範に及ぶということになるわけであり、しかも半ば強制ということになっているわけである。


これは、独占企業の行う権限濫用、独占による優越的地位濫用というのと、ほぼ同じ意味合いである。
オレの気に入らない企業Xと取引するなら、オレとの取引を全部止めるからな、それでもいいのか、イヤなら企業Xとの取引を止めろ、という脅しを突き付けているのと同じだ、ということである。
決済業務がドルという基軸通貨を利用して行われているからだ、ということをこれまでにも何度か述べたが、このような権限行使を防ぐ意味においても共通通貨単位の創設に意味があると思えるのである。


また、今回は欧州が対イラン包囲網形成に賛同している、というのが過去と大きく異なる点である。どうして今回に限っては、インドへの制裁と比べてはるかに重い制裁措置が取られたか、ということの整合的な説明は存在してない。
当方の陰謀論的(笑)推測では、要するにイスラエルとの関係、すなわちユダヤ系ネットワークがフル稼働して金融・経済関係の「締め付け」を行った結果であろう、と認識している。

一言で言えば、兎にも角にも「イラン憎し」である。それ故、不公平だろうと何だろうとお構いなしに、重い制裁を課すということなのだろう、と。

http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/74f0ea3dca0551bbb546a318d956430b

以前の英、仏、独の反応と対イラン制裁についての態度は、明確に異なる。
ユーロ危機、ユーロ圏のソブリン危機を巧みに利用して、欧州を翻意させたように見える、ということである。当初、イラン制裁、特に原油禁輸措置に関してはあまり積極的に支持しているようには見えなかったユーロが、急に態度を翻して禁輸発動と公表したからだ。欧州や韓国は、イラン原油の禁輸措置について乗り気ではなかったように見えた。
ところが、「金融制裁」を欧州や韓国に適用して「ユーロ売り」「ウォン売り」を浴びせると、たまらず禁輸賛成へと転じたように見えた、ということだ。これこそが、優越的地位の濫用ではないのか、と感じる点である。

まあ、当方の陰謀論的推測はどうだってよいのですがね。

現実を見れば、明らかにイラン制裁は不公平なまでに重すぎる、ということは言えそうだ。