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【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

続・苫東厚真発電所4号機の定期点検について

定期点検入りで停止が伝えられた苫東厚真4号機ですが、この定期事業者点検の記録が見つけられませんでした。

2年毎の点検だと言うのであれば、2010年に実施していてもよさそうなのですが、北海道電力HPのプレスリリースにはありませんでした。2010年に実施したかどうか、わかりません。


ただ、別な資料はありました。
http://www.hepco.co.jp/corporate/ir/ir_lib/pdf/setumeikai091110.pdf

これは、09年10月28日現在における四半期報告によるものです。
ここに、4号機について、書かれていました(P34)。

運用高度化を開始予定、となっています。
設備対策は08年度中に実施、09年度から運用開始、ということのようです。つまり工事は08年度中、多少ずれ込んだとして遅くとも09年第一四半期には工事は終了しているであろう、ということです。運用開始は、10月末時点では行われていないと考えられますので、役所への申請などで許可を待っている段階だったのかもしれません。


ここで判ることは、比較的大きな改修工事を08年度にはやっていた、ということです。
配管類の交換など、必要なものは当時にも行えた可能性が高いものと思います。改修後の申請が必要ならば、書類に書き込むための数字をきちんと出したり、書類体裁を整えるための試験・点検・整備などは行うであろうことが推測されるから、です。

従って、08年度時点で大きな改修工事をやっていた、というのが重要な事実であると思います。それで、定期事業者点検を10年度にも実施したのですかね?延伸申請を出したりしてませんか?


もう一つ、重要なことがあります。
運用高度化、という点です。
これはどういうものかというと、説明にあった通り、泊原発3号機の運転に伴い、火力の出番が減るだろうから、調整能力を高めましょう、ということを目的とした改修工事であるということです。

図中では、「最低負荷レベル」が21万kWから半分の10.5万kWに下がる、というふうに説明されています。
これを当方の理解の範囲で書くと、次のようなことかと思います。
火力発電所を動かす、というだけで、最低発電量が21万kWは発生してしまう(発生させなければならない)、というのがこれまでだった、と。発電所全体を動かすには、最低でもこの出力を出すことが必要だから、ということだと思います。

喩えて言えば、車のエンジンで「前進するには最低でも3馬力必要なので走行を続ける為にはエンジンは常時3馬力以上の出力を保ち続ける」というようなことです。もっと速度を上げたい時は、アクセルを踏むと最高馬力の40馬力に近づくよ、というようなことです。
車の種類によっては、軽量のため前進させる最低出力が2馬力で済むものもあるでしょう。最低負荷というのは、システム全体を動かし維持するのに必要な出力で、車でいうと走り続ける為の最低馬力、ということかな、と。エンジンをスタートさせただけでも、出力が発生するので、エンジンの回転を維持する最低水準といっても同じようなことかと思います。


そして、苫東厚真4号機は『調整電源としての位置づけが増す』とされているわけです。
電力があまり必要でない時期には、最低負荷まで低下させて、需要増加に備える、ということですね。暖機運転状態を維持、みたいなことかな、と。で、需要が上がってきたら、火をどんどん燃やして発電量を増やす、というような。風呂釜と似てるね(笑)。

けれども、電力需給に余裕があることが割りと多い場合、この最低負荷さえも必要ないかもしれない、という期間がそこそこ存在してきたのではありませんか?

最大需要が少ない期間であれば、調整用火力をもっと出力の小さい20万kWとか30万kWといった発電所が担えばいいので、道内最大の火力出力を持つ苫東厚真4号機を動かす必然性というものがない、ということなのでは。

故障が多くて停止期間が長い、というのであれば、プラントとして評価はどうなのよ、運転管理の能力はどうなのよ、ということになりませんか?

そうではなく、調整電源としての役割が10.5万kWまで低下させた最低負荷さえ余剰ということになるのであれば、合点がゆくということなのですよ。

なので、09年度以降の運転パターンとしては、最高出力でガンガン焚くよ、というものではなく、むしろチョロチョロという弱火焚きを続けてきたことの方が多くて、今回のような泊原発3号機の停止期間などにおいて、ちょっと出力を上げるよ、という用いられ方だったんじゃないですか、ということです。


他の電力会社の火力発電所は、91年運転開始を「新鋭機」と呼んでいるみたいですが(笑)。

http://mainichi.jp/select/news/20120506k0000e040124000c2.html

50年近い設備を動かして発電しているとか、緊急停止した91年稼動の新鋭機といった話が紹介されているわけだが、北海道電力では02年運転開始で08年度には高度化対策の大規模改修工事を行ったばかりの苫東厚真4号機では、老朽化だと言うのだそうだ。

で、「クリープ強度の使用限界による設備寿命」と言い張る、というわけですな。

関電ばかりでなく、北電も、はじめから正直に全てのデータを正確に説明するとか、こちらの疑問に誠実に答えてくれるなら、必要以上に疑ったりすることはないんですよ。

けれども、事実を正確に答えない、知っているデータをわざと出さない(隠す)、意図的に言い訳じみた説明を出す、そういうことを幾度となく繰り返すからこそ、しまいには「お前らの言うことなど信用できん」というところに行き着くわけで。

どうして、ウソを重ねる必要があったのか?
事実を正確に伝えないようにするのは、どうしてなのか?


そこら辺をよく考えてみるとよいですよ。
そうやって、信用をなくしてゆくからこそ、原発なんてもっとダメだ、とんでもない、という気持ちになって当然ではないですか。自業自得なんですよ。

フル稼働でもない火力発電所を、フル稼働であるかのように誤魔化す、設備寿命の水準を誤魔化す、工事時期や点検時期を隠す、そういう電力会社の何を信じろと?(笑)

作られた数字、作られた説明、そういうのは、素人にはわかるわけがないんですよ。正直者は、専門知識を持たない、よく判らない相手に対してでさえ、きちんと説明するはずだ。電力会社やエネ庁や経産省のやり口は、ただの「投資詐欺師」まがいだ、と言ってるんだよ。正確な知識を持たない相手に対して、偽の数字を出して説明したり、事実とは異なることをさも現実であるかのように説明したり、そういう出鱈目を重ねているんだろ。

だから、信用できない、って言ってんだろ。
拙ブログで指摘したような点は、常識的に考えると不自然だって言ってるの。こちらには、何の材料も情報も持ってないんだよ。正確な情報を持ってるのは、あんたらだけだろうが。その人間が、根本的にウソを言ったら、誰にも真実は確かめようがないって言ってるわけだよ。

そちらがやってることというのは、そういう卑怯な悪事なんだ、ということだ。