怒りのブログ別館

【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

橋下大阪市長の処世術

ここまで来ると、野田政権との全面戦争に突入すべく不信任案を叩きつけるよりないことは明らかです。
数的には、勝てる。
国民の支持も得られる。
ここで決起しなければ、野田政権打倒は遠のく。


話は変わって、お詫びというか、告白をしておきたい。
当方には、ひとつの思惑があった。
それは、(特に左派系の)皆さんが忌み嫌っている橋下氏を利用する、というものだった。何故なら、声が大きい、ということがあったから、である。

なので、橋下氏の原発再稼働反対表明を支持し続けたわけである。橋下さんには彼なりの都合というか、考えがあってのことだろうと思ったわけだが、とりあえず流れに乗って、橋下さんが反対を言い続けてくれることを利用させてもらおうと思った。
なので、反橋下勢力の一部には、騙されるな、とか橋下を支援するなんて、といったご意見が渦巻いていたことには、全て目をつぶることにした。
毒をもって毒を制す、というのはまさにこのこと、と一人悦に入っていた(笑)。


ただ、流れの変化が訪れたのは、この記事を書いた辺りからだ。

5月19日>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/5a31b5e10d875580b5426b272d8d4ed6


この頃、関西広域連合と橋下市長を中心として、再稼働には反対の立場を守っていたわけだが、反対派の旗印は橋下氏だったことは明らかだろう。彼の反対意見の存在感が大きい、ということがあった。将棋で言う王将と言ったのは、そういう意図だった。


そこで原発派の方も一手を考えてきた。
橋下を籠絡させ、味方に取れば勝ったも同然、と。
確かにそうだ。再稼働反対派には、結集力が欠けると何もできない。広域連合の知事さんたちはいたけれども、橋下さんの影響力に比べると遜色ないレベルというわけにはいかない。

で、一つは、橋下さんが相手側のブラフにやや退いた、ということがあったであろう。それは、数字をきっちり理解する、というのが、難しいからだ。簡単に言えば、やはりビビる部分はあるのは止むを得ない、ということ。
もう一つは、財界や政権中枢レベルからの取引申出、であろう、多分。これは単純な脅しではない。あなたにも「ご褒美をあげましょう」という、まさに籠絡手段の典型、ということになる。


そこで、橋下さんは寝返ることを決断した。
彼は、中々計算高い人間なのだ。ダテに芸能界で生き延びてきたわけではなかった。ここで誰に付くと最大の利益になるか、誰の後ろについて行けば自分の失脚を免れ、大失点に繋がらずに済むか、そういうことをよく考える人間なのであろうな、と当方は思うわけだ。


橋下さんが言った、机上の空論ではない、とか、これが政治、といった言葉は、まさしくそうした駆け引きや取引を意味するものだったろう。負けたと言われたら確かに負けだ、という敗北宣言のようなものも、見掛け上「損はした、負けはした」が、「見返りは取った」と言外に何かをにじませたようなものだった。


それから、橋下さんというのは、モロ体育会系だ。よって、目上の人間には滅法弱い。というか、頭が上がらない。基本的にそういうふうに仕込まれて育ってきているからだ。なので、年長の人間たちからあれこれ言われると、受け入れ易いタイプであろうなとは思う。つまりは、橋下さんへの説得工作は奏功した、ということである。


彼が寝返った感があったのは、丁度この辺りだった、ということ。
そして、限定稼働に言及することとなったのだろう。21日頃だ。明らかに、それまでの発言とは違って、後退した印象を与えた。ネット住人の中からは、ほれみたことか、やっぱり裏切りやがった、という意見が出たのもやむを得ないことだった。


そうして関西広域連合全体としても、限定的というまとめになり、橋下さんは自ら「容認だ」と発言することとなった。寝返ったことを明確にすることによって、事実上稼働を進めよう、というふうに世論を持っていこうと思っていたのであろう。これをもって政府は「免罪符を得た」という形を作り出すことができ、あの橋下市長も折れたんだから、やっぱり仕方がないんだ、ということにする、と。


その後、民主党を打倒するという旗印を降ろす、とか、国政に候補者を擁立しない、といった「撤退宣言」のような発言が相次いだ、というわけである。見返りとしては、都構想の法案を一気に進めるぞ、と。橋下さんの願望であったところの、大阪都を実現してあげよう、君の実績としてあげよう、と。いずれは、もっと重要な役回りがあなたを待っているだろう、ということかな。


寝返りによって、橋下さんは自分は助かる道を選んだ。
彼には家族もあれば、人生もあるわけだから、仕方のないことだ。一般国民の為に自分が犠牲になって、何かを頑張り続けて、断罪されるか葬り去られる目に遭っても嫌だと思うのは、普通のことだから。橋下さんに、俺たちの為に犠牲になってくれ、とは言えないもの。だから、彼が降りたのは、次のステージに生き残る為にはしょうがないことだ。次の時点で生き残っていなければ、勝負にさえ参加できない、ということになるわけだから。彼特有の生存本能のようなものであろう。


で、切り崩しは、橋下さんだけではなかった、ということかな。ついでに、原発ブレーンだった飯田哲也氏にも、取引の手法は通用してしまった。まあ、これまでの日陰生活が長かったことを思えば、橋下氏について一気に著名になったわけで、反原発の闘士と見られる地位に躍り出たから。そこに「ウマい話」の一つや二つ舞い込んだら、それを受けない理由もないはずだから。


原発推進派は、人間の弱点というものをよく心得ていらっしゃる。王将と飛車を一気に落とせば、勝ちは決定した、ということだから。なるほど、参りましたな。そちらが勝利確定で喜ぶ気持ちも分からないではありません。
でもね、再稼働の権限は橋下さんにはないし、飯田氏にしても反対意見を述べることはできても、それ以上のものではないから。


橋下市長が寝返ったのではないか、という最初の疑いは、21日頃だ。その後の展開でも、橋下氏を利用できればそれでもいいか、という打算でこのことを黙っていた。容認発言が出た後も、民主党を倒すと言わないと言った後も、野田総理の会見でも、告白しなかった。まだ橋下さんの発言力を利用しておいた方が「有利に運べるんじゃないか」、などといらぬことを考えてしまったからだ。
それに、寝返りの確信はまだ不十分だったしね。ああ、やはり落ちてたのか、と思ったのは、飯田氏の知事選出馬報道を見てから、だ。


今となっては、橋下さんが向こうに与する立場となっているなら、黙っておく必要性がなくなったので、このような告白をしたわけである。橋下さんが権力サイドに付いてしまった以上、彼の動きには注意を要する、ということだな。