怒りのブログ別館

【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

続・「財政破綻」という洗脳

かなり長いコメントでしたので、こちらに返事を書くことにします。
http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/8371757da56e49097f23f82bf9682059


(以下、青が引用部)


あなたがまともに経済学を勉強している方なのかどうかは存じませんが、あなたこそ新書の受け売りはよくないと思いますよ。どこから反論すればいいかわからなくなるくらいレベルの低い議論です。

「まともに経済学を勉強している方」ではありません。昔の記事をお読み下さると、当方の変遷がご理解できるのではないかと。因みに、新書は参考にしてないですよ(笑)。


>>「マーケットが増税を望んでいる」というのは、どういうことでしょう?
まずこれが分からないという時点でブルームバーグを見直すことをお勧めします。
格付け会社のコメントを読みなおせばそんなこと分かることで、説明する気にすらなれません。IMFも日本に財政再建をうながしているのですよ。IMFへの拠出金が世界でもトップクラスの日本にはそこまで強くは要求できませんが。


記事の末尾に書いた「マスコミに流通する流言蜚語の類」ということがご理解されなかった、ということでしょう。ブルームバーグ記事に何と書いてあるか知りませんが、解説に書かれていることが必ずしも事実とか真実であるということを意味しません。


コメント者の真意が分かりかねますが、「マーケットが増税を望んでいる」、というのが、例えば「報道記事に書いてある」「アナリストなどがそう言っている」「格付け会社がそう言っている」等々があるとして、口先介入の類と違いがなさそうな気がしますね。増税するかどうかは日本国民が決めるべきことで、投資家が決めるわけではなく大きなお世話です。


「マーケットが望む」(意見の方向)というのは、あくまで価格などの数字として現れたものというのが、当方の理解です。具体的には、ギリシャやイタリアやスペインなどのように、金利上昇が見られる、或いは借換債が困難になってゆく、といった具合に、あくまで市場取引の結果として出されたもの、ということです。これこそが、市場が財政規律を求めている、緊縮財政や増税を促している、などといった”解釈”を与えることを可能にする(説明として、まあ妥当ではないかということ)ということです。


ある企業の配当が少ないのでもっと還元しろ、とアナリストだの仲介人だのがいくら言おうが、大きなお世話では。企業と株主が決めるべきことで、配当が少なすぎて不満だというなら株主は離れてゆくから株価が下がるとか株主数が減少して上場維持が困難になってゆくという「市場取引の結果」として出てくるわけで、株主でもない連中が配当は○円にしろ、などと要求したとしても、重要な意味があるとは思いませんね。


再度言いますが、当方の考える、マーケットの意思(方向性)というものは、こうした価格などに現れる取引結果である、ということです。ブルームバーグに書いてあるとか、著名アナリストがこう言った、というだけでは、信ずるに足りないということです(参考にはするかもしれませんが)。



>>マーケットが望むなら、「増税するまで買わないぞ」ということにすればいいだけでは(笑)。それをできないのが、本当に不思議ですな。

これも金融機関の現状を知らない人の発言としか思えません。まず国内金融機関はJGBを買わないという選択肢はありません。なぜなら彼らの資産の多くはJGBだからです。つまり主な買い取り先である国内金融機関がJGBの買い取りをやめた時点で現在すでに保有しているJGBの値段が下落するんですよ。保有資産が傷むんです。国内金融機関にとってJGBを買わないことは自分で自分の首を絞めるのと同義なんですよ。更に、ギリシャ問題やAIJのような問題があったこともJGBの買い取りに拍車をかけるでしょう。それは日本国債を安全だと思って買っているわけではなく、もしも運用に失敗したときに言い訳ができるからです。わけのわからない金融商品を買うよりはJGB買って失敗する方が言い訳ができるんですよ。そういうことまで頭を回したことがありますか?


金融機関の現状を知らない、というのは、その通りです。完全部外者ですし、業界のことも知りませんから。
で、JGBを買わない選択肢はない、という決め付けが本当に不思議ですね。これは、言葉を変えると「国内金融機関はバカ」と言ってるのに等しいのでは(笑)。じゃあ、バカが売り買いしてるマーケットが決めるだの望むだのと、金科玉条のように祭り上げることが不思議です。


当方の受け止め方は違いますね。仕方なしだろうが、消去法的にだろうが、リスク回避的だろうが、自己保身的だろうが、合理的判断によって国債買いが行われているものと思いますよ。それが、市場というものだと当方は考えています。


買い続けなければ値下がりするから、含み損を抱えることになるから、という理由だけで買うというのは、多分ほぼあり得ないと思えますし、ごく少数あったにせよ大多数の金融機関がそんなわけではないでしょう。そんなことが本当なら、金融機関は自己実現バカみたいなものでは。


銀行が企業Aに投資し株式を保有しているとする。企業Aの株価が下がると銀行の含み損が拡大し自己資本が減少する。なので、銀行は企業Aの株式を買い続けることになる。増資する度に株価下落を避ける為株式を買う、と。こんなことを延々と続ける金融機関は、そんなに多いですかな?
含み損を避ける為に買い続けるというのは、そういうことです。無限に追い貸しするようなものだ、ということです。金融機関は全部相当のバカ、ということですか?違いますでしょう?


JGBの投資失敗は言い訳できるから、なんてのが理由かどうかなんて知るわけないでしょう(笑)。運用担当じゃないですから。先物市場とかは別でしょうが(時に投機的売買があるだろうから)、現物では大損は回避できるわけで、元本割れリスクはこれまで小さい(デフォルトしない限り元利が払われてきたわけで)から、リスク評価や自己資本比率などの関係から買われる、などということはあるでしょう。


基本的に市場参加者というのは、様々な思惑や判断がまざっているわけで、先ほどから言っていますがそれがマーケットだ、ということのはずなのですよ。運用スタイルが弱気とか自己保身的(言い訳できるというのがこれでしょうか)とかサラリーマン的とかがあるとしても、それも市場の一部を構成するに過ぎない、ということです。コメント者の並べる話は、これまでに出尽くしたもので「価格を見よ」の一言で反論が終わる話です。


指標金利が0.8%であると、価格上昇余地は極めて狭いレンジです。0%まで国債価格上昇したとしても、値幅が狭い、ということですよ。理論上はマイナス金利もあり得ますが、あまり現実的ではないです。一方、下落余地で考えると、誰がどう見たって1%より上の金利レンジは広いわけですね。これが3%とか5%になったところで、世界的に見れば何ら珍しいものでもないわけですし。そうすると、金融機関の圧倒的多くがわざわざ「価格は下落するだろう(=損をするだろう)」というものを好んで買っている、ということになるわけで、日本の金融機関は全部バカなのか、ってな話になりますよ。

損することが分かっているなら、誰も買わない、ということです。現実はそうなっていない。マーケットの評価を信じる(重視する)なら、多くの金融機関は「買い」が儲かる方に賭けている、ということを言ってるわけです。勿論、マーケットは大きく間違ったり、価格決定システムや判断が狂うことがありますから注意は必要ですが。


>>それと、格付けが下げ続けられてきたのに、海外勢の日本国債保有残高は増加してきたんじゃありませんか?現実の数字を見たことはないのですか?
>>今の10年債指標金利は、1%割れですね。

まず長期金利が低くなっているのは先ほども述べたように国内金融機関が国民の資産をもってJGBを買いまくっているからという理由が一つですね。
海外の金融機関のJGB保有残高を考えてみると、確かに現在までに保有残高は増えていますね。ではなぜ彼らはJGBを未だに買っているのか。それはいざとなったら日本政府が国債をデフォルトすることで国民の個人金融資産と引き換えに債務をチャラにすると考えているからです。
あとは、金融が不安定な現状ではfly to qualityが生じているからですね。とりあえず今はまだ投資適格としての格付けをJGB維持していますから海外金融機関もボラの大きい金融商品よりJGBを買いますが、もし格付けがダブルB以下になったら海外の投資家は一斉に売りに浴びせます。海外金融機関の保有率は10%程度だとしても決して無視できる金額ではないですよ。


コメント者は自分の書いている意見が何を言っているのか、自分自身でも理解できていないのでは。
金融機関は、国民の資産を持っていようがナンだろうが、別に国債を買う義務はないですよ。外債だろうと国債以外の国内資産(例えば株とか)だろうと選べる自由はあるはずですが。まあ自己資本規制の関係でリスク資産への投資には限度があるでしょうがね。それとも、貸出でもいいはずですから。
それと、買いまくってるから、というのは説明として意味がないですね。市場評価として金利は低い(買い続けられているから価格が高い)ですよ、という当方の指摘に対して、買いが多いから金利が低いと返答されても、何の答えにもなっていませんね。


金融が不安定な現状〜云々は、日本が相対的に安全だとマーケットが考えていることを、肯定しているでしょう。コメント者の言っていた海外勢は「格付けが下がると国債を買わない」の論理は、既に否定されていますね。英語で言っても、ダメなものはダメ、ですね(笑)。


「いざとなったらデフォルトすることで債務をチャラにする」というご意見も、意味不明です。だったら恐ろしくて投資家は日本国債を買わないでしょう。政府が日本国民の持ってる金を強制的に徴税して、海外には払う、ということを言うのなら、高々76兆円の心配をする必要性などないでしょうな。政府保有資産の売却だけで払いきれますから(笑)。比率で8%少々ですから、むしろ残りの90%以上の方がはるかに大問題ですよ。
本気でデフォルトした場合、金融システムは壊滅的なダメージを受けることになりますって。金融機関はほぼ全部潰れますな。これを放置する意味もないし、国民が望むわけでもないですよ。


海外勢は日本国債を買う必然性はなく、もっと格付けの高い国債は世界中にたくさんある(笑)わけですから、そっちを買えばいいだけ。日本の国債格付けがジャンクになって、売られても別にかまいませんな。ありがたいですわ。グリード連中の投機対象にされるよりマシ。一斉に売ってきた場合は、防衛する必要がありますが、方法はいくつかあるでしょう。サーキットブレーカーがあるので、超短期間では金利上昇幅が限られます。


本気で防衛するなら、日銀が全部買えばいいだけです。例えば政府保有の外貨準備の外貨資産を担保に日銀が政府貸付を行い、その貸付金で日本国債を全て買い切ります。現物はそれで潰せます。先物ですが、どの程度のレバレッジが分かりませんが、為替変動をよく見るべきかと思います。売り方にも、かなりのリスクがあるわけで。中央銀行が本気を出すと、ヘッジファンド勢の資金力では太刀打ちできないでしょう。



>>消化できなくなると発行額が減るので必然的に債務削減が達成される、ということになりますね。

なぜ国債が消化できなくなると債務削減ができるのか甚だ疑問です。確かに年度ごとの歳出は削減されるかもしれませんが、累積債務が減るなんてことないでしょう。そんなことが起こるのはインフレが生じるかデフォルトを宣言した時だけですよ。


債務残高1000兆円で毎年100兆円の借換が必要な場合、今年50兆円しか調達できないと、50兆円は欠損になります。資産を売却して調達、使う額を減らす、増税、などを行うよりない、ということです(ギリシャみたいなことになる、というのがそうですね)。調達できないからといって、即デフォルトとは限りません。自転車操業であっても、元利払ができていればいいわけで。
そうすると、残高1000兆円のうち、50兆円分は借換不可能なら、債務残高は950兆円に減りますよ。これぞ、マーケットの要求する「増税・財政規律達成」ということに他ならない、と言っているのです。本当に増税を求めているというのなら、マーケットが「買うはずがない」、市場取引結果としてそれが観察されるはずだ、ということを言っているんですよ。実際、欧州ではそうでしょう。



>>円が猛烈に売られたとすると、日本の主要企業である輸出企業は、大きく得をするし、競争力が回復して有利になります。また、海外からの収益である所得収支が相対的に増大するので、これも有利に働きます。これまでの海外投資資産は、評価額が2倍とかになれば、かなり儲かった感じではありませんか?

かなり儲かった「感じ」がするからどうなのでしょう?今の日本企業の株取引の多くは海外投資家によってなされているということをご存知でしょうか?マクロ経済が安定しない国の企業に投資するということはかなりリスキーですよ。


えー、ご自身が脳内で仮定しているクイズ?みたいなものに答えているのですから、曖昧なことしか答えようがないですよ。「日本政府がデフォルトしたら」という、当方としてはほぼあり得ないことでありそんな愚かな選択もないとしか思えない想定を出されたので、仕方なく比較的簡明な例示をしたまでです。あなたの言う「対外純資産なんて関係ない」みたいなご意見に対して、純資産超過のメリットを書いたんですよ。

株式市場で売られたらどうすんだ、とか、そういう論点も何度も目にしてきたものであり、出尽くしていますな。いちいち答えるのも面倒になってきました(笑)。同じ話はずっと以前に書いてますので、こちらをどうぞ。

09年>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/addd0ec6ea4c37072eb8ee171d10d05a



反論も疲れたので次を最後にします。

>>、日本政府を信用しなくなった国民が政府に金を出さなくなること

既に金融・経済を分かっている国民は円だけで資産を持つことに不安を覚えていると思いますよ。グローバルREITや個人の外債投資が急増しているのがその証左だと思います。


当方も疲れました。
「外債投資が急増している」というのは、本当ですか?
家計の保有する外貨建資産はここ数年40兆円前後で、あまり変動はないですが。
というか、若干の為替要因(円高)で円評価額があまり変動してなくて、ドル評価額とかですと若干増えてる可能性はあるかもしれないですね。それでも、高々2.5〜3%以下しか残高がないです。あなたのおっしゃる急増、というのは、投信が減った代わりに外貨建REITなんかが増えたということなのかもしれず、一面だけ見るのはちょっと問題かもしれません。

こういう記事に影響されたのでしょうか?
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK081565020120530

まあ、まだまだ微々たるものでは。


参考までに、拙ブログでは海外投資を推奨してきました。実物資産購入も、です(笑)。微々たるものですが、円高対策になるかな、と。


ちょっと疲れました。
これ以上回答はしませんので、拙ブログでの意見は過去の記事に書かれていますから、そちらをお読みくださればと思います。