怒りのブログ別館

【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

続々・疑似科学ニュースのメカAG氏の論説に疑問

ちょっと遠くのド田舎の方に行ってましたが、戻ってきました。


メカAG氏は当方の見解に回答をして下さっていますが、どうも隔たりは大きいですね。かなり面倒になってきたので、これで最後にしたいと思います。


http://nebula3.asks.jp/103464.html


揚水発電について正確に理解していない」って厳しい指摘をされているわけですが、それはそうでしょう。電力会社の人間でもないし、実際の「揚水発電の運転(運用)の仕方」を知ってるわけではないんですから。


まず確認です。以下は、説明できていない、ということでよいですかね。


・6月需給について
・火力を止めて、これまで以上に揚水発電を用いる理由


それから、データを示せ、分かりやすく提示しろ、というご要望には応えられませんが、参考に以下を調べて下さい。
検索しないと、細かいデータが探せないこともあるので、ピンポイントでは示せません。


電事連http://www.fepc.or.jp/library/data/demand/index.html

エネ庁>http://www.enecho.meti.go.jp/info/statistics/denryoku/index.htm


揚水発電が需給差によるという話は、一応見てますよ。
メカAG氏が示した関電の説明資料だけでなく、それ以前の一連の資料は読んでましたら。4月に記事にも書いてます。

http://d.hatena.ne.jp/trapds/20120415/1334463378


そちらが出したシリーズは、多分「大阪府市エネルギー戦略会議」に提出されていた説明資料と同じ系統のはずですから。



揚水発電が分かってない、と断じる気持ちが全く理解できませんね。
まあいいでしょう。


メカAG氏の提示した資料(p11)の一つ前のページ(p10)にある図で、改めて説明したいと思います。


ここでは、以下、便宜的に
 a)ポンプアップ時間
 b)揚水発電時間
と呼ぶことにします。



1)ロードカーブが一定である場合


現実には、そんなことはないわけですが、考える道筋として簡略化するために、需要量が一定であるとします。


すると、aとbの時間割合は、横に通っている水平線、つまり供給力による、ということになります。


・この水平線が上にシフトする=供給力の増加

この場合、aが増加しbは減少します。
火力を止めるということは、水平線が下方にシフトすることを意味します。関電が火力を止めたのは、そういうこと。わざわざaが減るようにした、ということ。
揚水使用を減らして、火力を増やした方がbの時間が短縮されるし、燃料費も火力が揚水より有利。それなのに、火力を止めて水平線の位置を下方シフトすることに合理的理由は見つからない、と言っているのですよ。


それから、水平線の位置は何で決まりますか、ということですよ。少なくとも、全部が火力であろうと、水力+火力といった組み合わせであろうと、全く同じですよね、と当方から指摘しました。火力2500万kWと水力500万+火力2000万kWは、同じ位置の水平線(供給力が同じ)ということになります。電源の種類には、直接的には関係がない。


水平線はロードカーブの形状には関係ないはずですね、と言ってるんです。けれども、彼は需給差が分からないとダメだ、みたいに言うわけだ。水平線の位置は、揚水を除いた供給力で決まるのであるから、需要量は関係ないわけです。


また、火力100万kWと原子力100万kWは同等であり、水平線の位置を変えない、と当方が前の記事の数値例で示したまで(①と②)。


少なくとも、火力が原子力の供給量より減って、揚水発電量が増加する、という現象(これは実際起こったことです)は、水平線の位置が下方シフトしたにも関わらず揚水増加を意味するわけです。
このような変化は、僅か1日か2日程度で起こった、と言っているわけです。


日々の需要量変動ですが、2〜3日の需要量は殆ど大きな変化はないですよ。特別な出来事でもない限りは。あと、土日祝日とかは変わりますけど。気温変動で、と言っても、前日から数百万kWも急増するとか、ほぼ見かけないですね。週間でんき予報が出せるのは、そうしたある程度の傾向が分かっているはずだから、と思います。


ロードカーブの形状は、殆ど似ているし、他社であっても相似形に近いと思いますね。予測ができないわけではないと思います。


追加ですが、メカAG氏は汲み上げポンプ能力に依存するから、一定以上の電源を追加しても揚水の汲み上げ量が変わらない、という説でした。そうかもしれません。だとすると、前の記事でも指摘した通り、「火力が余ってしまう」状態で原子力を追加しても「揚水発電は変わらない」ということになるはずですが、需要量(ロードカーブ)は殆ど変化ないのに、原発がフル稼働したら揚水発電量が増加する、というのは、説明できないですね。
(ロードカーブは変化なく、原発稼動前の水平線の位置で十二分に間に合っているのに、そこに更に原発を追加して水平線を上方シフトさせた、ということ)


2)ロードカーブが上方にシフトする場合


猛暑で電力需要が増加する場合、というのが、大体これです。ロードカーブが上に行くと、水平線の下側に来る谷の面積が小さくなる、従って、aが減少するのと同時に、ポンプアップに回せる電力の余裕が少なくなるので、結果的に満水にできない、といったことが起こる、というのが関電の説明でした。


ロードカーブは大体似てますので、他社で揚水発電を行っていない会社があれば、余剰を回すことができます。他社が余剰分を融通することによって、水平線の位置を上方シフトさせる効果が得られます。


浅くなった谷の部分を一時的であろうと深くできるはず、ということです。


それと、揚水発電の供給力の数字変化ですが、正確には需給差を連続時間で計測できないと分からないでしょうけれど、公表されているのは前日公表数値であり、翌日の「現実の需給差」が判明してない時点に出されるものだ、ということです。翌日の需給は、事故などがなければ想定されるものだ、ということです。


メカAG氏の言うような、正確な数字、という話ではない、ということです。翌日の最高気温や日中のロードカーブなんか分からなくとも、揚水発電の供給力を増加したりできる、ということなんですよ。まあ、自分で毎日関電HPの観察でもして、それを記録してみてはどうですか。他人にデータを公表せよ、と求める前に。



揚水発電を使って、火力を止めるのはけしからん、などという話ではなく、そんなことを選択する「意味がない」「無駄である」と指摘しているのであって、わざわざ大きく損をする方法を選択する理由は思いつくわけもなく、じゃあどうしてそんな意味不明なことをしているのか、というと、当初の説明そのものに矛盾や隠し立てしていることがあったんじゃないですか、と言っているわけで。


少なくとも、供給電源が原子力発電だろうと、火力や水力発電だろうと、揚水発電の供給能力とかポンプアップ時間とか、そういうのは基本的に「変わらない」というものであるはずで、原子力に切り替えたので揚水発電量が増加させられるという説明は、ウソですね。
大飯4号機稼動前〜フル稼動後での数値を観察していれば、それは分かる話でした。



関係ないですが、
『しかしこの時間帯(22時〜23時や翌7時)は電力需要が高いから他の電力会社も、関電に融通する電力はこれ以上ないはず。』

という解説をつけていますが、他社も需要逼迫で電力がない、というのは、どこのデータでしょうか?


西日本の関電以外の会社の当該時間における予備率を毎日確認でもしてみたのですか?
10%以下くらいが当たり前になっていたとでも?


本当にデータを見た上で言っているのですかね。
関電以外は原発動いてないわけですから、原発なしの状態でその時間帯の需要がどのくらいあるのか、見たらいいですよ。自分のお説が正しいかどうかが分かることでしょう。
日々公表のデータは更新されて残ってないので、確認しようがないわけですが。



過去の記事の書き方が悪かったせいというのはあるのかもしれませんが、例えば前回例示の①〜④の違いが全く理解されなかったので、これ以上説明しても徒労で終わってしまい、結局は「何を言ってるかが分からない」という結果になるかもしれません。