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アルジェリア天然ガスプラントにおける邦人殺害事件について〜3

これまでの報道を見る限り、事件の全容はまるで分からない。後から出されたアルジェリア政府の閣僚の発言も、当初とは違ったものとなっているようだ。

これで、ますます謎が深まることとなった。
まるで「韓国哨戒艦沈没事件」の時のようである。政府発表の内容が後になってからコロコロと変えられる、というものだということ。


地元メディアや海外メディアの報じた内容と、日本で得る情報では段々と違いが出たりする。

16日夜の「人質5人」という報道は、犯行声明側が直接明かした情報であるはずだし、ネット上に掲載されたものなので報道機関によって内容が間違うといったことはほぼないだろう。”5人の人質”―しかも国別に米国人、英国人各1名とノルウェー人3名―と詳しく犯人側がわざわざ発表しているのに、どうして本当はもっと多数の人質を取っていたのだろう?

普通は多く言う意味はあっても、少なく言う意味はなさそうだ。過少に宣言することにどんな理由があると思うか?脅しの効果が薄れるじゃないか。
強行突入といった作戦を実行するとして、人質が1人しかいない場合と、100人いる場合では、突入側の決意に影響する、ということである。本当は人質が3人しかいなくても、10人だ、とか脅されたら、踏み込むのは躊躇われるでしょう?


40人とか、ひょっとしてもっと多くかもしれないが、それだけの人数を押さえていたにも関わらず、わずかに「5人」と犯行声明で宣言するというのは、相当バカとしか思えないわけだ。モーリタニアの通信社は犯人に電話取材して41人の人質と報じた、というのが17日の報道だった。16日夜の発表からは増えたわけだ。どうしてかな?


報道された情報から、基本的な疑問点を書いてみよう。

①テログループは、何人でやってきたか?

これが本当に謎。諸説ある。アルジェリア政府発表によると、射殺29人、身柄拘束3人の合計32人だった、とのこと。犯行声明側の言い分だと約40名、とのこと。

襲われた側のプラント職員や作業員らの証言では、いくつかある。
・9台のトヨタ車:ソナトラック社(公営企業)の塗装でリビアナンバー
(ロイター報道)
・施設に1台のジープ、テロが7人乗車で楽々侵入(ガスプラント出入口警備に就いていたBP警備担当者がAFPに証言)




まず、32名だったとして、9台分乗だと、3〜4名/1台だ。4名が5台、3名が4台で来たことになる。
だが、ジープに7人も乗ってプラントに飛び込んできた、という話は全く別だ。車も違うし、1台に乗車している人数が多すぎる。普通の人が証言する場合、ジープと呼ぶのはジープ車のようなものだ。7人満載で来るのは、軍用車のようなものじゃないと無理。ピックアップトラックのようなものの荷台に大勢乗ってる場合もあるが、銃撃に弱いのでそれは選ばないはず。乗ってるとしても、後部には銃撃手がいる場合で、重機関銃を乗せてるような場合だ。
そうじゃなくて、1台に7人乗ってたということは、ハンヴィーのような車だった、ということだろう。一般人はトラックで来てたら、トラックだった、とか”トヨタだった”、と言うはずだ。ジープと言うのは、別なタイプの車だった、ということ。別グループの存在かも?


最後まで立て籠っていた人数が不明だが、今日の讀賣記事では17人とアルジェリア内相が答えている。3人の身柄確保がいつの時点だったか不明だが、それ以外の死亡数が17人だと、この時点までで12人が死亡していたことになる。車で脱出した犯人たちが5台分乗だったとして、見張り役と運転役で2名は必要なので、10人が死亡することになる。各車人質2〜3名だったとして(うち一人は車横転で奇跡的に助かっている)9〜14名が政府軍ヘリの攻撃で死亡となる。


そうすると、居住区での戦闘まででテロは2名が死んでいた、ということになるが、激しい戦闘があった割りに、政府軍の特殊部隊(ニンジャって言うらしいよ)が制圧するまでに犯行グループを倒した数が僅か2名で、車に乗って逃げ出したのが10名程度、となる(ガスプラントには別に17人が存在)。居住区で目撃されたとされるテロ犯の死体の数と合わない。車で脱出した際に、運転だけやっていた場合、10名ではなく5名くらいとなるが、運転しかできないので銃は撃てず応戦することもできない上に、人質を見ていることもできないので、それを選ぶテロ犯はバカだろう、ということになる。


殆どの情報は、辻褄が合っていない。
当初、最後の立て篭もり犯の数は、11人と報じられていた(人質7人と)。
http://www.toonippo.co.jp/tokushuu/danmen/danmen2013/0120.html


襲われた場所は、バス、居住区、ガスプラント、と3箇所あったわけだが、犯行グループは居住区に12名で乗り込んできた、と報道陣に公開された時の現地スタッフ証言があった。しかもVIPゾーンに集まっている時に襲ってきた、と言っている。具体的だが、朝6時前に何でみんなしてそこに集合していたのかは、謎だが。しかも襲撃された時間帯がほぼ同時刻だった(5時40分〜45分くらい)のようである。


32名という少人数で襲う計画だったのに、これほど分散させた理由は不明である。普通は、プラント攻撃を最も重視して人数を割くものと思うが。けど、一番簡単だったらしい。


②襲撃されたバスは、どうなった?

これも奇妙なのだが、バスが最初に襲われて、バスはどうなったのでしょう?当初、バスから逃げ出そうとした日本人3名が射殺された、という報道があった。あれはガセだったということ?
バスには警備が付いていたらしく、何とテロ犯を撃退したそうなんですね。でも、この時に英国人1名(ないし2名?)とアルジェリア人1名の警備担当者が撃たれて死んだ、ということらしいのですね(セラル首相が犯人を撃退と発表)。しかも、その死亡したとされる英国人はBP副社長だった、ということが後から報じられたわけです。

バスは走り続けていた?逃げ切ったのか?
外国人が乗っており、日本人も乗っていたのでは?そのバスが何と居住区に人質を乗せたまま引き返した、というリアドさん証言があるが、本当か?

最初のバス襲撃で、どうやってBP副社長を射殺できたのか?
それとも、逃げ出そうとした日本人3名を射殺できたのか?
撃退したというバスはどこに向かったのか?
それとも犯人は乗り込めたのか?
バスそのものが謎。そこでどういう戦闘になり、何人が死亡したのか。射殺されたのは、警備担当の英国人?副社長?日本人3名は?


③居住区での戦闘

犯行グループは居住区のカフェやレストランの壁に弾痕らしき穴を多数生んだらしいのだが、誰と戦ったのか?讀賣記事では「民間警備スタッフは丸腰」とかいうホラみたいな話があった。ホントか?
居住区の警備が手薄で倒すべき相手もいない場合、何で壁にドでかい穴を開けねばならんと思うか?人質らをビビらす為?
意味が判らんわ。
もしも警備スタッフとテロが戦ったのなら、丸腰というのはウソくさい。政府軍の警備はどうしていたのかな?軍警備はいなかった、と内相が語ったらしいのだが、だったらテロ犯は誰と激しく戦闘したと?(笑)

壁に向かって穴を開ける機会はほぼない。居住区内の各部屋にいる人間を外に出す為にドアを撃って開ける、なら分かるよ。だけど、直径20センチとか30センチにもなる穴を開ける意味がない。

警備スタッフは楽々排除できたとして、外に人質を並べて置く意味がない。軍が周囲を包囲するまで数時間だったとして、犯人グループは建物内に隠れてないと危険じゃないか。広場に多数人質を晒す理由が不明。爆発物で脅すにせよ、政府軍にこれみよがしに見せておく為にせよ、攻略が難しいのは建物内などに立て篭もるからこそであって、犯人グループが外に出ていた理由が判らない。

政府軍との戦闘で、犯行グループが建物内に隠れたのなら、壁に大穴を開けたのは政府軍側の攻撃による、ということになる。装備から考えて、装甲車の12.7mmとか20mm機関砲なんかで銃撃すればぶち破れるのは不思議ではない。そうすると、部屋の中では貫通弾がボロボロと破壊跡を残すのでは。

けど、公開された映像ではそうなっていない。
しかも重機関銃なんかで撃ちこんだような連続弾ではない穴だ。単発。ポコッと映画のセットみたいに空いているだけ。壁一面全部に連なってる、とかじゃないわけ。どんだけピンポイント射撃なんだよ。で、貫通の形跡が乏しい。犯人が背後にいたなら、グチャグチャになってそうだよな。人質の壁を作っていたのなら、なおのこと。血痕が激しく飛び散っていても当然。でも、貫通した後は見られず、家具が壊れていただけ。誰か人間が中で暴れたのか?それでは、外から壁に穴は開かない。意図的に作られた穴、ということかな、と。


早朝時点では、軍が居なかったのなら、警備スタッフは丸腰同然で手薄だったということで、戦闘なんか激しく起こるわけがない。犯行グループが脅す為に空砲を無駄に撃ち続けたのかもしれないが、あんま意味がないよね。弾が惜しい。一体、誰と誰が戦っていたのか、不明だ。

更に、日本人3名とフィリピン人2名が正門の方に走って逃げだそうとしたのを見た、という現地スタッフ証言があった。撃たれて死んだそうだ。翌日、その付近に死体があった、と。これも、正門方向に走るには、かなりの距離を走り切れる自信がないと無理だ。しかも、車なんかで追いつかれず、撃たれもしないと信じて走るのは、至難。砂地で走る自信のある人間なんて、そうそういるもんじゃない。


テロ犯12人がVIPゾーンとか日揮居住ゾーンにやってきたとして、居住区全体はかなりの広さがあるので出入り口付近を見張る人とかいないとダメだし、部屋を回ってドアを開けさせてゆく作業と同時並行だからね。これは簡単にはいかない。テロ犯たちの行動は不思議なことが多い。


④ヘリを撃ち落とさなかったのはどうして?

いくつかの報道にあったのだが、テログループは携帯式対空ミサイルを保有していた、ということだったらしい。他にも、迫撃砲重機関銃、地雷などもあったようだ。

さて、ハインドが低空で脱出しようとした人質を乗せたランクルなんかを攻撃して、爆発炎上か走行不能に陥らせたはずだ。

こういう攻撃ヘリは現場の数キロ先にいても、上空を飛ぶ音がするはず。なので、自動車が攻撃を受けた距離―恐らくは数百メートル〜1キロ以内くらいか―であると、目視でも十分ミサイルで狙える位置にいたはずだろう。少なくとも、自動車に分乗できていたことからすると、外に出て戦闘位置につくことが不可能だったとは思えない。報道記事からでも、16日中には政府軍が周囲を包囲しヘリが飛んでいたことは分かっている。

17日に車5台が脱出を試みたとされているが、この時にヘリを撃ち落とせるチャンスはあったはずだろう。全テロ犯が居住区を放棄して車に乗っていない限り、撃てる。ガスプラント側にいた連中も撃てるはずだったろう。もし対空ミサイルが間違いだったのなら、単なるRPGとかであるかもしれないが、そうだとしても、ガスタンクに向けて撃たなかったことの理由が思いつかない。放火しようとして失敗し、焦がした程度で終わった、とか、テロ犯が自爆してはみたがガスプラント施設破壊に失敗した、というのも、あまりに間抜けな話ではある。


警備スタッフが丸腰で過ごすほど銃弾での爆発を恐れるなら、間違いなくRPGを食らったら「ガス爆発」状態だろうに。なのに、テロ犯たちは「宝の持ち腐れ」でヘリを撃つこともなく、ガスタンクかパイプラインを爆破することもしなかった、ロケットランチャーなり迫撃砲を撃ちまくって破壊することもなかった、と。


⑤ガスプラントに勢力を集中させなかったのはどうして?

バス襲撃から居住区、ガスプラントと3点攻撃となると、人数が少ない側は不利なことが多い。ガスプラントの警備には常に政府軍がいたことは日揮側の発表でも明らかだった。
そういう場所を攻略する際に、最も少ないメンバーしか割かなかったことが不思議。バス襲撃班が後に合流してきたとして、守りにくい居住区にメンバーの数をそれなりに置いていた理由は判らない。

居住区制圧に時間はさほどかからなかったはずで、抵抗しない人質を管理するのに、そう多くの人数を置く意味は感じない。最も攻撃されにくい場所のガスプラントを守る方が人数的に不利なテロ犯側としては作戦として妥当であるはずだ。しかも爆発物を設置したりする準備や地雷を埋めるなどしたのなら、それなりの人数を揃えておく必要がある。


ガスプラント内はかなりの広さがあるので、防御拠点を定めて人数を配置しないと負ける。政府軍は圧倒的に多人数だから。政府軍突入前にテロ班が人質殺害を命じて殺し始めたから、強行突入しかなかったというのも謎だ。28人もの人たちがどんな場所に閉じこもっていたのか?


狙撃チームから見えていたなら、閉鎖空間ではなかったということか?
音声も映像も入手できていたと?


それと、BP副社長の射殺だけど、一番位の高い、人質としての価値の高いであろうはずの人物を、いきなりしょっぱなのバス襲撃で射殺するだろうか?
普通はしないよね。バス運転手とかを撃ち殺すが、社長とか社会的身分の高い人間は生かしておこうとするはずだろう。主に英米人を探していた、というのに、真っ先に射殺するなんてヘンだよね。



やっぱり謎だらけだ。