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【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

リフレ?一派の暗黒史

上念司らが”御用一般人”とか命名しているが、自分たちは一般人ではないのか(笑)。ああ、あれか「自分らは違う、お前ら如き虫けらのような一般人ではないのだ」くらいの、特権階級意識選民思想でもあるのかねえ。因みに私は「匿名の卑怯者」(懐かしい〜)ないし「匿名の一般人」にございます。


で、拙ブログを書き始めて(04年10月)以降、ネット上では所謂現在の「リフレ派なる人々」を知ることになったわけです。そういう人々は、まるでフランス革命のような勢力争いといいますか、闘争を展開しておったように見えたわけです。普通のまともそうな人もいましたが、そうでもない人もいました。ああ、そういう基準で言えば、当方なんかも「まとも」ではない範疇に入ってしまうかもしれません(笑)。



当時、日銀はゼロ金利政策量的緩和政策をやっていました。
リフレ派と自称する人々は日銀を蛇蝎の如く忌み嫌い、常に徹底糾弾をしておったわけです。簡単に言えば、悪の権化は「日銀だ」というようなことですね。少なくとも05年時点での量的緩和政策に対しては、
「お前らは流動性の罠を知らんのか、教科書嫁!効果がないんじゃ効果が、量的緩和をやっても無駄だからデフレのまんまなんじゃ!ヴォケが」
みたいな勢いで、日銀政策を糾弾していたはずです。
もう、日銀出身だ、とか、日銀業務に関係している、ということだけでも、批判対象とされたもんです。彼らは他人の陰謀論をやたらと批判するわけですが、自分たちの言う「お前は短資会社の回し者だろう」的な決め付けは、当然OKですかね。そうした傾向は最近でも全く同じでしょうけれども。


また、小泉政権の「構造改革路線」にも徹底糾弾をしていたわけです。
その片棒担ぎであった高橋洋一は勿論のこと、経済財政諮問会議にいた竹中平蔵大臣、吉川洋東大教授、本間正明阪大教授なども当然やり玉に挙げられていたわけですね。改革路線に賛成している人々に対してでさえ、「金融政策しか意味ないんじゃ、シバキ主義が諸悪の根源じゃ、ヴォケが!」みたいな勢いで攻撃していたような印象でした。
当然ながら、郵政民営化についても「ムダムダムダムダムダ、オラオラオラオラ!!」くらいの勢いで徹底的に批判し反対していたわけです。「デフレ」なのと「郵政民営化」とは別な政策議論になるかと思いますけれども、思想的に先鋭化しているせいなのか判りませんが、個別の政策議論ができない、という方が見受けられました。
つまり、「リフレ村」住人のような感じで、仲間認定されると急に掌を返したように「味方」識別表示となり(笑)、村人になってないとそれは全て「攻撃じゃ」ということで「敵」認定、というようなことでしょうか。具体例としては、山崎元氏のいわゆる「ゴキブリ論争」とかですね。

まあ、当方はリフレ村の住人になんてなりたいと思ったことはないですし、彼らの薄気味悪い仲間意識みたいなものも、あんまり共感できるものではなかったわけです。党派的に賛成表明をした者を村人とみなし、連帯意識満載。それに反対する者たちは、議論の中身を吟味するのではなく、属人的に「敵」認定し意見を全否定、というようなことですかね。そういう集団は、過激な宗教的集団と似ており、原理主義的な言動が見られます。


極端に書きますと、
金融政策さえ実行すれば、
郵政民営化はいらない」
「労働政策もいらない」
「若年者対策もいらない」
「家族政策もいらない」
みたいに何でも解決するかのように言うわけです。


そんなことに労力を使うくらいなら、「リフレ汁」(注釈;当方の理解では「リフレ政策をしろ」という命令形のよう)だそうです。
また、こういうのの取り巻きみたいな存在がそれなりに形成される、ということですな。それこそが「リフレ村住人」。


で、村人はどうでもいいわけだが、いくつか疑問点などを指摘しておきたい。


①2004年以前に、日銀の量的緩和政策を批判していたリフレ村住人は、その後どのような総括をするのだろうか?

日銀のやることなすこと貶さずにはおれなかったのかもしれないが、日銀当預残高目標の調節について、確か「流動性の罠なんだから無効だ」とか言って批判していたであろう人々は、今になって「やっぱり当預残高を増やせよ」とか言うとすれば、それはどうしてなのであろうか?
30兆円超の量的緩和策の時には、そんなのやっても効かねえぞ、とか言ってたのなら、今の残高水準やもっと増やせと要求する理由というものを明確にしておく必要があるであろう。


②「政策レジーム変更」云々で日銀法改正を言うのなら、何故日銀法の97年改正に反対しなかったか、或いは日銀法改正を優先要求してこなかったのか?


金融改革とか、不良債権処理などといった論点は、ほぼ無効であると確信していたなら、どうして日銀法改正というレジーム変更を言ってこなかったのだろう?
拙ブログにおいて「97年ショック」と表現してきたが、まさしくその97年以降にデフレに陥ったので、あたかも「日銀法改正」というレジーム転換が起こったということと同じ意味合いなのでは?
ならば、97年の日銀法改正がまさしく「改悪であった」ということで、大蔵大臣に日銀総裁の人事権を持たせるべき、ということではないか。最大の失政は「日銀法改正であった」という主張でしょうか?
日銀法改正がそれほど重要なのであれば、97年改正に徹底反対すればよかったのだ。大蔵解体と日銀分離・法改正は、その後に訪れる日本の銀行等「金融機関粛清計画」に追い込む為には必要だった(大蔵がバックにいる限り、銀行を潰さず救済しようとするから)、ということだろうというのが当方の推測である。
ただ、結果としてデフレの道を開いたわけであるから、政策転換を再度図るべく法改正を優先すべきだったのでは。それとも、97年改正の責任を厳しく問うべきだったのでは。


③財政政策批判はどこまで妥当なのか?

金融政策の重要性を説くことは別にいい。だが、リフレ原理主義的な連中というのは、まるで「やること自体が間違い」みたいに決めつけるわけだが、本当に検討した結果なのだろうか?

また例で考えてみよう。
有名な「ヘリマネ」という話があるだろう。お金をヘリコプターから播けばいい、という思考実験的な喩え話だ。バーナンキ背理法なんかにも通じる話である。

これには必ず言外の前提というものがあるはずだ。
それはどういうことか?
「もらったお金を人々が使うであろう」
というものである。


木の葉が降ってきたら、どうするか?
箒で掃いて、ゴミ袋なんかに入れてしまうだろう。そう、そのまんま、だ。燃やしてしまう人もいるかもしれないが、木の葉を店に持って行って支払う人はいないだろう。
では、お金が降ってきたら?(笑)
まあ、普通は使ってしまう。だけど「お金の量を増やせば、物価が上がる」という直結状態ではない、という場合が存在する、ということを考慮しておく必要があるはずだろう、ということを言っているのである。


お金を貰った人がきっと使ってしまう、そういう暗黙の了解が存在していないと、ヘリマネの議論は成り立たないし、バーナンキ背理法も同じく通用しないだろう。お金を受け取った人が、ポリ袋に入れて木の葉の如く退蔵しているとか、お財布か貯金箱に入れたまんまでどこにも使わなかった場合、物価は上昇しない。だから、単純にベースマネーを増やして、日銀金庫に大量の眠らせてあっても、世の中の資金量(循環)には殆ど影響を与えない、ということがあり得るだろう、ということに注意する必要があるのではないか、と言っているのである。


「貰ったお金は必ず何かに使う」という前提が必要なのである。
お金を貰って使う立場が誰か、ということで場合分けができる。
政府が使えば、公共事業なんかの様々な政府支出となる。一般の個人が使う場合には、減税、給付金、医療費補助や生活保護費等々になるだろう。企業が使う場合というのは、法人税減税、研究開発費等補助金、中小企業対策費などである。日銀が使う(というのが妥当な表現かどうかは不明だが)場合には、各種資産買入ということになる。

ヘリマネは大袈裟な表現ではあるものの、具体的政策として考えるなら定額給付金に近いもの、ということになるだろう。そして、通常は「使わずにはいられない」ということであり、何か食べるとか買うということで、使えば需要増大が起こる。そのことがデフレ圧力を改善するはずだ。しかし、誰一人全く使うことなく保管されてしまうと「貨幣供給は増大したのに物価は不変」ということになる。


従って、お金を使う経路、というのがどういうものになるか、というのは考える必要があるはずなのだ。財政政策なしでいいという場合には、政府、個人、企業が使う立場になることを否定するわけであり、その場合には日銀が資産購入に充てるよりない、ということになってしまう。日銀は商売できないし、博打も打てない(笑)。何ならケチャップでも買うか?日銀にできることは極めて限られている、というのはそういう意味である。


また、日銀が借り手を創造したり、借入需要を増大させたりできるわけではない。金融機関の貸出需要が増大しなければ、当座に積まれた資金は眠ったままになる。ただし、日銀の金利引き下げ策が奏功すると、貸出金利水準が低下することで「今の方が借り得だ」(=将来は金利が上がるだろう、という予想が発生する)と思えば、資金需要が増えることにはなるだろう(金利先高感があるから=将来時点での名目金利上昇が予想されるから)。


いずれにせよ、これまでに日銀叩きでメシウマだったようなリフレ村の村民だか住人だかは、過去の反省会でもきちんとやっておいた方がいいんじゃないか?


参考:http://togetter.com/li/476996