怒りのブログ別館

【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

サプライズの「次の一手」で冴える黒田節

先月終わりの記事で、黒田総裁以下日銀の方々に史上最大の作戦を成功してもらえるよう、お願いを申しあげました。

http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/36cd62a872d26763faeeaf7f37bd65a2

(再掲)

そして、デフレは15年にも及ぶ長期となってきたこともご存じの通りです。これから日銀が行うのは、史上最大の、過去に例のなかった挑戦です。ある意味では、日本経済を舞台にした、壮大な実験です。

またヘンな喩えで申し訳ありませんが、誰も見たこともないような「巨大な大浴場を沸かす」という作業を実行するようなものだ、ということなのです。これを成功させなければなりません。この大きな風呂は、過去のデフレ期間に魔物が成長するように巨大化してしまいました。しかもこの風呂には、人類史上最大規模の「国債プール」というものが付いています。これらを含めて、風呂が「いい湯加減」になるようにすることが求められるのです。

この挑戦に失敗すると、次の一手は全く見えなくなるかもしれません。
次なる手を正確に述べ挙げている人は、ほぼいないでしょう。それくらいの難事である、ということです。成功させるには、日銀の全戦力を結集しない限り不可能でしょう。政府も勿論全面協力するしかありません。

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そして、戦端は開かれました。
その緒戦で、黒田日銀は大戦果を挙げたと言えましょう。


マーケットにはサプライズを持って受け止められました。為替や株式市場は素早く反応しました。これぞまさしく「期待の効果」(by岩田副総裁)ということでしょう。


親が子に「Aを配るよ」というのが、本当に行われるんだ、ということが確信できたから、だろうと思います(前に書いたブラックジャックの喩え話です)。


ただ、今後の戦いには注意が必要です。
市場が期待に反応を示したことは、「理屈の上では順当な結果」ということでもあり、さほど問題にはなってこないことです。問題は、これから、です。ゲームが始まってみなければ、「子が勝てる」という現実結果を得られるかどうかは、まだ分からないから、です。


一部の浮ついた「りふれは」連中なんかは、大戦果に狂喜乱舞の様相のようだが、愚か者たちには今後が大事なんだということが理解できないのであろうか。ヤツらは、自分の主張を通すことが目的であって、「政策実行の効果、結果」というものが大事なのだという視点が決定的に欠けているのだろう。


白川総裁から引き継いだ局面での「次の一手」は、この局面においては「最善手」として、誰しも考えているであろう。事前の検討でも、そこまで踏み込めるかどうか、という懐疑論もあった中で、この手を出してきたのは(しかも全会一致!だった)見事と言える。

だが、油断は禁物だ。ここからの勝負を見なければ判らない。

当方は、過去に自分の考えを書いてきたわけだが、その方向に進んでもらえたことで、逆に緊張の度合いがはるかに増しているところだ。マネタリーベースの水準についても、過去記事で示してきた通り、今年の3月末時点であれば154.2兆円くらい、ということで出したわけである。
http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/d40066972638bf53503f28d6391eda75


そして、日銀の実施してきた水準というのが、約135〜139兆円(記者発表では138兆円という平残水準が示された)というところまで迫ってきており、自分の出した水準との乖離幅は確実に縮小している、というのが実感できていたから。

多くの記者諸氏は気づいていないんじゃないかと思うが、元々は白川前総裁が記者会見で説明していた「機械的に計算してみると…」という数字の意味を覚えているかね?
あの近未来の「マネタリーベースの水準」というのが、今後13年末に向けてどのくらいまで到達するか、という説明を聞かされた時、白川前総裁の意図する所がぼくには何となく判っていた。


今回の黒田総裁の出した水準は、それに加えて上積みということではありますけれども、白川時代の数字とよく見比べてみるとよい。拙ブログには、白川総裁に向けて「ピッチが届かなかった」と申し上げたわけですが、新体制下では、偶然にもそのピッチの上積みが実現されることになった、と受け止めている。


今後は、国債価格が反転して、金利上昇局面となってゆくことが起こらなければならないわけで、それは「銀行から国債を引き剥がす」ということでもあるわけだ。

日銀が競合して国債を買うことで、銀行は別な資金の振り向け先を探さざるを得なくなる、ということだ。当預残高の上乗せというのは、ある種の「飽和攻撃大作戦」のようなものであり、金融機関と国債の結合度を低下させ、国債買いに銀行資金が向かうのを阻害する、という機能が期待されるだろう。


だから、国債買いに資金が集まらなくなっていかないと、マネーストックの増加率があまり伸びないということになる。現実の結果として、量的質的緩和策が効果を発揮したかどうかは、待つより他ないのである。