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【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

大企業を特別救済する為の円安と”輸出還付金詐欺”

日銀短観や法人統計から見えてくることは、円安によって救われる人は誰か、ということがある。


まず、年末以降の円安局面によって、中小、中堅企業の業績悪化がもたらされた。その一方で、大企業(資本金10億円以上)だけは一服できた、ということがある。大企業のDI改善効果というのは、経団連加盟企業群のような「大企業だけ」を特別に助けることによって、もたらされたということである。
大企業群は、いかにも自己努力のような顔をして、利益を挙げている自分が偉い、みたいなことを言うわけだ。それは、確実に間違っている。日本に最も「おんぶに抱っこ」なのは、大企業群であるということだ。
すなわち産業構造転換に一番邪魔をしており、抵抗しているのは製造業である、ということかもしれない。彼らのムダ遣いレベルは、何十兆円単位で行われているわけだ。彼らを救済しようとすればするほど、日本国民全体が苦境に陥っているのではないか、ということでもある。



経団連とか、大企業経営者たちは口を揃えて言ってきたはずだ。
円安にしろ、法人税を下げろ、農業分野なんかの「非効率業種」が成長の足を引っ張るんだ、補助金をムダにしたんだ、構造改革しろ、というようなものだ。


本当は、最も成長の足枷となり、日本国民の税金を貪り、労働力を毀損してきたのは、大企業だったんじゃないのか。日本に寄生して、国民から金を奪っているのは、彼らなんじゃないのか。消費税を上げろ、というのも、詐欺みたいなものなんじゃないのか。



1)輸出額の約9割は大企業

規模別売上とか輸出額比率なんかで見ると、大企業がほとんど輸出を行っている、というのが日本経済の姿である。だから、円安で大企業だけに恩恵が集中し、中小中堅は苦しむことが多いわけである。
輸出額に占める大企業(資本金10億以上、以下同じ)比率(2002〜2008年の平均)は、約87.5%であった。
対売上の輸出額比率は、中小企業群約6%、中堅企業群約11%、大企業群約28%、であった。円安効果は大企業で出やすい、ということ。中小零細に行けば行くほど、円安でコスト増効果が大きくなり、打撃を受けやすい。中堅企業は若干の輸出とか海外進出などの展開がある場合もあり、


2)輸出企業には輸出戻し税が還付される

輸出している製品などには消費税分を課税しない、ということになっているのは周知の通り。この還付金の総額というのが、全く不明なのであるが(生活党の議員さんとかは、この額について国税庁財務省に数字を出すよう請求するべき。国会議員にならば、規模別に回答が得られるはずだ。個別企業ごとではないので、還付総額を年度毎に出すのは可能である)、過去の推定ではトヨタなどの企業単独でも数千億円のオーダーで還付されていると考えられる。


3)大企業が法人税をどれほど払っているのだろうか?

これも謎なのであるが、年度毎の法人税額を、規模別に出してもらうべき。東証一部上場企業の6割は払ってない、といった推測もあるらしいので、多くのメガバンクみたいに、ロクに税金も払わずに文句ばかり言ってた連中がいるのは間違いないだろう。
何なら、経団連加盟企業とそれ以外とで、法人税納付額の総額を出してもらえ。それが無理でも、国税庁質問主意書などで規模別の数字を要求するべき。


4)法人税輸出戻し税のバランスを推測してみる

大企業が消費税の効果でどれくらいの得をしているのか、ということを推定してみる。あくまで輸出額からの推測である。5%の消費税のうち、輸出額×5%という戻し税にはなっていないことが多く(企業により3%台のことも4%台のこともある)、前提として「輸出額の4%」が消費税の戻し税として考える。また、大企業の輸出比率は、前述したように08年までの7年間の単純平均の87.5%とした。輸出額は歴年ベースの数字。


年   推定輸出額  法人税額A  還付額B  (A-B)  

07   73.4    14.7     2.94    11.76   
08   80.9    10.1     2.84    7.26
09   47.4    6.4     1.90    4.50
10   59.0    9.0     2.36    6.64
11   57.4    7.8     2.29    5.50
(単位 兆円)

*1;推定輸出額は各年の輸出額×87.5%で算出
*2;還付額は推定輸出額×4%で算出



こうして見ると、経団連加盟の大企業なんかの言う「オレらが法人税をがっぽり払ってるんだ」、みたいな傲慢な言い分はほぼ出鱈目である、ということではないかな。ここ数年なんて、まともに税金払ってる輸出企業ってどれくらいあるんですかね?

12年の法人税額はまだ出てないが、恐らく7兆円程度ではないか。11年度よりも下がると予想しているので。輸出額は約63兆7500億円だったので、大企業を中心に業績は振るわないだろう、と。そうすると、還付額は昨年と同じくらいの水準だが、法人税収が低下するので、還付額を除いた納税額は4.8兆円程度しかないのではないか。10億円以上の資本金の大企業が、たったの5兆円以下くらいしか納税してないくせに、どういうわけだかやたらと威張っていて、偉そうなんだよな。大株主と同じなんだから、納税額が大きいなら発言力もそれなりで、ということもあり得るかもしれないが、所得税や消費税より全然払いが少ないクセに政治的発言力が異常にデカいんだわ。



数兆円しか払ってないのに、エコカー補助金だのエコポイントだのといった補助金三昧や雇用調整助成金で数兆円とか、為替介入での借金増加16兆円超、といったカネを、誰が捻出していると思っているのだろうね?

法人税の大半を払っているのは、本当は傲慢企業以外なんじゃないですか?
輸出企業を救わんが為に、これほどのムダ資金投入が正当化される理由というのは、何があるのかね?


大企業向けの法人税を引き上げるべきなんじゃないですか?
日本は自動車産業の力で持っている、というわけじゃないんですわ。前にも書いたが、製造業としての自動車部門というのは、GDPに占める割合が「たったの2.5%」でしかないのに、どうしてこれほど傲慢なんですか?
前原元外相の弁では、残り97.5%が迷惑している、ということになるんじゃないですかね?

参考>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/a0166a93357e025c538a7c546198f237


自動車企業が払った関税額の、たったの数千億円よりも、傲慢輸出企業を救う為に投入された税金や、円高是正という名目で行われる所得移転効果の方が、何倍も打撃が大きいんだわ。


我々輸出企業が稼がないと、日本は原油も買えなくなるんだぞ、といった理屈を言うこともあるかもしれません。そういう事態がないとも限りませんが、そうだとすると、もっと別な産業構造になるとか、為替水準というものが出てくるんじゃないですかね。
これぞ、経団連の言う、まさに「自由貿易万歳」なんじゃないですか?(笑)


例えばオランダには自動車企業はありませんが、それで極貧になったりしてないみたいですけど。オーストリアにある自動車企業とかも知りませんが、だからと言ってオーストリアが「江戸時代の生活に逆戻りだ」とか、そういう苦境に陥っているという話も聞いたことがないですね。


農業分野なんかよりも、非効率な輸出企業、特に大手製造業を支える為に、円安で大損失を受け入れたり、構造転換の歪みをもたらしているんじゃありませんか?
そういうヤツラが、自分だけ助かりたいということで、盲目的にTPP推進を言い募り、構造改革拒否をしているだけなんじゃないのか?


円安になっても輸出減少、これが、日本を代表する大企業群の実力、ということだ。彼らのような「無能」にカネを持たせたら、日本は低迷した、と言う見方が妥当なのではないのかな?


もっと大多数の個人にカネを持たせていたら、色んなものが生み出されてきていた、ということがあるんじゃないですかね?
1社に100億円もキャッシュを持たせても、手持ち現金として積んでおくだけで、何も生まないわけだよ。大企業が手元資金を積み増しただけ。
だが、一人100万ずつ分けると、1万人に分散するから、その中から新たなイノベーション(起業)の起こせる可能性というものが生じる、ということだわ。大企業群の貯蓄率大幅アップによって、確実に銀行貸出減+成長率低迷+消費抑制、ということが起こったのだ、ということ。


道理で銀行貸出が減少を続けたわけだ。何も起こせない大企業にカネが集まってしまったから、だ。そして、ヤツラを救済する為に、公的資金が多額に投入された。それら投入資金の多くは、ゾンビ化とほぼ同じ意味合いのものであり、成長率の引き上げには「ほぼ役に立たなかった」というのが、過去の事実なんじゃないか、ということだ。


まさしく、輸出企業の呪い、だったというわけ。
これも既に書いてきたんだが。