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【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

日本の資金動向はどうだったのか

世界一の政府債務を誇る、我らが日本!

確かに、自慢できたものではないわな。米国の債務をどうこう言える立場にはないかも。
だが、その理由というものについて、よく考えてみる必要があるだろう。


日本の2000年3月末(99年度末)時点と2013年3月末(12年度末)とを比べてみることにした。ざっとの数字で、次の通り。


①政府純債務は約400兆円増加
②家計金融資産は200兆円増加(1390→1590兆円)
③家計債務は36兆円減少
④企業金融資産は106兆円増加(739→845兆円)
⑤企業債務は301兆円減少(1469→1168兆円)
⑥対外純資産残高は210兆円増加(88→298兆円)
⑦00〜12年経常収支黒字合計額は約200兆円
(非金融法人を便宜的に”企業”とした)



これらから考えた当方の見解を書いておく。


まず、④と⑤から企業は400兆円も溜め込んだ、ということである。どういうことかと言えば、まず借金返済に勤しんだ。300兆円もの債務削減を行ったわけだから、投資をその分減らしたわけだよ。投資が減ると設備投資に代表されるように、景気やGDP成長率にはマイナスの影響を与えるわけだ。当時に、貸出先から300兆円も資金引き揚げ効果をもたらしたのだから、銀行が「貸出先がない」ということになるのも当然だな。
その貸出先が失われた結果、他に資金の持って行き場がないので国債でも買うよりない、ということになった。そうして、貸すよりリスクの少ない(笑)国債投資へと資金が回ることになったわけだ。当初、銀行を救わんが為、とか、ゾンビへの貸出を強制的に止める為、といった大義名分で資金回収が行われた。だから、企業は借りないで必死に返した。その過程において、弱い企業は潰されていった。


で、債務残高は大幅に減少することとなり、キャッシュリッチな企業(主に輸出割合の比較的高い大企業群だろう)は更にキャッシュを溜め込むか海外投資を拡大したのだ。それが100兆円の資産増加であり、対外純資産増加、ということの意味だ。


政府債務増加のうち、ざっと100兆円はバカ財務省のドル買いであろう。これも対外純資産増加と整合的だ。


政府債務純増額と企業の資産増+債務減=400兆円がほぼ同じなのは偶然かもしれないが、企業が使わないので政府が代わりに投資等で使って(各種補助金、雇用助成金エコカー減税のような形である)、実質的に政府から企業への所得移転効果をもたらした、ということだ。
銀行を救う為、企業債務返済の促進、これは銀行貸出減(マネーサプライ減少要因)と政府支出増加で、回り回って企業への所得移転なのだよ。銀行や企業にナマのカネを渡したのとほぼ同じ効果だ、ということである。


家計は、将来不安とか若年層の倹約志向などもあってか、こちらも使わないようにして貯蓄に励んできた、というわけだ。大量の退職者(特に団塊世代だ)なんかも得られた退職金を溜めることになったはずだ。年金生活者である老齢層においても、同じく溜めたままだったろう(その一部が振り込め詐欺なんかで奪われているわけである、年間200億円以上も!)。
その結果が、200兆円の貯蓄超過ということだ。収入が減る中での、貯蓄増(因みに金融機関の預貯金残高は314兆円(947→1261兆円)増加)だったのだから、それは大変だったろう。政府予算で言えば、税収が減る中での繰越金増額だった、ということだ。


こうして、結果的に企業が全然使わない、家計も使わない、よって政府が使う、という構図が出来上がってしまった。政府の使った殆どは企業への所得移転効果をもたらし、海外への工場移転などを助け、家計の溜めた分も使い手が誰もいないので、その余った分は海外へと資金漏出となったわけである。
同期間での経常収支累計が約200兆円だったというのも、他の数字と整合的である。家計資産増+債務減の合計では約236兆円で、対外純資産増加額と中央銀行の持ち高増加でざっとの数字は合う。


つまり、日本では国債増加ペース以上に、企業と家計が債務削減と貯蓄に取り組んできてしまった結果、銀行は投資先を失い国債投資へと資金を振り向けざるを得なかった、ということである。


企業がこれほどまでに債務削減を強行したのには、ワケがある。
それが、日本の金融市場を掠奪しにやって来た、欧米系金融機関の連中の策略だったのだよ。97年ショックに始まる、グリードどもの収奪作戦だったのだ。日本と日本の銀行を破産させ、根こそぎ奪おうと狙ったものだった。ムーディーズの格下げなんてのは、その末端を担っていたものに過ぎない。

そうして、韓国なんかはまんまと破産したが、日本は中々どうして破綻には至らなかった。一部は生贄とされてしまったが、多くは破綻には至らずに済んだ。


そのような健全な市場の機能ではない、人為的なデタラメ工作が行われた結果が、日本の歪な経済環境を生み出したのだ。まさしくコントロールが非常に困難なモンスターとなってしまったのだよ。強固なデフレ経済という自然界ではほぼ生み出されない、異様な不自然体を作り上げたのだ。


言うなれば、必要もない劇薬をワザと野放図に使って、殺さんが為に使い続けてはみたが、しかし何故か日本は奇跡的に自力で耐え抜いたのだよ。グリードどもは90年代末から今世紀初頭にかけて、「日本が死なないのはおかしい、だって、こんなに殺す薬を使っているのに!!」と不思議がり、文句さえ出されたんだぞ。
「日本が死なないのはヘンだ、だって、死ぬ薬を大量に入れているんだから」
殺人者ならば、当然そう思うだろうよ。やってる当人たちは知っているからな。

挙句の果てには、死なないのは「きっと何かを隠しているからだ」と責め立ててきた。金融政策の妥当性云々の話なんかじゃないのだよ。死ぬはずなのに未だ死んでないのは、「不良債権をまだまだ隠しているんだろう」と怒鳴り込んで来やがった。竹中プランを生み出した最大の理由は、そういうものだろう。


まあ、こういう異常さに耐え抜いた結果、その副作用によって日本は普通ではない状態になった。まるで抗生物質に耐性を獲得した細菌みたいなもんかもしれないな。
けど、そういうバカどものお陰で、リーマンショック後でも日本のメガバンク以下多くの金融機関は、大打撃を回避できたというわけだ。サンキューで〜す。不幸中の幸いというやつかもしれん。


アメリカさまには、本当の貧乏な姿に戻ってもらうことが必要だ。基軸通貨という特権的地位を剥奪することも、勿論必要なことだ。ドルという通貨が基軸通貨でなくなれば、もっと「市場」がより一層機能してくれることだろう。そうなれば、より正確なアメリカ経済の姿というものが、露わになってゆくだろう。インチキの種明かしが行われる、ということさ。マジックショーの時間はもう終わり、ということなんだよ。ネタバレでマジックをやるバカは引っ込めってことさ。