怒りのブログ別館

【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

STAP細胞は人間によく似ている

また素晴らしい研究成果が出たようで、本当によくぞやってくれた、と多くの国内研究者たちに希望と勇気を与えたものと思います。


それにしても、ストレス環境下で幹細胞に変わるというのが、まるで人間のようでとても面白い。

http://www.cdb.riken.jp/jp/04_news/articles/14/140130_stap.html




これに近いのが、人間の転職とかだな。
リーマンショック後に、投資銀行からスタンド店員やマクドナルド店員になったという話を思い出した。


http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/4a179a2882353c1a11bef530d1f50816


もしも、完全に自由な環境であれば、食うに困った人が仕方なく時給が安くてもいいから仕事をさせてくれ、と頼むかもしれない。リーマンショック後に、投資銀行で勤務してきた有能な人が、ガソリンスタンドの店員とかマクドナルドの店員として働いたりしただろう。あれは労働者の能力や先行投資額には無関係に、「背に腹は代えられない」ということだけで起こるわけだ。



銀行破綻、金融危機、といった強度の「ストレス環境」下になってしまうと、専門化した職業(投資銀行など)=分化した状態から他の「何にでもなれるよ」状態、すなわち未分化な状態に戻ったかのようだ、ということ。生き延びる為には、やむを得ないということなのかもしれない。


また、TPPの反対理由として挙げたのも、やはり同じような意味合いからだった。
何にでもすぐさま転職できる労働者なんて、現実には殆ど存在しないから、だな。


http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/1fa50fa46637f335a86e9999b4171e0a


細胞では、所属する臓器や組織の特徴を持つわけだが、元々は「幼若な」未分化細胞から始まる。人間の子供と一緒で、将来どんな職業の大人になるか、まだ決まってません、ということだ。これが未分化、ということだ。けれども、段々と周囲に馴染んで、分化が進むと特定の機能や特徴を持つ分化した細胞になるわけである。各臓器などの基本的機能や構造を支えるのは、こうした分化した細胞だ。

あたかも、人間の職業が、警察官、バスの運転手、農家、教師、みたいに「定まってゆく」ようなものなのである。社会を支えるのは、こうした職業人だ。細胞とよく似ているのである。

中には、一度特定の種類の細胞になっても、幼若化が起こって別な種類の細胞になったりするものもある。人体というのは、うまくできていて、困った時なんかに、そういうリカバリー機能が働くようにできているのである。だから、人間の転職みたいに、細胞も別なものに変化することもあったりする。こうした部分も、人間社会とよく似てるな、と感じるわけである。


経済学の想定している労働力というのは、言ってみれば「未分化細胞」という存在以外は認められていない。転職コストや移動コストというものが観念されていないので、誰でも何にでもなれて、同じように機能できる(働ける)、ということが前提とされているのだ。




けれども、瀕死状態に置かれてしまえば変われる、ということは、多くは死滅する(=適応できず失業などに陥る)が、苛酷なストレスに打ち克って「変化できる細胞」が存在する、と。そういう労働者は確かに強くて、他の業種にでもスイスイと転職できるのかもしれない。そのような労働者が全くいないわけではないだろうから。


現実社会では、そういう適応はかなり難しいものと考えるべきだろう。
しかも、体の中のごく一部の局所的な反応がそうなだけであり、全身全部が「STAP幹細胞」みたいなものになってしまった場合には、生体は維持できない。


経済を人間に喩えるのが根本的におかしい、ということは、あるかもしれない。

ただ、複雑な社会というものがまるで人体に似ており、人体の仕組みから何か分かることがあるのであれば、一考の価値があるのではないかと思えるのである。