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【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

高浜原発の再稼働を阻止する抗告で何を主張するか

昨日の続きです。


福井地裁決定において、福島原発事故の教訓を活かせ、その知見を事故防止策に反映すべし、とされている(引用部は適当に探して下さい)。そうであるなら、前提として、福島原発事故の原因について事業者がこれを熟知し理解しているべき必要がある。これを法廷で事業者に言わせる必要があるのだ。

福井地裁決定では、津波の対策について、踏み込んだ追及をしていないので、そこを攻めるべきと思う。規制委員会の策定した基準の妥当性を争うのは、専門知識の量という点において不利だと思うので、別の攻め手を考えてみた。



◎質問1:福島原発事故は何故起こったのか、簡潔に答えよ。
恐らく、地震動による破壊はなかった、津波被害とそれによる電源喪失と答えるだろう。

◎質問2:津波被害とは、具体的にどういうものか?
押し流される等の破壊、浸水、とか言うことだろう。

◎質問3:津波対策は、津波の最大の高さ以外にはないのか?
福島原発でも事前予想の津波高さはずっと低く見られていたが、それを上回った為に大災害へと繋がった。

◎質問4:仮に津波被害が発生したとしても、重大事故への進展を防止できる対策は何か?
多分、別系統の電源やM/C・P/C代替設備がある、とか言うだろう。


津波対策の不備の可能性を追及できるのは、以下の点である。

ア)津波の破壊力はどのくらいなのか?=事業者はこれに適確に答えられなければならない

福島原発事故では、海水が建屋内に大量に流入した、とされる。
どこが破壊され、どれくらいの流量があるのか、が問題となるのである。従って、その破壊が起こる理由と具体的な破壊力の数値を挙げて答えられなければならない。

破壊の可能性は、例えば、①水圧、②漂流物の衝突、などがある。


イ)建屋に海水浸入の可能性=どこが破壊されうるのか、侵入経路はどうなっているのか

建屋がどれほど頑丈に作られていても、開口部は全く存在しないわけでない。出入口に相当する部分は必ず存在するだろう。それらが前記ア)の破壊力に抗し切れる強度なのかどうか、破壊されたらどの程度の流量が発生するのか、答えられなければならない。


ウ)福島原発事故では、約90cm程度(腰の高さまで)が水没した(故にD/G、直流電源、M/C、P/Cが使用不能となった)と説明された。その流入量は具体的にどれくらいの量なのか?

毎分の流入量、実際に溜まった推定総量、を答える必要がある。これを防げるかこれに匹敵する流入量があったとしても、高浜原発は支障がないことの証明が必要。水密扉があれば、全く水の侵入がないのか、どの程度の水圧に耐えられるのか、通路が水没しても重要設備の部屋が水没を免れれば何ら問題ないのかどうか、誰が扉を閉めるのか、電気的に扉閉鎖が確認できるシステムになっているのかどうか、疑問点は多々ある。


エ)漂着物、砂や泥の流入でも支障なく稼働できるのか

配線・配管類はシールされているから水漏れはない、というようなことらしいが、完全水没しても電気設備の健全性が維持されるのかどうか。水没している場所に降りていって、別の予備設備を繋ぎ込むなどといった矛盾が存在してないのかどうか。弁の開閉操作も、水没地点に影響されないのかどうか。排気塔が津波漂流物の衝突等で破壊されたとしても、問題ないのかどうか。
ショベルカーやクレーン車等が保管してある場所は水没を免れるのかどうか、エンジン等が水に浸かっても問題なく運転ができる状態なのかどうか。
水素ガスタンク車や重油タンク車等は水に浮く可能性が高いと思うが、そういう漂流物が衝突したり水が引いた後に残存して障害物として封鎖していても、問題なく除去できるものなのかどうか。

水没に伴い、真水に浸かっても稼働できる設備であっても、泥や海藻等が付着したり目詰まり等したりしても、問題なく動かせるものなのかどうか。漏電等の発生はどのように防げるのか。本当に完全防水なのかどうか。
流木等が固く嵌ってしまって扉が開けられないとか通行できないといったような事態はないのかどうか。


直流電源や別系統の回路といった代替設備は、災害による水没から完全に独立の設計となっているのかどうか。
福島原発事故では、1号機のコントロール建屋の中央制御室の下に直流電源室があったにも関わらず、これが水没したので照明電源も計測用電源も落ちてしまい、真っ暗でパラメータも何も分からなくなった、ということになっているわけだ。
だとすると、関電の高浜原発大飯原発においても、同様の配置になっているなら、これが浸水しないという理由が必要だろう。高浜が浸水しないのに、何故福島原発では浸水したのか?
福島原発で水没するのに必要な浸水量は、関電はどう計算しているのか?計算根拠は何か?
東電の説明と整合性があるのかどうか?
この説明を、《事業者自身》にさせるんだ。


関電が説明するのに窮するなら、東電の事故原因の説明が嘘だということが明らかになってゆく。逆に、東電の事故原因の説明通りということであれば、関電の原発の設備類の配置について、問題として残り続けるだろう。



参考:

関電は、事故原因について、以下のように認識している、ということである。

http://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2011/pdf/1028_1j_03.pdf


6名だけでプラントを制御できると考えているのであれば、その人員で全部できるようになっていることだろう。
さて、本当に全部の作業をたったの6名でこなせるか?