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【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

高浜3・4号機仮処分取消の福井地裁決定は重大な欠陥がある

クリスマスイブだというのに、時間がないので、取り急ぎ。


ニュースなどでも、福井地裁が再稼働停止の仮処分をしていた高浜原発について、前の仮処分を取消す決定を出したと報じられていました。

調べてみると、判決文が公開されていたので、ざっと読んでみました。

https://dl.dropboxusercontent.com/u/63381864/%E8%84%B1%E5%8E%9F%E7%99%BA%E5%BC%81%E8%AD%B7%E5%9B%A3%E5%85%A8%E5%9B%BD%E9%80%A3%E7%B5%A1%E4%BC%9A/151224/20151224honbun.pdf


220ページを超える膨大な量ですが、要点を平たく言うなら、「示された基準に合格しているんだから、文句言うな、合格は合格だ」ということです。


しかし、福井地裁の林潤裁判長、山口裁判官、中村裁判官の判決には、重大な欠陥があります。
このような人たちが、本当に重大な安全上の問題を判断できるものなのか、大いに疑問があります。


根底から、安全思想と言いますか、事故防止の対策を考える上での常識の欠落があると思います。判決文の特徴的な部分が以下です。
判決文P.149です。


確かに、施設等の耐震安全性が確保され、求められる操作が実施可能であったとしても、危機時における人為的なミス等が生じ、求められる操作に失敗する可能性を否定することはできない。(中略)しかし、人為的なミス等の要因に対しては、最悪の事態を想定して訓練を繰り返すことで安全性を確保するほかないというべきであるが、施設等の耐震安全性自体が確保され、それを危機時に適切に操作するための教育・訓練が適時適切に実施されているのであれば、操作に失敗することを前提にして耐震設計に安全上の欠陥があると評価するのは相当とはいえない。そして、債務者は福島原発事故を踏まえ、最悪の事態を想定した教育・訓練を実施し、今後も適時適切に実施していく予定であることが認められるのであるから、今後上記のような失敗事例を踏まえ、訓練や定期的な検査を継続することが不可欠であることは当然であるが、危機時における人為的なミス等が生じる可能性があることを理由として、本件原発の耐震設計に安全上の欠陥があるということはできない。


そもそも福島原発事故は何故起こったか?
これを事業者にきちんと法廷内で説明させる必要があります。

他社の失敗だから、無関係だということにはなりません。「最新の知見の反映」を満たしていないからです。


少なくとも、「人為的ミスの発生があることを想定して、設計する」というのは、事故防止の基本です。
例えば、鉄道事故を防ぐには、人為的ミスがあるかもしれないから、「ATSを設置する」というのが、設計上の事故防止思想でしょう。旅客機であれば、「TCASを搭載し、これによる回避操作を優先する」というのが、ヒューマン・エラーがあったとしても重大事故を防止できる、という設計思想でしょう。


重大な損害をもたらすからこそ、危機時において「たとえ人為的ミスが発生したとしても、これを防止できる設計・施設・設備等がなければ運転できない」と考えるだけの理由がある、ということです。

福井地裁が言うのは、「事故はあったが、航空機の製造(強度・性能等)基準は満たしているのだから、別にTCASを搭載していない旅客機であろうとも、運航してもかまわないよ」と言うのと同じです。


しかも、今後、「パイロットの訓練する予定だから、運航しちゃってかまわないよ」ということで、パイロットの能力がそれで計れるものでもないのに、パイロットは大丈夫、と好き勝手に断定しているだけです。どこにそんな基準が分かるというのだ?


常識的に考えて、裁判官の言ってることは、普通じゃない。
防止措置が十分だ、と自分の基準で断定するのは、簡単だ。たとえ、それが人間工学だの事故防止対策の基本原則を踏襲していないものであろうとも、だ。


ヒューマンエラーが発生することを前提に設計できない、というのは、これがまさしく福島原発を崩壊に導いた最大要因だということが、まだ裁判官にすら理解されてないのだよ。

こんな連中に、司法審査を任せるという日本の裁判所というのは、どうなっているのだ?



個人的感想を許してもらえるなら、はっきり言って、判決で出した理由は、頭がおかしいとしか思えない。どうして、こんな低レベルなヤツラに委ねなければならないんだ!