怒りのブログ別館

【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

行き詰まるTPPに焦燥を募らせる米国

映画『バック・トゥー・ザ・フューチャー』の中で、典型的な「番長」の人物が登場する。主人公の敵役である「ビフ」だ。腕っ節が強く、ガタイもデカいし、態度もデカい。いつも子分数人とつるんでいる。まさしく「ジャイアン」的なキャラと相通じるのだ。

常々、米国というのはジャイアン的だ、と書いてきたわけだが、言い方を変えるなら、ビフそのものと言ってよい。番長はクラスで一番強くなければならないし、他人に自分の要求を押し付けて、それを飲ませることができなければならない、ということである。米国は、それを長年続けてきたわけだ。

だが、米国の権勢に翳りが見えている、というのが、世界共通の認識であろう。そのことに最も焦りを感じているのが、米国だ。このままでは、番長としての威厳が失われ、番長が番長ではなくなってしまうかもしれない、と感じているのである。

ビフの手下が誰もいなくて、子分の一人も引き連れていないとなると、格好がつかないのである。だからこそ、韓国に頼ることにしたというわけである。カナダや豪州は、仲良しグループを形成したりはするが、子分として取り扱うわけにはいかない、ということがあるのだ。

本当は、寂しいのである。不安なんだよ。ビフが、たった一人ぽっちのビフになることを、恐れているのだ。だからこそ、「TPPに入れ」と無理矢理要求してくるということになっているわけである。


オバマ大統領にとっては、今年の「APEC議長国としての立場」というものがある。ここで、何らの成果も示せないとなれば、米国の外交力・指導力が弱まっていることが、露わになってしまう。だからこそ、何かの”目玉”が欲しい、ということであったのだ。その目玉こそが、TPP、ということであったはずだ。

ところが、問題が生じた。
菅政権が棚上げを続けたこと、野田政権は誕生直後のよちよち歩きで心許ないこと、これらがAPECでの大々的な成果発表の障害となるであろうことが予測されたわけである。
オバマ大統領の再選に向けた実績作りという面においても、何らの成果もなければ、非常に苦しくなることは必至だ。そこで、韓国に圧力をかけて、FTAの発表を早く行うことにしたのである。

李大統領は、オバマ大統領の味方であり続けることで、韓国の地位向上を図ってきた。天安沈没事件でも、砲撃事件の時でも、常に米国サイドの協力を惜しまず、これを「韓国企業の商売」に有利に繋げてきたということがあったのである。

そして、今回は米国の申し出を受けるということの見返りとして、異例の国賓待遇で、米韓同盟は戦略的多元同盟関係、という、全世界にアピールできる場を得ることになったわけである。

オバマは、これを成果として見せつけることに成功したわけだ。これには、もっと別な狙いも含まれていた。それは、日本の嫉妬を募らせる、不安を煽り日本経済界を焚きつける材料とする、ということであった。簡単には煮え切りそうにもない野田総理の背中を強力にプッシュするのは、財界と、これと結んだ霞が関だ。両者とも、従米派の手下どもがゴロゴロいるので、工作は可能と踏んだのであろう。


ただ、一足先に、思わぬ落とし穴が生じた。

APECまでの妥結が困難かもしれない、という観測だ。

http://www.47news.jp/CN/201110/CN2011100801000167.html

(以下に引用)

TPP、APECまでの妥結断念 関税撤廃で意見対立

シンガポール共同】環太平洋連携協定(TPP)拡大交渉に参加する9カ国が、11月のハワイでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議までの交渉妥結を断念、12月にマレーシアで作業部会の継続会合を開く方向で調整していることが8日、分かった。複数の通商筋が明らかにした。

 米国など参加9カ国はAPECでの「大枠合意」を目指すとしていたが、草案や関税撤廃交渉で各国の意見対立が残っており、12月以降も協議継続が必要と判断した。APECでは「重要分野で共通見解に至ったとの発表にとどまる」(通商筋)公算が大きいという。
(2011/10/08 12:16 共同通信


さて、この記事の翌日である9日の読売新聞朝刊には、例の「参加の意向」という報道(TPP参加は断固阻止!)が流されたわけである。つまり、何としてもAPECで成果を出したい、という米国サイドの思惑が見えるわけである。
日本が参加と表明すれば、交渉にも「弾みがつく」ということも期待していたかもしれない。


開催まで1カ月となった中で、非常に焦っているのは、米国なのだよ。だからこそ、日本の従米派(「地頭クラス」と呼ぶことにしたよ)に、第4コーナー回った後の激しい「ムチ入れ」が入ったものと思われるのである。


こうした混乱に踊らされる民主党政権というのは、昔の自民党以下の政権党であることが明らかになった。かといって、今の自民党が日本の政治を救えるだけの力量は、残念ながら備わっていないのである。

結果的に、不当要求を飲まされ続ける日本、ということになるのだ。