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仙谷に農協を批判する資格はない

仙谷という人間の、その場しのぎのズルさが手に取るように分かる。

http://www.asahi.com/politics/jiji/JJT201111070081.html

TPP早期参加表明を=「農協は何をしていたか」と批判―仙谷氏

民主党仙谷由人政調会長代行は7日、都内で開かれた内外情勢調査会で講演し、環太平洋連携協定(TPP)交渉参加問題について「ルールづくり(への参加)により、日本の得意技を発揮するチャンスとなるのがTPPだ。野田佳彦首相にも早い機会に交渉参加すべきだと言いたい」と述べ、早期の参加表明が必要との考えを強調した。

 全国農業協同組合中央会(JA全中)などが参加反対を唱えていることに関しては、「農協は農業再生や振興のため何をしたのか。金融部門だけ肥大化し、農業の振興策を何かやったのか」と批判。「後継者育成(対策など)をどうするか示さない限り、TPPに入ろうが入るまいが、農業が落ち込んでいくことは間違いない」と指摘した。

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ぼくは、こういう人間を信用しない。
己の立場や都合で、簡単に言い分をころころと変えるような人間を信じたりはしない。もし変えるなら、どうして変えるか、ということを言うべきだろうな。

農協が悪いせいで、日本の農業をダメにしていったわけではないだろう。農協も、農家の人たちも、その時その時の法律や農業政策とかに基づいて活動をするよりなかったわけで、国の方向転換のたびに翻弄されてきた、ということだってあるかもしれない。

制度が硬直的というようなことはあるだろうが、農協の人が極悪人で何か悪事を働いたというわけでもないだろう。
農業就業者の高齢化を招いたのは、農協のせいじゃない。収入が減るという流れには、勝てなかったというだけだ。もし、沢山稼げて魅力的な仕事なら、新規参集者は相次ぐに決まっているからだ。現実は、そうじゃない。

輸入品に押されて価格競争で勝てなくなるか、というと、昔と今のコストの構造が異なるからである。農家の人が努力を怠ったせいで、例えば「海外からの運送コスト」が劇的に低下したというわけじゃない。農家の人には、無関係なのだよ。

飛行機運賃が相対的に下がったのと同じく、世界中の物流コストが下がった、ということだろうね。昔は、輸送コストが高かったので、海外から持ってくるよりも、日本国内で買った方が安い、ということだった。けれど、段々と輸入した方が安い、という品目は増加していった、ということだろう。

東北の農家の人が、例えばブラジルやオーストラリアの農家と、価格競争をやっている、なんてことを、日々考えて農業経営を行えると思うか?
仙谷が本当に、そうした海外農家との価格競争を念頭に何年もやってきた、というのであれば、まあ、批判することがあるかもしれない。しかし、そんなことを知っていたか?
ブラジルの鶏肉や牛肉の価格とか、仙谷は正確に知っていたか?
ニュージーランドの羊肉やバターの価格を本当に知っていたか?

そういうのは、大体がウソなんだよ。
元々は「別々の市場」で存在していたのだから、日本の農家にとって競合相手だとは「考えもしなかった」ということなんだよ。ところが、世界経済の連結度が高まったことで、過去には競合相手として想定していなかったような人々が、急に同一市場での競合となった、ということだ。

じゃあ、仙谷の議員報酬は、海外の議員と本当に競争しているのか?
途上国のどこでもいいが、激安な給料の国会議員たちなんて、ザラだろうに。そういうのと、明日から競合せよ、と言われたら、それを受け入れられる、ということなんだぞ。年間10万円でもいいよね、海外では、そういう国もある、と言われて、それを受け入れられるのか?

本人の努力とかには、無関係なんだよ、そんなもんは。
農業の人たちの怠惰のせいで、価格競争が苦しくなるわけじゃない、ってことだ。それは、これまでの歴史、参照賃金(価格)などによる、ということだ。


仙谷の最も卑怯な所は、民主党が過去の選挙の際に、どういう主張を行ってきたのか、ということを忘れたふりか無視でもしていることである。
選挙で票集めする時だけは、農家に、民主党に入れろ、とやってきたわけだろう?戸別補償という形で、07年参院選で大勝したわけだろう?
政権交代すれば、農業を大事するから、と言って、09年の衆院選でも票集めをやったのだろう?

こういうのを、ペテンと呼ぶんだろ。

仙谷さんよ、これまで農業が無知無能な政治家たちに振り回されてきた側面があったが故の、これまでの農業政策や制度なのだろ。農業の発展よりも、政治家たちのこうした票集めの弊害を蒙ってきたのが、農家や農協だったんじゃないのか。
自分自身、農業政策の詳しいことは分からない。全くの畑違いで、知識はない。仙谷にしても、どうせ何も知らないんだろうと思う。そういう人間が、選挙の恩恵を受けて地位を築き、今になって「農協が悪い」なんてことを、よくも言えたもんだな、と思う。だったら、まず政権交代する前から、07年の選挙の時から、いや、それ以前から、農家が悪い、農協が悪いと言ってから選挙を戦え。
全く、なんて卑怯者なんだ。

農協の金融部門がどうのと批判するが、米国だって、似たようなものなんじゃないのか?
農業信用庁とFCSICという保険公社があるぞ。組合系の銀行が5つもある。ACBの1つとFCBの4つだ。何でもかんでも、日本の制度が悪いというわけでもあるまいに。仙谷が知らないだけ、ということなんじゃないのか。

昔、農協しか金融機関のない街とか、あったでしょうが。郵便局か農協しかなかった、それが過去の歴史なんじゃないのか?
大都会の人間たちは、そりゃあ、小奇麗な都市銀行だの地銀だの、色々とあったのかもしれないが、そんなもんは都会基準なんだろうが。農協にお金を預けるくらいしか、金融機関なんてなかった、という人たちは、大勢いたんじゃないのか?

今みたいに、電話も普及してなけりゃ、ネットがあったわけでもねえ、不便な場所で金融機能を持っていたのが、農協しかなかったんだろうよ。現代でどれほど必要か、と言われりゃ、何とも言えんわな。だが、金融知識も、保険に関しても、様々な面で農家の人たちを助ける役割があったんじゃないのか。
別に、農協の金融部門があるせいで、農家の人々が貧乏になるわけじゃないし、日本の税金を無駄遣いしているわけでもねえ。農家の人々が、地道に貯めてきた、真面目なお金を長年預かってきたからこそ、増えたということなんだろうよ。退職金もねえ、厚生年金も企業年金もねえ、そういう人々の、生活を支える資金は農協のような組織がなければ、貯めてこれなかったんじゃないのかよ。


本物の悪党は、政治の中にいるし、霞が関官僚どもの中にいる。
本当の無駄を生み出し、税金を貪る奴らは、お前らの中にこそ、いるんだろ。


仙谷よ、お前や前原のような人間を、オレは断じて許すことはできない。狡猾なペテンを認めることなどできないんだよ。

選挙では、農協と農家が悪い、って言えよ、必ずな。


それと、農業問題については、仙谷曰く、「TPPに入ろうが入るまいが関係ない」ということなので、「農業を強くする」とか「農業問題を解決する為」といった方便はやめるように(笑)。

前から言ってるように、TPPには、農業問題を解決することはできない、ということである。

「TPPで農業が良くなる」なんて話は、真っ赤なウソだった、ということだ。仙谷はそういうことを言う連中に、ガツンと言ってくれることだろう。