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【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

TPPの真の狙い

経済学理論バカへの挑戦状のシリーズでは、労働者の移動コストが問題になる、このコストが大きいが故に、経済学理論通りには「必ずしもうまくいかない」ということを述べてきた。

労働力の移動コストの大きさに比べて、圧倒的に移動コストの小さなものがある。
それが、グローバル企業の存在だ。
端的な例で言えば、ビジネスジェットで世界中を飛び回る経営幹部などは、移動コストが小さいと言えるだろう。別に、日本で働かねばならない理由などない。アメリカだろうと、欧州だろうと、中国だろうと、どこででも働けるだろう、きっと。
いや、そういう経営幹部になったことがないから、苦労は判らないし、ヘッドハンティングでキャリアアップ(笑)に伴い払うべきコストが大きいのかもしれないが、一般労働者に比べれば小さいだろう、多分。


恐らく、労働力の移動コストに比して資本の移動コストが、圧倒的に小さいのではないか。つまり、投資ということだな。

昔に比べて、コストは小さくなったと思うよ。
小さくても何でも海外事務所をまず作って、現地に足がかりを築き、そこから会社組織や工場建設計画なんかを作って、ようやく工場建設工事ができて、それが終わって現地生産体制をつくり、…みたいな、数年がかりの準備みたいなことが必要だった。

今は、それが圧倒的に短縮されたのではないかと思う。
グローバル企業の強みは、効率的な資本移動の最適化を図れるようになっていることだと思う。それが、利益を生み出す源泉だからだ。


最たるものが、株式等に代表される、投資マネーである。
モンスターマネーが世界中を駆け巡るようになった。市場の歪みの存在する場所を的確に探し出し、獲物を見つけては巨額資金が暴威を振るうことになった。東電やオリンパスの株式などがいい例だ。

資本移動は、昔に比べて圧倒的に早い。すなわち、移動コストが大幅に引き下げられた、と考えられるだろう、ということだ。
巨大なグローバル企業にとっても、資本移動は容易なのである。労働者は、移動が困難だからこそ、企業が「余剰な労働力」のある場所を求めて移動してゆく、ということなのだ。


そして、更なる短縮は、企業買収である。
地元にある会社ごと買えばいい。資本移動さえできれば、労働者の移動コストなんか関係ないのだ。


経団連のお偉方なんかは、「いやいや、アメリカさんは日本の企業と協力して、一緒に儲けましょうと誘ってくれてるんだ」みたいな、甘いお花畑的発想なのかもしれないが、オレなら、全く違う感触を持つだろう。

TPPが現実に実施された場合、日本企業の買収は加速することになるだろう。一時、企業買収に怯えた上場企業は買収防衛策を色々と作ったりしただろう?企業の株式持ち合いも「おかしい」と、散々批判されたであろう?
もう忘れたか?(笑)


資本移動が更に容易になった世界(TPPが現実に行われた世界だ)では、買収が最も近道なのである。規制緩和の意味は、そういう部分にこそ威力を発揮するのだ。

日本の大手企業といえども、世界の時価総額ランキングなんかでは、米国企業の足元にも及ばないだろう。投資ルールの透明化、とは、そういう意味なのだぞ?外資規制も消えるのだぞ?マスコミだって、買収対象からは逃れられない。当然新規参入もあるわけだが。


従って、日本企業が巨大企業の傘下に収められてゆくというのは、避け難い。時価総額と資本の動員力からして、日本企業で対抗できるところは少ないだろう。
企業の個別の買収防衛策があったとしても、無効化される可能性が高い。ブルドックじゃないが、防衛策の発動条件が透明ではない、と判断されれば、決定をひっくり返されるか、発動を無効化されるか、買収失敗に伴う費用の賠償をさせられるか、いずれにせよ、被害を蒙るわけである。


日本人の無能経営陣や取締役は、排除されることになるだろう(笑)。利益追求のできる、株主への貢献度の高い人間だけが、経営陣に残れるのだ。今の経団連に参加している人間の何割が生き残れるか、見ものだな。

いいか、巨大なグローバル企業は本気で攻めてくるんだぞ。
かつて、日本の市場を開放せよ、と求められて、金融・保険の緩和というのが行われたよな?あれを忘れたか?

シティやAIGが買収戦略を進めたのは、単なる偶然でも何でもないんだぞ。あれこそが、真の姿だ。「大きいことはいいこと」なんだよ。

今みたいな日本企業の株価が低迷している状況であれば、狙った企業を買ってゆくことは、そう難しいわけじゃない。資金の出し手は、後ろに付いてる旧投資銀行ヘッジファンドなど、いくらでもグリード仲間が餌に群がってくるんだぞ。


日本郵政のゆうちょ銀行やかんぽ生命が問題、と言われているが、それだけではないのだ。
政府系の企業も独立行政法人等も、競争阻害か投資対象からの除外が不当とされる可能性があるだろう。

Jパワー問題というのが以前あったが、ああいうのも、投資(買収)を阻害するのはおかしい、ということになるだろうね。
政策投資銀行とか、JBICなんかも逃れることはできなくなるだろう。空港運営もそう、URみたいな独法もそう、特殊な立場というのは存在が許されなくなってゆくだろう。

投資ルールを確立し透明化する、というのは、外資が買収したい・投資したいと思ったら、それが阻害されること全てが「おかしい」ということにできるというルール改正なんだ、ということだ。

お人よしの、ネジの数本足りないような連中にとっては、そういうことまで頭が回らないんだろうが、後になって吠え面かくのは目に見えているのだよ。

経団連の連中には、そういうことが全く判ってないんだ。
目先のことだけしか考えが及ばないのだ。
農業団体の連中が反対してるだけなんだ、とか、貿易をしないと生きていけない、だからTPP、みたいな短絡思考だけなんだよ。


いいか、原賠法とかの3条但書に関連して、全銀協の偉い人が色々と言ってたりしたことがあったろう?
ああいう甘さは、一切通用しなくなる、ってことは判るな?

法律もよく確認してない、条文解釈でも「大甘」といった、日本の経営陣なんか、太刀打ちできないだろうよ。
法の支配というのは、そういうことなんだぞ。

あなた方が考えもしないような、法の闘争が仕掛けられる、落とし穴か見落としだろうとうっかりミスだろうと負けは負けなんだぞ。

そういう覚悟が本当にできているか?


買収防衛策の発動は、本当に認められると言える根拠とは何だ?
そういうことを考えたことはあるのか?
その上で、経団連の「TPP推進」に同意してるのか?


バ●ってのは、本当にどうしようもないわ。
ヘタを打ってからじゃないと、危険性とか気付けないんだな。

まあ、だからこそ、バ●なんだろうけどさ。

しかも、失敗を繰り返しているのに、なお、次の失敗さえ判らないんだよ。