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【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

締め出された米国―TPPは唯一の逃避先

知らなかった。見落としていたよ。
http://www.47news.jp/CN/201112/CN2011120401001054.html

これに関連して、思う所を書いてみたい。


南北アメリカ大陸における米国抜き体制の萌芽

世界金融危機―象徴的なのがリーマン・ショックだ―以降の世界は、大きく変わった。以前にも述べたが、アメリカの経済支配力が急速に衰えたからだ。ウォール街のモンスター達は、巨大な棍棒を失った。

それに伴い、これまで米国には逆らうことのできなかった弱小の国々が叛旗を翻すことになった。アメリカをはじめとする先進国の「悪逆非道」によって世界経済の破壊を招いたと、彼らは認識したのだ。彼らにとって必要なことは、覚醒すること、そして、自立することであった。

08年12月、OAS参加国のうちサミット参加国である米加以外の33カ国が集まって、サルバドル宣言を出すこととなった。アメリカとの決別宣言でもあった。

2010年2月、再び33カ国が会合し、米加を排除した新機構の設立が確認された。ここに、アメリカ大陸からの米国排除はほぼ確定的となったのである。まさしく「孤立するアメリカ」が現出したのだ。

そして、2011年7月ベネズエラにおいて、チャベス大統領の下、新組織について基本文書の合意が得られたのである。
ラ米・カリブ首脳会議 - Wikipedia


②孤立するアメリ

アメリカ大陸での居場所を失いつつあったアメリカは、自分たちの存在意義を求める必要があった。オバマ政権が元々乗り気ではなかったTPPを推進しようとし出したのには、ワケがあったということだ。

ワシントンは、日本やアジア地域に「興味もない、関心もない」という姿勢であったはずなのだ。それは、08年頃にしきりと言われていた、ジャパン・パッシングだの、ナッシングだのといった泣き事でも分かる通りだ。オバマ政権になっても、ブッシュ政権下で進められた自由貿易協定関連の政策は、民主党基盤のオバマ政権では重要事項ではあり得なかったはずだ。

ところが、嫌われ者ビフたる、米国の孤立化が深まることになっていったのである。韓国は2国間のFTAを推進し、日本もそれに対抗して貿易協定を進めていった。中国のアジア関与を危惧するのと同時に、アメリカの居場所探しが始まった、ということだ。

番長米国が、アメリカ大陸から締め出された、ということが世界中にバレてしまうと、どうなるだろうか?
CELACが発足する前に、米国が「新たに創り上げた枠組み」を先に世界中に披露しなければならない。そうでなければ、大恥をかいてしまう。

アメリカ大陸にも居場所がない、欧州は既にEUの枠組みで固まっており、米国関与の余地は冷戦時代と比べ物にはならないほど弱まった、おまけにアジアでは中国の台頭に脅威を感じつつも、米国の影響力が薄まっている、ということなのだ。中東情勢は様変わりし、サウジでさえも米国との距離を取り始めており、イスラム圏の米国離れは今後も進むであろう。
イスラエルは米国の言うことを聞かなくなっており、勝手な独自路線を突き進もうとしている。米国の中東での立場を助けてくれるかというと、イザコザや問題を起こして邪魔をすることはあっても、何の手助けもしてくれない。

こうして孤立化するアメリカが、唯一居場所を見いだせるのがアジアだった。その橋頭保としたのが、韓国の存在であった(笑、日本ではないよ)。だからこそ、まず「時計の止まっていた」米韓FTAをまとめ上げ、APEC開催前の華々しい「米韓会見」に漕ぎ着けた。次は、TPPのアピールだった。


③TPPは「孤独なビフ」がすがった救命ロープ

当初にTPPを推進しようとしたのは、対中国への牽制というものであったろう。以前にも触れたが、「ASEAN+3」の枠組みを封じる作戦の一つであったものと思われるのだ。けれど、ブッシュ政権からオバマ政権へ変わって、それほど積極的に取り組む動機がなかったものが、孤独化を怖れたアメリカは「アジアだ、アジアだ」と言い出したわけである。
「寂しいビフ」>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/ae04b83804d657f5c0d4a3906383c973

対日政策で影響力を行使してきた連中にとっては、「日本通」というのがワシントンではマイナーとなっていたので、存在価値をアピールせねばならなかった。その一つがTPPという政策の売り込みであったかもしれない。
日本を引き込みさえすれば、「儲け話になる」ということで、これまでロビーを続けてきたけれども、オバマ政権では熱意をもって取り組むことでもなく過ぎてきたのであろう。
ところが、「アジアだ」と言い出して、アメリカ大陸以外の居場所を対外的に示さねばならないアメリカにとって、「TPPは使える」ということになり、急浮上してきた政策であろうと思われるのだ。

まさに、”嫌われ者の寂しい番長”にとって、救命ロープとなった。

これまで熱心でもなかったワシントン筋にTPPが急にクローズアップされて、対日政策部隊は狂喜乱舞。
2010年以降の突然の熱心な「TPP話」というのは、忘れ去られてきた「極東担当者たち」(政策通、ロビイスト、ビジネス関係等々)の復権でもあった。

TPPに参加しなければ、日本は世界の孤児になる、という名言を吐いた米倉経団連会長は、大きな勘違いをしていたのであろう。
本当は、TPPに参加しなければ世界の孤児になるというのは、アメリカだった。ガイトナー財務長官が欧州に出向いて「May I help you?」と言葉をかけたのに、返ってきた答えはにべもないもので、「世界経済を破滅に導いたアメリカには口出しして欲しくない」と断られてしまったのが良い例だ。欧州に、アメリカの居場所なんてない。

アメリカ大陸ではCELACで露骨な「アメリカ外し」が、反米世界代表選手たるチャベス大統領主導の下で行われた。
アメリカが「緊密な同盟国」と呼んだ数少ない仲間は、オーストラリアと韓国くらいになってしまった、ということだ。だからこそ、TPPというのを、殊更強調せざるを得なかった。その先兵たる「対日政策部隊」にとっては、失敗の許されない「ビッグイヴェント」ということになったわけである。彼らが日本のあらゆる従米派を動員して、TPP協議参加を言ってたのは、そういう背景からだった、ということである。

日本?
何言ってるの。日本は、韓国とは違う。
我々は、もう終わった、と言ったではないですか。

アメリカは日本に「関心ない、興味もない」って、新聞でも、その他媒体でも、みんな言ってたでしょう?(笑)
ジャパン・ナッシングで結構、毛だらけ猫灰だらけでいいんですよ。
こっちから願い下げだ、って言ってるの。


④愚痴とか

日本のバカな従米派たちは、アメリカがわざわざ「豪州北部ダーウィン海兵隊を移動しますよ」と言ってくれてるのに、県内移設に固執し続け、過去の失敗を認めようとしないのである。

普通に考えたら、ああ、きっとグアム、ハワイ、ダーウィンで再編することが可能というシグナルなんだな、と理解できるわけだから、普天間は県外移設で日本がその実現に向けて最大限の努力をしますよ、と約束しさえすれば、大きく前進できる話であるのに、これを阻止しようとするのが「官僚主義的」愚者連合である。

愚者連合というのは、日本の外交安全保障専門家というようなハッタリみたいな肩書きの連中とか、マスコミにいる連中とか、過去の政策を推進してきた官僚たちとか、愚かな政治家たちとか、そういう愚者の集まりである。

彼らは、県内移設案に固執して、それ以外を決して認めようとしないだけなのだ。真の意味で日米関係を阻むのは、こうした自己利益最優先の「地頭クラス」である。従米派というのは、自分の利益になるからそうしているだけであり、日米関係の未来にとって大事なことを考えるわけではない。「アメリカ」という権威を利用しているに過ぎない。