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【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

北朝鮮ミサイル騒動に見る宣伝戦

アメリカには敵が必要である。敵がいることが、アメリカの存在価値を高めることになるからである。その宣伝活動は日々行われているであろうことが推測される。

イランの核開発問題では、思ったような成果を挙げることができなかった。世界を敵に回す極悪人であると強く印象付けることができなかった、ということだ。
鳩山元総理の訪問は「いらん」とダジャレ外交となって(笑)、多くの人々から嘲笑の対象とされたであろう。余計なことをしやがってと思う方々は多かったであろうし、事後的に「そんなことは言ってない」というようなドタバタ劇が展開されたのも彼らしいものだった。唯一の成果は、イラン側の「IAEA二重基準だ、イランだけに厳しい」といった発表が世界中に流れ、日本国内でもニュースとして流されたことであろう。意図せざる鳩山元総理の活躍は、ある意味凄い。

拙ブログにおいて、それに類する記事を書いた(http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/d1910c7bfd12726e0272bb15c3a90cbd)ので、イランにだけ厳しい対応をしている、というのは同意でき得るものだ。現在の原油高騰を招いているのも、イラン制裁で日本への輸入量が細っている為であろう。余計な経済制裁を行った結果、日韓欧の原油需給が逼迫して価格上昇を招いていると考えるのは普通だから。アメリカにとって不都合な報道というのは、回避されやすいということであろうか。


話を戻そう。
北朝鮮の「衛星打ち上げ」通告は、3月に行われた。当初、日本国内ではミサイル発射というような捉え方で報じられていたように思う。それ故、田中防衛大臣が迎撃するかもよ、と表明し、「危ない北朝鮮」というような印象づけが行われた。
米韓は、発射するな、と北朝鮮に求め、迎撃を含めて断固対処する、というような雰囲気が醸成された。日本がこれに同調するというのは、いつものお約束だ。
で、PAC3が展開するよ、ということが決まって、北朝鮮のミサイル発射は非常に危険だ、というような宣伝戦略がとられたものと思われる。

こうした米国主導の情報戦に対抗して、北朝鮮は独自の宣伝工作を開始した。
それは、先手を打って、発射施設等の公開に踏み切ったことであった。発射されるロケット本体も完全に公開されたのだ。これには、アメリカが驚いたのだ。北朝鮮の”ミサイル”と散々強調してきたものを、衛星ロケットの打ち上げだよ、と北朝鮮に手の内を晒されたので、宣伝工作であったということがバレてしまったということである。アメリカは、まさか北朝鮮が自らロケット本体を海外メディアに見せるなどということを実行できるとは思ってもみなかった。だから、北朝鮮を脅威の対象として都合よく利用してきたわけである。

けれども、北朝鮮がそうした宣伝工作に対抗して、できるだけ国際非難を免れるよう「公開」し、アメリカ主導の情報コントロールから主導権を奪ったのだ。公開以後、北朝鮮の説明などの方が主たる報道となり、アメリカが流して来る情報などに基づく報道というのが効力を失った、ということである。残ったのは、自衛隊の迎撃体制とか米韓の軍事的対応策に関する僅かな情報などで、「北朝鮮の危険性」を殊更強調できるものはほぼなくなってしまった。


北朝鮮の本心というのは、実際よく分からない。
衛星打ち上げというのが囮であるとして、ロケットの発射実験と行ったところで弾道ミサイルを強化できるのかというと、そうでもないかもしれない。仮に銀河3号をベースにして弾道弾を開発するとしても、大型設備を目立つように組み立てたりする程度のものであると真の脅威にはなり難い、ということがある。そうであれば、ロシア製の弾道弾なんかを買った方が手っ取り早いようにも思える。


09年の発射時のドタバタが思い起こされるが、事後処理においても色々とあるかもしれない。

参考:

http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/b84bebe2ebe7a5a485e200e1684e457a
http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/95b93f0bbb0a3dab5e310d5de32570ad