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これぞホントの”核家族”

日本の原発を維持させることに必死の勢力が、野田政権の閣議決定を阻止した。敵は非常に強力だ、ということを物語っている。
原発維持を求める連中は、国内外に大勢存在している。日本では、電力会社を筆頭に、讀賣新聞などの大マスコミ、シーラカンス級経済人、原発メーカー、等々だろう。問題は、それだけではない。もっと複雑な事情というものが存在するであろう、ということだ。



①何故「天然ガス」は10倍もの高価格だったのか


電気料金値上げ問題に絡んで、東電の買っているLNG価格があまりにも高額であったことが明らかとなり、厳しい批判を浴びた。どうしてこのようなことが起こってしまうかといえば、一言で言えば競争がないから、ということに尽きるだろう。高い価格の燃料費は、家庭に転嫁されるだけで、一種の税金みたいなものと同じということになる。大企業は、負担しないのだ。


構図はこうだ。
まずLNG輸入に関する商社や、エネルギー開発部門への「利益供与」ということと同じ意味になる。東電が高値で買ってくれる=特定大企業への利益提供、ということ。代金を払うのは、大企業ではない。一般庶民や小規模施設しか持たない零細工場だ。


それに、エネルギー効率などの点から見て、LNGに分があるとなれば、石油からLNGへのシフトが起こることになるだろう。これは、石油業界や石油メジャーや産油国などにとってはゆゆしき事態となる。
産油国は、例えばサウジやクウェートなどGCC諸国に代表される中東勢であり、親米的関係の国々が多い。そこからの石油輸入が減少すると、これらの国々の外貨獲得が減る上に、油田利権の多くを持つ石油メジャーなどにも打撃となる。だから、天然ガスの輸入価格が安いと彼らの不満が募るから、許さないということになる。LNG価格が下がって得をするのは、一般庶民だとすると、そんなことは許さないというのが彼らの本音だ。


また、天然ガスの輸入相手国はロシアやイランやパキスタンなどになってしまう可能性があり、親米国家ではない国々に日本の金を持っていかれることが腹だたしい、というのもあるし、彼らに金を渡すと反米的な態度(軍備増強など含め)が助長されて危険だ、ということもあるだろう。


だから、天然ガスの輸入価格がが安くなったら困る既得権益層は多い、ということだ。原発の発電単価の競争力も失われるかもしれないから。


原発で発電した「安い電気」は大企業さまへの供給源となる。割引価格となるのは、税金が多額の投入されているから、だ。同時に、処理費用を将来に先送りすることで価格抑制としている、ということである。不良債権の処理をせずに先送りしているのと、似ているのだ。ゴミ屋敷とも近いかもしれない。


ゴミ処理費用が、10kg当たり千円かかるとしよう。あなたの家にゴミが溜まっているが、今ゴミを片付けて処理費用を算出してしまうとべらぼうに金額がかかってしまう。すると、どうなるか。ゴミを抱えたままにしておこう、ということになる。ゴミが家中に満杯になりそうになる度に、処理費用を明確にしないまま建物を建て増し(=原発新設)して、そこにゴミを溜め込むわけである。増築費用は税金が投入され、見掛け上費用が抑えられているのだ。このゴミ屋敷はゴミ処理の先送りを繰り返すことで、本当の費用というのを隠し続けてきたということ。


正確な費用を隠しておくと原発での発電は安い、だから大企業はその安い電気を使わせろ、ということになる。その電力料金が適用されるのは、1%にも満たない特定の大企業、ということだ。使ってる電力量ははるかに多いが。


こうして原発依存関係というのが出来上がるわけだ。



②核ビジネスの利権


原発メーカーというのは、一番判り易い。WH系やGE系は、日本企業という形をとっているけれども、実質外資系と変わらない。アメリカさまの下請け、という事情があるからだ。アメリカの意向を無視できるはずがない。


他にも、燃料棒の製造工程とか運搬、輸入のシステムなんかがあるはずで、そういう「核ビジネスのファミリー」が形成されているであろう、と思う。これこそが「核家族」と言ってもいい共依存体となっているのだ。ただ単に電力会社の決算がどうという問題だけでは済まない、ということになるわけである。


ウラン鉱山の開発会社なんかにしても、日本の燃料使用が止まれば大打撃を受けることになる。そもそも核兵器削減でかなりの打撃を受けたはずであり、アメリカとロシアが核兵器を減らすと、困る連中が大勢いたということだ。加えて、核兵器の廃棄処理には費用が多額にかかるはずで、核弾頭の持って行き場ということになれば、原発の燃料に転用するといったことになってしまうわけで、核兵器を減らせば減らすほど、その処理をどうにかせざるを得なくなる。ウラン市場の供給過剰要因となり、日本が原発から撤退して燃料を買うのを止めれば、大勢困ると。


核ビジネスの利権構造というのは、かなり広範に及んでいると想像され、それは核兵器とその削減といった軍事面とも繋がっているはずだろう、ということだ。



③エネルギー自給率の高まりは日本の自立を促す


アメリカや従米派たちが何としても阻止したいのは、これだ。日本が自立的な振る舞いをしようとすることは、許せないのである。だから、日本が独自のエネルギー戦略なんぞを持とうとすれば、それを阻止しようとするに決まっているのである。


具体的なよい例が、イランのアザデガン油田だったろう。日本がイランなんかの反米国家からエネルギー供給を受けると、アメリカの支配力・影響力が薄れるので、それを邪魔することはアメリカの利益となるのだ。同時に、アメリカの特定大企業なんかにも利益となるわけである。


原発は、ある意味、覚醒剤中毒者と似ている。止めるに止められない。覚醒剤(核)で縛り続けることが、バイニン(アメリカ、多国籍企業、エネルギー関連企業など)にとって好都合ということになる。だから、「止めたい」と言う人間を「はい、そうですか」などとは手放さない。覚醒剤で縛り続け、支配し続けるのである。


万が一、日本がクスリ(原発)を絶って、依存から抜け出してしまえば、エネルギー革命とも呼ぶべきインパクトがあるかもしれない。それを怖れているのだろう。上で見てきた利権者たちは、みんな影響を受けることになる。既得権益が失われる、ということだ。
だからこそ、猛反発ということになっているわけである。


政治家だけの問題でもない。
電力会社だけでもないのだ。
とてつもなく大きな利権構造を突破する、ということを意味するのである。銀行だって、電力会社や商社はお得意様だから、右へ倣えとしか言うはずがない。東芝などの大企業が反対と言えば、その関連会社や下請け企業群などは、みんな反対と言う他ない。石油業界だって、これまでの構造が破壊されるのを守らんが為に、「LNGシフト」を阻止しようと躍起になる。精油関連なんかも、同じく影響される。


原子力ムラやマスコミだけではなく、『核家族』とも呼ぶべき巨大構造を守ろうと立ちはだかっている、ということである。


アメリカさまが、「反対」と言うにはそれなりの意味がある、ということである。


http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012092290070744.html


(以下に一部引用)


政府は「革新的エネルギー・環境(エネ環)戦略」の決定が大詰めを迎えた九月初め以降、在米日本大使館や、訪米した大串博志内閣府政務官長島昭久首相補佐官らが戦略の内容説明を米側に繰り返した。

 十四日の会談で、米高官の国家安全保障会議(NSC)のフロマン補佐官はエネ環戦略を閣議決定することを「懸念する」と表明。この時点では、大串氏は「エネ戦略は閣議決定したい」と説明したという。

 さらに米側は「二〇三〇年代」という期限を設けた目標も問題視した。米民主党政権に強い影響力があるシンクタンク、新米国安全保障センター(CNAS)のクローニン上級顧問は十三日、「具体的な行程もなく、目標時期を示す政策は危うい」と指摘した。これに対して、長島氏は「目標の時期なしで原発を再稼働した場合、国民は政府が原発推進に突き進むと受け止めてしまう」との趣旨で、ゼロ目標を入れた内閣の立場を伝えていた。また交渉で米側は、核技術の衰退による安全保障上の懸念なども表明したという。


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アメリカは、日本が自立への道を歩もうとすれば、それを邪魔する、これが脱原発阻止の本当の目的である。そして、脱原発達成は、同時に従米派たちの敗北を意味する、ということだ。
原発ゼロに徹底抗戦している連中は誰なのか、ということをよく観察してみるとよい。構造がよく理解できるはずだ。


敵は、家族総出(笑)で大反対をしているのだから。