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辺野古の基地建設阻止〜その2.条例制定で対抗する

一番大事なのが、これです。
これまでは、国の方針に従わざるを得ない状況がずっと続いてきました。今度は、沖縄に決定権限を作り出す、ということです。

その為に必要なのが、立法措置すなわち条例の制定ということになります。もし仮に、この条例について国が「違憲立法だから取り消せ」と挑んできたとしても、その手続には長い年月を必要とすることでしょう。過去の沖縄の人々の苦しみを、立場を変えて国に思い知らせるのです。


具体的に、どういう考え方なのかを説明していきます。


1)総論

基本となる法令は、次のものです。
 環境基本法
 自然環境保全
 景観法
 海洋基本法
 生物多様性基本法
 騒音規制法
 振動規制法
など。


制定する条例の主旨は、
「自然環境、海洋資源生物多様性保全・保護等を目的として関係法令の理念、主旨及びそれらに規定される地方公共団体の責務に鑑み、効果的に施策を実施するべく本条例を制定する」

というようなものです。

関係法令においては、例えば以下のように規定されています。


○自然環境保全法 第二条  
国、地方公共団体、事業者及び国民は、環境基本法 (平成五年法律第九十一号)第三条 から第五条 までに定める環境の保全についての基本理念にのつとり、自然環境の適正な保全が図られるように、それぞれの立場において努めなければならない。


海洋基本法 第九条  
地方公共団体は、基本理念にのっとり、海洋に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。


生物多様性基本法 第五条  
地方公共団体は、基本原則にのっとり、生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関し、国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。



条例の制定権が憲法、関係各法令から逸脱している、というような批判は封じることが可能と考えます。


条例案をとりあえず
沖縄県環境及び景観の保護に関する条例』とします。
沖縄県の所に入るのは、市町村議会が制定すれば市町村名でも可能です。以下においては、『保護条例』と簡略化して呼ぶことにします。


参考になるのは、例えば京都市の条例群でしょう。

http://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/page/0000056865.html

京都市自然風景保全条例、京都市眺望景観創生条例などがあります。



2)保護条例の組み立て

一般的にある環境保護法制と似たものを考えます。

規制行為の指定(定義)を行い、これを許可制とするのです。知事(又は市町村長)の許可がなければ、規制行為を実施できない、という条例とします。


規制行為をしようとする者(事業者等)が地方公共団体の首長宛てに申請、その申請を別に定める審査組織で審査を実施、審査組織からの答申(勧告)が知事へ回答される、回答結果を受けて知事が許可の可否を決定する、ということになります。ただし、過去の首長の手のひら返し、というのがあったので、それを封じる為の工夫もしておきます。今の仲井真知事を見れば、一目瞭然でしょう。

流れを書くと、次のようになります。

 ①行為実施予定者による計画書提出等の申請
 ②書面審査
 ③縦覧(公示)
 ④地域説明会の開催(住民への説明会開催義務化)
 ⑤環境審査委員会(便宜的にこう呼ぶ)による審査開始
 ⑥環境審査委員会による公聴会開催(委員から申請者に質疑応答)
 ⑦環境審査委員会の審査結果を公表、知事へ勧告
 ⑧公表後30日以上の期間を設けて住民投票の請求の有無を確認
 ⑨委員会審査結果の不服により住民投票の請求があった場合は投票を実施
 ⑩知事は委員会の結果もしくは住民投票結果をもって許可の可否決定とする
 ⑪知事から申請者へ結果の通知
 ⑫許可を受けた者は行為の実施へ


ポイントは、首長個人には決定権限が事実上ない、ということです。原則的には委員会の審査結果に従うことを条文上で義務化しておくのです。また、住民は委員会の審査結果に不服がある場合には、住民投票を直接行って住民の意思で決することができるようにします。この住民投票結果についても、首長は覆せない、ということを条文で規定するのです。

まさしく住民による自治、ということだと思います。



3)規制される行為について

条文ふうに書いてみます。


次の各号に掲げる行為を実施しようとする者は、知事(市町村長)に許可申請を行わなければならない。

一 建築物その他の工作物を新築、改築、又は増築
二 宅地造成、土地開墾、その他土地及び海底の形質の変更
三 深部掘削、鉱物掘採、又は土石採取(海底を含む)
四 水面(海面を含む)の埋め立て、又は干拓
五 河川、湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせること
六 木竹を伐採し、又は著しく損傷すること
七 木竹以外の植物を伐採し、又は著しく損傷すること
八 熱帯魚、さんご、海藻その他の知事の指定を受けた動植物を殺傷し、又は著しく損傷すること
九 屋外における物の集積、又は貯蔵
十 物の係留(水面、海面)
十一 航空機を着陸させること
十二 騒音規制法における環境基準を超えること
十三 振動規制法における環境基準を超えること
十四 景観の保全を困難にする行為
十五 生物多様性保全を困難にする行為

2 前項に掲げる各号に関する基準は、別に定める

3 次の各号に掲げる場合は、第一項の規定は適用しない
一 非常災害のために必要な応急措置として行う行為
二 自然環境保全地域に関する保全事業の執行として行う行為
三 認定生態系維持回復事業等として行う行為
四 法令に基づいて国又は地方公共団体が行う行為のうち、自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので環境省令で定めるもの
五 通常の管理行為又は軽易な行為のうち、自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので環境省令で定めるもの
六 自然環境保全地域が指定され、又はその区域が拡張された際着手している行為
七 漁業を営むために必要とされる行為



以上のように、ざっと書いてみましたが、規制行為を定めておけば、許可がない限り実行できなくなります。
建物は高さによる基準、面積による基準などがあるでしょう。土地造成や埋立などについても、広さ規制(例えば50haを超える、といった具合)で対応可能と思います。掘削深度で500m以上、鉱物や土石は100トン以上、伐採は、伐採する面積とかの基準を決めればよいでしょう。
海洋生物に関しては、重要なものの指定を行えばよいです。
騒音と振動は、既に基準があるので、改善命令や指導を受けるレベルの「環境に悪い状態」のものを対象とすればよいでしょう。


要するに、環境、自然、生物多様性、景観を保全保護する為に、本条例を制定するわけであり、それらにより結果的に新たな空港や海面埋立などは規制することができます。



4)住民投票の手続について

これは、民主主義の根幹を守るという意味で置いておく規定です。
基本的には、住民説明会と公聴会という、完全公開の場を2度設けていますから、住民への周知という点では問題ないと思います。
環境審査委員会は少数の専門委員(首長が任命、議会の同意人事とする)が専門的に判断するわけですが、その裁決に不服があるかもしれません。そういう時、例えば有権者数の15%以上の署名があれば、住民投票を行わなければならない、ということにしておけば、直接投票で決定できます。


委員会の審査結果が《許可・不許可》
 ◆住民の不服なし→知事(首長)は委員会と同じ決定

 ◆住民の不服あり→署名が15%以下→知事(首長)は委員会と同じ決定
         →署名が15%以上→住民投票実施
    住民投票の結果
       有権者の50%以上の投票→成立
       有権者の50%以下の投票→不成立
    住民投票の結果が委員会決定に
       過半数が賛成→知事(首長)は委員会と同じ決定
       過半数が反対→知事は委員会決定を不採用とする


このように、委員会の裁決を覆す機会が残されている、ということになります。つまり、住民の過半数が反対ということなら、そのようにできる、ということです。



この条例が制定されれば、新たな基地建設を極めて困難にすることが可能になると思います。条例の制定権で対抗するしかないと思います。国がこの決定を不服として争う場合には、今度は立場が逆転できることになるのです。

できるだけ早急に、条例制定を目指して下さい。
条文案は、弁護士だけでなく、地方自治体OBとか官僚OBとか、あらゆる手を尽くして、たたき台をつくるグループを用意するようにして下さい。落選議員さんたちの中でも、時間があり能力がある人たちはきっといるはずです。すぐさま条例制定の為に必要な手続をお願いいたします。
沖縄県議会では時間的にむずかしければ、当面名護市だけ、というような形でもいいです。規制行為の数を減らして、とりあえず「埋立」「土地関連の行為」といった部分だけでもいいですし、住民投票の手続は県レベルの条例案をつくるまで入れなくてもいいです。まずは、申請させること、許可は地方自治体に権限があること、これを確保するのです。公有水面埋立申請の免許が出される前までに、先に条例を制定することが必要になります。

どうか、沖縄の方々、頑張って下さい。
時間との勝負ですよ!!
必ず基地建設を止められるはずです。
法で対抗するんです。