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【いい国作ろう!「怒りのブログ」】のバックアップです

「トランプ詣で」に馳せ参じる安倍総理の軽挙妄動

何故か、日本国内ではトランプ・安倍会談を高く評価している報道などが多い。

個人的な信頼関係を築く、というのが、全く悪いわけではないが、先走り過ぎた感が否めない。しかも、これを絶賛しているマスコミや識者連中がいるというのも解せない話ではある。


こういう外交面の事というのは、有能な側近の策によって動いてゆくものだろうとは思うが、安倍総理に諫言する人間が誰もいなかったのであろうか。
舞台裏は見えたわけではないが、「ヒラリー・クリントン推し」でトランプ氏など歯牙にもかけていなかったであろう、アベの狼狽ぶりが、手に取るように分かる。官僚を面罵するアベの光景が、瞼に浮かんでくるかのようだ。


こういう時には、「ああ、外してしまったな」と内心思っていようとも、これに動ぜず何事もなかったかのように振舞う、というのも、大人の行動のひとつなのではないか。だって、早速訪米して会談って、あまりに露骨すぎやしないか?(笑)


なので、もう少し様子を見てから、どう動くか考えてもよかったのではないか。

トランプ氏がアベ個人との会談に応じたのは、ニュースバリューとして「これは使えるな」と踏んだからだったろう。特別に、トランプ氏が個人としてのアベと是非とも会いたかったわけではないだろう。というか、日本の総理が「アベという男」であることすら、トランプ氏が知っていたかどうか(笑)。


トランプ氏の弱点は、これまでの選挙向けのポーズやキャラ設定では、今後の政治課題を乗り越えられない、ということだ。トランプ氏が演じてきた、選挙向けの、米国人向けに大袈裟に吼えたり、タイマン相手を叩きのめすかのような罵倒を繰り広げたり、歯に衣着せぬ勇ましい言葉を吐き出すことでは、外交だの国際政治だのといった問題には歯が立たたない、ということだ。


かつて、サラ・ペイリン旋風というのがあったでしょう?
あの時だって、政治家としては有力視されていたにも関わらず、彼女が世界の国々がどのように位置しているか、ということさえ、満足に知らなかったことが報じられていましたよね?


米国人で有名であろうとも、その人が世界にどれくらい関心があって、外国について知っていることがどれほどあるのか、というのは、一概には分からないわけなのですよ。勿論、大統領選を通じて、外交の勉強なり討論用のレクチャーなりがあっても当然でしょうけど、中国、ロシア、英仏、EUや独といった馴染みのある国々と、アジア諸国などでは重きが違うということもあるわけです。


トランプ氏がよく知らないことを、たとえ海外首脳と会談してみたって、話すべき内容を持たない人物なら、会談のしようがないわけです。トランプ氏は、大統領就任までにやるべきことが多くて、兎に角勉強とか準備に勤しむしかないでしょう。政治のことを殆ど知らないなら、まずは初歩的レクチャーから始める必要があるわけですし。


なので、世界地図上で日本がどこにあって、総理大臣というのがいて、それが誰なのか、という基礎的知識を理解するまでには、ひょっとすると時間を要してしまうかもしれません。日米間の課題などというのは、もっと後回しのことなのかもしれない。


そうした、トランプ氏の時間が限られててバタバタしている最中に、焦って面会に行くことに、どれほどの意義があるのでしょう。もし当方が側近的立場の人間だったなら、まずは「相手の値踏みをしてからでも遅くはないのでは」と言ったに違いありません。先手を打つ、というのが、その局面で非常に効果があるとか大事だという何らかの理由が無い限りは、急いては事をし損じるとの諺に従うんじゃなかろうか、と。


ただ、トランプ氏側にしてみると、「利用価値があるので、利用機会を提供してくれてサンキュ」と話しを繋いだ人同士のレベルでは、「成功裡」だったのかもしれず、貸し借りの点では双方とも「良かった」と思っているかもしれませんね。


日本の外交姿勢としては、何と言うか、「はしたない」「目ざとい」「ホイホイ餌に食いつく犬」「節操がない」といった、日本を見くびられる評価に繋がり易そうで、マイナスイメージは避け難いということではないかと。


上司からホームパーティーに招待状が来ないのに、あなたが自ら押しかけて行くと、どう見えるでしょうか?
招待されたら、伺いますね、ということの方が、普通なんじゃないでしょうか(笑)。


呼んでもいないのに、飛び込んで来る連中には、多くの場合、ロクなのがいない(笑)。
訪問販売のセールスとかでも、悪徳系はよくあるでしょ?
人材売り込みとかでも、自ら速攻で来るのは、ハズレが多そうな気がするが。
優秀で、どうしても来て欲しいような人って、ヘッドハンティングみたいに特別に呼んで来ないと、滅多にやってこないのでは?


どうしても、あなたの考えを是非とも聞かせてほしい、という政治指導者なら、招待の打診が来るのでは?
ブレジネフだの訒小平だのに、是非とも会談したい、というような場面と違うでしょう?


どのような大統領なのか、という概形が掴めてからでも遅くはないかと。
相手が「会って話したい」と認めるような政治家だと、「会いに行ってもよいか?」とか話が来るに決まってますでしょう?プーチンに会いに行きたい、と、あのドゥテルテ大統領でさえ言うわけですから、力関係というのが出ているように思えるわけですよ。


なので、トランプが「アベと話したい」と所望したものではないと思います。アベの政治家としての力量を、トランプが認めていた、などということも到底考えられないですね。


言ってみれば、映画スターに映画取材のインタビュアーが会いに行って、話をして、写真を撮りました、というのと違いがあまりなさそう、ということですね。





ちょっと追加ですが。


トランプ氏が政治指導者としての器量の大きさがどの程度なのか、というのは、縁故・血縁者をどのように用いるか、ということでも分かることでしょう。
米国ですから、原則としては、やはり能力主義ということで登用されるはずでしょうが、これが、身内優先といった姿勢が出てしまったりするような場合だと、狭量の小者という印象を与えることになるでしょう。たとえ家族に優秀な人間がいて、その意見は聞くに値し、重用すべき内容であるとしても、官職なり立場として権力を与えるか、というのは別だろうと思うので。


また、トランプ・アベの関係が極めて良好ということなら、「在日海兵隊は全部撤去する」くらいの、安全保障上の大転換を目指すことがあってもおかしくはないだろう。それが、トランプの公約にもかなうわけだし、日本は沖縄の負担軽減という長年の「絵に描いた餅」を、遂に実現できるという、大きな政治的成果を手にできるので。

安倍総理が、本気で歴史に名を残したいのなら、戦争法案を強引に通してきたことよりも、「沖縄の海兵隊を全て撤去」を実現すれば、沖縄の歴史に栄誉を刻むことになるだろう。勿論、全ての日本国民にとっても、である。


それくらいの覚悟を持って、会談できるようになるなら、就任祝いにすっ飛んで行くだけの甲斐もあるだろう。外聞を捨てて、己の恥を忍んでも、沖縄県民の為に海兵隊撤収を成し遂げるんだ、ということだから。